第38話 何故か、いつか天○の黒ウサギを思い出した
おはにちは、らいなぁです。
バイトを始めました。週2日なのですが、とても疲れます。
投稿が遅れるくらいに。すいませんでした。
という事で、投稿は毎日とは行けなくなります。私事で申し訳ありません。
ではお楽しみください。
サンプル捜索から30分が経った頃、マーシャさんが何かを見つけたようだ。
「これはサンプルの資料みたいね」
今時アナログな紙の束だったが、資料となれば話は別だ。
パソコン上のデータより、紙の方がトラブルで無くなりにくいからな。
……でもまあ、その分のデメリットも皆無ではないが。
サラッと、マーシャさんが資料の内容を口頭で説明してくれた。
「名前、年齢、職業、身長体重と言ったプロフィール、他にも実験結果や考察まで。ご丁寧に詳しく書かれているわ」
纏めるの面倒臭そうだ。研究員、お前頑張ったんだな……。
俺が変な感動を覚えていると、湊がマーシャさんに問い掛けた。
「サンプルの名前は?」
おお、それも大事な情報だ。…………大事な情報か?まあ、ともかく覚えておかないと。
「レイナ・ユウキというらしいわ」
「女性?」
マーシャさんは無言で頷いた。どうやらレイナ・ユウキという女性が目標らしい。
俺は脳内メモにしっかりとその名前を刻み込んでおく。意味は無いんだけどね。
「ちなみに15歳」
「マジで!?」
何てこった。そんな青春を謳歌している年齢で人体実験だと?進んでやる訳無いし、誘拐でもしたのか?このくそ研究所は。
「流石に若すぎるわね」
「一体なんで……」
湊とマーシャさんですらこんな感じだ。その様子から見ても、そうそう在り得ない事が分かる。
別に正義を語るつもりは毛頭無いが、途轍もなく胸くそが悪い。
ここに所員がいたらサンドバックにしていたかもしれねえな。
「早く外に出たいわ」
唯一、アーティだけが意に介して無い様子で、そんな事を呟いていた。
更に30分後。俺たちは、ランド・クルス組と最初の地点で合流を果たす。が、2人もサンプルの発見には至らなかったようだ。
「ダガ、サンプルガ居タト思ワレル場所ハ見ツケタ。人型ノデカブツガ、首無シデ転ガッテイルダケダッタガナ」
クルスさんが言う、人型のデカブツ――――ミュータントだろうか?
しかも首無し!?あのミュータントの頭をどうやって……。
でも、だとしたらここには、バシリスク以外にもゾンビが居た事になる。先程の探索中には出会っていないが、もしかしたら一箇所に固まっているのかもしれない。…………出口パターンじゃねえよな?
「何か居る」
などと思考していると、アーティが不吉な事を言ってくれやがりました。
おいおい、今の今だぞ?ゾンビが来やがりやがったか?
「違う。人の形をしていない」
「どこに居る?」
思い当たるのはアイツしか居ないよな。
しかし、アーティは忙しなく視線を動かして、ちょっと慌てている様にも見える。
そりゃそうだ。何たって、
「全方向」
――――それが“一体だけとは限らない”のだから。
刹那、上から、下から、左から、右から、前から、後ろから、普通の大きさの真っ黒な蛇が、俺たち6人に向かって飛び掛ってくる。死ぬ間際に見えるスローモーションで流れる世界で、俺は膨大な量の思考を巡らしていた。それは走馬灯の様な、それとは違う様な。
その中で、色々な人から色々な事を言われたのを思い出した。
それは理奈から。それは冬紀から。それは姉貴から。それは早織から。それは円さんから。それは香澄さんから。それは田代さんから。
そうだ。俺はまだ死ぬ訳にはいかない。
死んでいった人たちの為に。今、生きている仲間の為に。地べたを這い蹲ってでも生きてやる。
『それで良いのよ』
X−7を左手で持ち、連射で前方の蛇どもにばら撒く。と同時に、開けた前方に向け、駆け出した。残った右手で、レッグホルスターからUSPを抜き放ち、X−7と併用して、進路に立ち塞がる全ての蛇を撃ち貫いていく。
零距離だからか、はたまた絶体絶命だからか。俺が放ったVAB弾や、9mmパラベラム弾は、ほぼ全て蛇の頭を貫いている。
「俺は諦めが悪い方なんだ」
蛇の波から脱出した俺は、真っ黒な蛇に向かってか、そう言っていた。
「流石ね、良祐」
気付けば、真後ろにピッタリ張り付くアーティが、歳相応の笑顔で笑っている。……アーティの思考は分からん。
他の四人は?と後ろに振り返って見るが、そこには蛇の山があるだけで、人は居なかった。
「埋もれたか?」
とも思ったが、よく見れば山の向こうに4人が見える。
どうやら無事脱出したようだ。しかし、マーシャさんかが手負いの様でもある。
そんな状態でも、蛇たちは容赦無く飛び掛ってきた。ただ、二手に分かれたから蛇の量はさっきの半分ぐらいだ。
「ちぃ、流石にこれだけの物量じゃやられちまうぞ……!」
弾薬ポーチからUSPの弾倉を取り出し、素早く弾薬を再装填する。
USPだけじゃなく、X−7も持っているから、途轍もなくやり辛かったのは言うまでも無い。
「サンプルは後でで良いから、二手に分かれて脱出するよ!」
湊の指示を背に、俺はアーティを連れて蛇の群れから逃走する。
バシリスクが開けた穴の中に入り、学校の廊下程度しかない狭い通路を全力で疾走していると、小学校のヤンチャだった頃を思い出して仕方が無い。だが、そんな考えはコンマ1秒で頭の中から消え失せ、前方から来た大量の蛇の群れに頭の思考が全部持っていかれる。
「挟み撃ちかよ……!」
「大丈夫大丈夫」
こんな状況でも呑気なアーティに若干イラッときたが、んなこと言っている暇は無い。
通路を左に曲がり、挟み撃ちを何とか回避した。――が、
「マザ〜スネ〜〜〜〜〜〜ク。イッツァピーーーーンチ……!」
曲がった先には、バシリスクより小さいが2メートル程あるバシリスクが、堂々と鎮座してやがりました。
「右に……」
「右だな!?」
アーティの助言に、俺は進路を右に向けた。――が、
「……は、ゾンビが居るわ」
通路を右に曲がると、そこにはゾンビが1体、待ち構えるように歩いていた。
「おいぃぃぃぃぃぃいっ!!」
右手のUSPでゾンビをヘッドショットし、アーティに向かって怒鳴る。
「アルテミスウゥゥゥゥゥゥ!!?」
「言い切る前に行ってしまった貴方が悪いんじゃない」
そうだけども!それでも先に危険を示唆しないでくれないかな!?安全な道筋教えてくれよ!!
「善処するわ」
何となくアーティの利便性が見出せてきた。考えてる事を勝手に読むから、言わなくても済む。意外と便利。
「どうもありがとう」
ほらな?っとと……。
止めてしまっていた足をもう一度再稼働させ、蛇群れから逃げる。翌々考えれば、俺って走ってばっかだな。
「でもどうするの?」
それもそうだな。ずっと走りきれるわけじゃ無いしな。
でも、ここを出るには戻らないと行けないぜよ。どうやったら戻れるんだ?
「ぜよ?」
アーティがモノローグに引っかかったようだが、俺は俺で脱出方法を考えているので、構っている暇は無い。かと言って、良い案が浮かぶ訳でもなく、
「真っ向勝負」
以上、アーティの案。無茶苦茶すぎるが、他に無いのも事実。故に、
「それ採用〜」
こうなるのも必然と言えば必然だ。
いかがでしたでしょうか?
廊下を疾走する少年と少女。いつ天みたいな気がするのは僕だけでしょうか?
真っ向勝負!秘策はあるのか?
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