表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/68

第40話 「番外編」 軽食喫茶リリアンの日常

おはにちは、らいなぁです。


まあ、タイトル通り番外編です。

番外編で話を詰め込みすぎてもしょうがないので、文字数少なめです。

息抜き程度にボケーッと見てください。過度な期待は厳禁です。

ではお楽しみください。

 これはゾンビが発生した日、2012年8月1日から1年遡った、2011年の話である。


 林名高校から中心部に向かった途中にある商店街。そこに、少し古びた外観の軽食喫茶があった。

 それこそ、魔女の宅○便とかで出てきそうな、今時には無い珍しい建物である。

 その店の名前は、『軽食喫茶リリアン』という。日本人の名前と言われれば、違和感が多少どころじゃなくあるが、外人の名前と言われれば、不思議と納得出来そうな名前だ。

 話はリリアンの事ではなく、このリリアンで働く1人の女子高生の日常を(つづ)る話だ。

 その話をする前に、まずは店内に入ってみよう。今日はシフトが入っているはずだから、少女は居るはずだ。


「いらっしゃいませ!!」


 元気印でとても(よろ)しい。今回の主役の少女、彼女は店長の趣味であるメイド服を見事に着こなし、満面の笑みで客に対している。水色を基調とした、ミニスカメイド服が何とも言えない。彼女特有の赤みがかった髪が、相する水色のメイド服と不思議とマッチしている。

 ここまで自然に着こなせるのは彼女ぐらいじゃないだろうか?

 秋葉原(アキバ)のメイド喫茶だと、やらせ感が如実なのに対し、彼女はとても自然に接客できている。こんな子が居れば、普通だったら店は繁盛しまくっている事だろう。しかし、店はあまり人が居ない。精々5〜6人だ。


「今日も微妙に人が居るな」


 客の少年が、皮肉とも取れる言葉を何の躊躇(ためら)いも無く発する。

 それを聞き、客の姿を確認した少女は、明らかに嫌な表情をしだした。


「お〜い、客、客。嫌な顔しない」


 とは言ったものの、少女はまったく変えようとしなかった。

 やはり仕事場に知り合いが来ると、何とも言えない感覚になるよね。

 ようやっと表情を普通に戻した少女は、溜息混じりに頭を()く。もはや先程の雰囲気は皆無である。


「来るなって何回も言っているだろ〜?殴るぞ、(りょう)

「殴るのは勘弁してくれ。大体な、俺はお前の為を思って毎回来てやってるんだぞ?分かっているのか、理奈(りな)


 客の少年の名前は『良祐(りょうすけ)』。リリアンで働く少女の名前は『理奈(りな)』という。言わずもがなな2人である。


「まあ良いけど。いつものコーヒーよろ」

「えー」

「だから俺は客だ!!」


 良祐が怒鳴り散らして、ようやく理奈はカウンターの向こうに居る店長にオーダーを出す。

 その間に、良祐は入り口からカウンター席に座っていた。


「毎回飽きずによくやるね、良祐君」


 コーヒー用のカップを取り出しながら、見た目3〜40ぐらいの男性が何時もの様に笑う。

 この人が、この『軽食喫茶リリアン』の店長。従業員の制服にメイド服を採用する、所謂(いわゆる)変態だ。


「挨拶代わりですよ。親しき仲にもなんとやらです」

「ふふっ、そうかい」


 雰囲気的には紳士だが、メイド服のデザインはこの人が考えたものだ。

 これだけは忘れてはならない。この人は紛う事無き変態だと言う事を。


「ていうか今日は何しに来たんだよ?」


 何時の間にか別の客の接客をしていた理奈が、良祐の右隣に座ってそんな事を聞いた。


冬紀(ふゆき)が部活だから暇で暇で」


 血涙すら出しそうな雰囲気で、良祐は遠回しに「遊ぶ相手が居ないから暇だ」と言い放った。何様だコイツ?


「そうかよ……」


 理奈は少し、暗い影を落としてしまった。

 それは自分に向けたものではなく、良祐に向けたものだ。何故なら、良祐の黒歴史からおよそ1年。2011年とは、彼の心が()えて間もない頃だからだ。――――と言っても、


「なーに暗くなってんだよ!」


 本人は全く気にして無い様子だが。彼は頭がオカシイと思う。

 良祐は理奈の頭を乱暴に撫で回して、自分は無事だとでも主張する様に笑っていた。


「やめろぉぉぉ!」


 理奈が撫で回される頭を押さえて、めっさあたふたしている。萌えた。


「仲睦まじいね」


 店長がニコニコしながらカップをテーブルに置いた。中には良い匂いのコーヒーが入っている。


「どこがですか!!?」


 今も変わらず頭を撫で回されている理奈が、心外だとばかりに驚愕していた。

いかがでしたでしょうか?

次回からはまた本編となります。

御意見御感想をお待ちしています!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ