夏恋7
「・・・ん。・・・・・みさん!」
(・・・・・)
「南さん!」
はっとして、目が覚めた。
「南さ・・・ん・・・」
声のした方を見ると、友花が心配そうに泣きながら、こちらを見ていた。
「よかったぁ・・・・」
「友花・・・・ちゃん?」
そう言って、寝ている南の体に抱きついた。
一瞬何が起こったのか分からなかったが、少しして落ち着いたらすぐ把握できた。
(あぁ・・・・戻ってきたんだな・・・・)
独特の薬品のにおい。
真新しいシーツのかおり。
白い壁、白いシーツ
まぎれもない病室にいるのだった。
友花の方を見やると、頬に違和感を感じた。
どうやら寝ながら涙が溢れていたらしい。
それで心配になったのであろう、友花があんな顔をしていたのだった。
「友花ちゃん・・・・」
そういって、彼女の髪を撫でた。
しかし、微動だにしない友花の様子が少し違和感を感じた。
「友花ちゃん・・・・?」
「・・・・zzz」
静かに寝息を立てて眠っていた。
突然寝てしまって驚いたが、ずっと付きっきりで看病なさってたんですよ、と近くにいた看護士さんが退出際に話してくれた。
そっと髪をかき分け、寝顔を覗き込む。
友花の穏やかな寝顔を見て、安堵した。
だが、目の隈や、以前見た時よりだいぶ青白い顔の色に、疲労の色が濃く現れていた。
「こんなになるまで・・・・ありがとう」
ぽつりと呟いた時、ばっと友花が顔を上げた。
「あ・・・、私寝ちゃって・・・・・」
南の顔を見て少し恥じらい気味に目を伏せた。
突然、友花を抱き寄せ耳元で呟いた。
「うんん、ずっと僕のことを見てくれてたんだね・・・。ありがとう・・・」
それを聞いて安心したのか、南の腕の中で再び眠りについた。