夏恋8
緩やかな日差しが真っ白なシーツの上に降り注ぐ。
窓の外から見える庭は自然が多く、時折小鳥のさえずりすらも聞こえてくる。
「お水、取り替えてきますね」
窓際の花瓶を持ち、友花は蛇口のある方へ向かった。
南は花瓶の無くなった窓を見つめる。
真っ白な雲が四角く切り取った青い空に映える。
清々しい陽光が、今は逆に眩しいくらいだ。
「何見てるんですか?」
花瓶をもとあった場所に置き、同じように窓から空を見上げた。
「うんん、特に」
そう言って友花に微笑んでみる。同じように友花も微笑みを返す。
少しだけ、穏やかな時間が流れた気がした。
「ゴホッ、ゴホッ」
「南さん!?」
咳き込む南に駆け寄った。
心配そうに見つめる友花に南は
「大丈夫」と笑ってみせた。
咳がおさまった南を、友花は暫く無言で見つめていた。
「………どうしたの?」
「南さん」
意を決したように、友花はずっと気になってた事を聞いてみた。
「南さんの病気って、そんなに悪いの…?」
南は、友花を見つめたまま固まった。
しばらくして、南は重い口を開いた。
「…僕は、末期癌なんだ」
そう告げて、精一杯笑ったつもりだった。
けれど友花には、とても辛そうな顔に見えてならなかった。
そして唐突に、南に抱きついた。
なぜだか自分の事のように不安になった。
「南さん…」
「ごめんね、友花ちゃん…」
友花の髪を優しく撫でる南の頬から涙が流れていることに、南自身も気付いてなかった。