日常が消えた日
気がついたら、目の前には生徒会の人達がいた。
何処だと思って周囲を見渡してみると、そこは何故か学園の保健室だった。
「ん、やっと目を覚ましたか」
「良かった……。大丈夫?」
「宮本さんが倒れていた時は驚いたよ」
「一体何があったの?」
私の頭が混乱しているにも関わらず、生徒会メンバーはどんどん私に声をかけてくる。
とりあえず、生徒会メンバーを紹介しておくべきだよね。
最初に私に声をかけたのは、生徒会書記をやっている海藤健史。
腰辺りまで伸びている髪を首のところで縛っており、黒のメガネをかけている。
そしていわゆる『生徒会のイケメン3』だ。
次に声をかけたのは、生徒会会計をやっている簑原瀬里奈。
金髪のロングヘアーをポニーテールで縛っており、身長的に私と同じくらいでとても可愛い。
しかし彼女――いや、“彼”は正真正銘の男子だ。しかも素顔はかなりのイケメンらしく、皆からは『生徒会のイケメン4』と言われている。
その次に声をかけたのは、生徒会会長の刀利雅治。
黒髪の短髪で、優しげな微笑みで女子を魅了している。大抵の女子はそれで保健室送りにされてるとか。
そんなこんなでついたのが『生徒会のイケメン1』だ。
そして最後に声をかけたのは、生徒会副会長の桐谷誠司。
ふわりとウェーブがかかっている白髪で、後ろ姿を見たら女子と思っても仕方がない…と言われているらしい。
しかしそれに反するかのように顔はかなりのイケメン。なので皆は『生徒会のイケメン2』と呼んでいる。
ちなみに後ろについている数字はイケメンな順番とかではなく、偉い順からつけているだけなので、そこら辺は間違えないように。
そんなイケメン達が保健室にいる。しかも私の目の前に。
……………え、なにこれ。何があったの?
そんな私の疑問が伝わったのか、刀利君が話し始めた。
「ごめん、目を覚ましたばかりのところ悪いんだけど……でも、今話しておくべきことだと思うから」
その瞳を見て、私は何も言えなくなってしまった。
瞳の奥が、全くと言っていいほど清んでいたからだ。
それに気づいた私は、黙って話を聞くことにした。
「まず、君の記憶を確認しておきたい。宮本さんは、どこまで覚えている?」
「私の、記憶……」
そう考えながら、私はゾンビに襲われかけたことを思い出した。
そう、あのゾンビが私に近づいてきて、心臓に向かって手を伸ばしてきて……。
その事を思い出した私は、無言でベッドから起き上がった。
「……どうした?」
「いえいえ、ちょっと用事ガ出来タダケデスヨ……」
「ちょっ、宮本さん!? とりあえず落ち着いて! 話し方がカタコトになってるよ!?」
「ナッテイマセンヨ」
そう、私は落ち着いている。いつでも平常心を保っている。
だからゾンビをブチノメソウダナンテ思ッテナイヨ。
そんな私の言い分が通用せず、黙って話を聞くように言われてしまった。
ムゥ、何故なんだ……。
でも、話は一応聞いておいた方が良さそうだね。
そう思った私は、今度こそ黙って刀利君の話を聞くことにした。
「まずは、君を包み込んだあの蒼い光について説明するね。何故蒼い光が出てきて君を包み込んだのか、理由は簡単に言うと、君の超能力が目覚めたからなんだ」
「超能力が目覚めた? 私、そんなの元から無いんだけど……」
「そう、そのケースが結構多いんだ。知らないうちに身体の中に眠っていた、っていうのがね。本当ならそこで出てきた色によってどんな超能力かも変わってくるんだ。
しかし本来なら緋、輝、碧のどれかの光に包み込まれるはずなんだ。だけど君は違う。どれにも当てはまらない、蒼い光だった。
蒼い光は今まで誰も見たことがないし、解明もされていない。つまりはかなりのレアなんだ。だからこれから狙われる可能性が高い。そこでなんだけど……」
一瞬の間。
だけどそれは、何故か私に嫌な予感を与えた。
――――まさか、この生徒会は……
「君には、僕達がいる生徒会に入ってほしい」
嫌な予感的中した――――!!
こうして私の平凡な日常は一転し、一気に非日常になってしまったのだった。