テスト期間とvs生徒会
今回は三人称です。
もしかしたら、これからもよく変わるかもしれません。
あの日から2週間後、夢名月学園はテスト週間に入っていた。
そんなこともお構いなしに、生徒会メンバーは違うクラスなのにわざわざ菜々美に会いに来ていた。
同じ学年でかなりの関わりをもっているせいか、自然と話す時がタメ口になってきていた。
「何でまた来るのー? 私は絶対に入らないって言ってるじゃん」
「そう言うわけにもいかない。僕達は君に生徒会へ入ってもらいたいと心から願っているからね」
「別に私じゃなくてもいいじゃんかー」
こういった会話を繰り返す。それは菜々美達だけでなく、周りの人にとっても当たり前の日々となっていた。
そんな時、雅治は何かを思いついたかのような顔をして菜々美に提案した。
「それじゃあ、勝負をしないかい?」
「…………………勝負?」
雅治の提案に菜々美は顔をしかめた。
その内容は、菜々美に不利を思わせるものだった。
雅治の提案は「テストで僕達が勝ったら生徒会に入ってもらう」と言うものだ。
雅治達は成績優秀であり、いつも1〜4位を独占していたのだ。
それに比べて菜々美は全生徒の半分くらいの成績であり、負けるであろうことは確定していると言っても過言ではなかった。
明らかに菜々美が不利な状況のため、流石にある人物が抗議をあげた。
その人物は菜々美の親友である永原友理奈で、唯一生徒会に惹かれていない人物でもあった。
「ねぇ、それは流石に菜々美が不利なんじゃないかしら? あなた達は成績優秀だけど、菜々美は特に成績が良いわけじゃないのよ?」
「そうだよ! 不利にも程があるよ!」
菜々美は友理奈の意見が最もだと思い、一緒に抗議した。
しかし生徒会はそこまで不利な状況であるとわかっていても、どうしても菜々美を生徒会に入れたかった。
それに菜々美は超能力をもっている。だから勉強に何かしらの影響があると考えていた。
「それじゃあ菜々美君側に永原さんがついて、僕達の1人にでも勝てたら無効ってことでどう?」
「それはそれでどうなのよ? あと、いつの間に菜々美を名前で呼ぶようになってるのよ」
「友理奈、名前に関してはもう諦めてるから。でも……それなら良いかな」
「菜々美!? 何言ってるのよ!?」
「本人が良いならそれで決まりだね。結果を楽しみにしてるよ」
そう言って雅治達は去っていった。
「菜々美、どういうつもりなの!? 負けたら生徒会に入ることになるのよ!? 相手は当然勉強するだろうし…!」
「うーん……ま、負けたら仕方ないよね。でも、安心してよ」
菜々美はそう言って、笑った。
その笑みを見て、友理奈は何も言えずに俯いた。
そんな友理奈を見て、菜々美は笑みを崩さずに言った。
「大丈夫、今回は本気を出すからさ」
時はとんでテストの結果発表当日。
菜々美と友理奈は1位~10位の順位が貼り出されている廊下にいた。
「菜々美、ごめん…。頑張って勉強したんだけど……」
「ううん。その気持ちだけで嬉しいよー」
残念ながら友理奈の名前はそこに載っておらず、生徒会メンバーに勝つことは出来なかった。
……そう、友理奈『は』勝てなかったのだ。
「……………………有り得ない……」
「あらら、順位が落ちるって結構悔しいね」
「流石は菜々美ちゃん、てところかな」
いつの間にか菜々美達の傍に来ていた生徒会メンバーが次々と感想を言葉にしていった。
菜々美自身もこんな結果になるとは思っていなかったので、ただ頬をかくことしか出来なかった。
「本当、今すぐ君を生徒会室に連れ去りたいくらいだよ」
いつも1位をとって女子の気を惹いている雅治ですら、苦笑いをすることしか出来なかった。
何故ならその順位表には、それくらい驚きのことが書いてあったのだから――――。
成績順位
1位 宮本菜々美 498点