第34話 説明ばっかでアレだな……って、へ?
おはにちは!らいなぁです!
小説書き終わった後に絵を描くんですが、先日一番出来の良い絵が出来て。
即行でみてみんに投稿しました。ちなみにみてみんの僕のネームもらいなぁです。
上手くないんですけどね。どなたか彼を描いて頂けないでしょうか?
らいなぁで待ってます。(常時受付中)
湊の話だと、民間軍事会社ヴァンガードとは基本的なPMCと同じ、軍隊や特定の武装勢力・組織・国に対して武装した戦闘員を派遣しての警備・戦闘業務、さらに兵站・整備・訓練などを業務として行っているらしい。
その中でも『特殊任務実行部隊』と呼ばれる部隊は、通常行うはずが無い依頼や任務を請け負い、秘密裏に完遂するエリート部隊だそうだ。表舞台には決して出ない、任務遂行のプロフェッショナル。
そして第一種特装執行官とは、第三種まである階級の最高位。ヴァンガードの社員の約一割程度しかこの階級を持っていないらしい。第一種特装執行官の特権として、申請した銃器の全面許可・専属の銃工・非常時総指揮権等がある。そんな精鋭で結成されたエリート中のエリート。それが第一種精鋭集団。全2チームしか存在しないらしい。
「その傭兵さんが東海林市に何の用だ?」
話を聞き終えた俺は、興味半分、疑心半分で問いかける。
表舞台に出ないって言ってる割には、あっさりバラしてるし。
湊はまたも結構ある胸を張った。
「とあるサンプルの護衛、及びその奪取だ」
「…………はあ?」
直訳すると守った物を奪えって事だろ?本末転倒(使い方あってたっけ?)じゃねえか。
聞いた話によると、『特殊任務実行部隊』にはそういう事も少なからずあるらしい。とある組織から“ある物を守れ”という依頼と同時に、別組織から“同じ物を奪え”という依頼が舞い込むという事例が。
基本的にヴァンガードは、引き受けた依頼を遂行するまで仲間、終わったらただの他人という姿勢をとっているので、依頼が終わった時点で敵になる事もしばしば。どこかに専属している訳でも無いから問題無いらしい。…………そのせいで敵が多いのは言うまでも無い。
「金払いが良い方に付く。傭兵の鉄則だ」
とは湊の談だ。“守れ”と依頼してきた組織が、“奪え”と依頼してきた組織より多額の金を積めば、後者の依頼を阻止する事も可能とか。複雑なんだね、傭兵の世界って。ぶっちゃけ面倒くさっ。
短時間で結構な量の情報を取得したから、頭が痛くなってきた。ふと町の方へ視線を向けると、もう夕暮れ――しかも末期だ。
「湊たちはこれからどうするんだ?」
他の三人よりかは幾分か話し易い湊に問いかけた。彼女は自チームで少し話し合うと、
「この家電量販店で一夜を明かして、任務に戻るだそうだ」
と結論付けたようだ。俺とアーティも寝床を確保しないといけないから、
「途中まで一緒しても?」
湊たちに聞く。程無くして、
「良いよ」
と、めっさ軽く了承された。軽っ!?めっさ軽っ!?
ただこれでマシにはなった。俺とアーティで過ごすよりかはよっぽど安全だ。
――――危険かもしれないが。
まあ、この際しょうがない。やるしか無いだろう。それに湊たちの任務であるサンプルというのが気になる。………………まさかな。
「先ズハ安全ナ場所ノ確保ト食料モ必要ダ」
ランドさんのカタコト日本語に、さっきまで考えていた思考をシャットアウトされる。
とりあえず頷き、傭兵集団が歩いていくのを見届けていた俺に、アーティが口を開いた。
「良祐、私あの人たち嫌いだわ」
その様子は先程の人見知りとは打って変わり、元のように戻っている。さっきのは演技かよ。食えないねえ。
「誰にだって好き嫌いはあるものだ」
そう言った俺は釈然としない感情を抱いていた。
それから湊やランドさん達に色々な事を教えてもらった。
ランドさん達が日本語を知っているのは湊がいるからだとか、チームを組んで三年になるとか、湊が何でこの仕事をやっているのかとか。逆に俺たちの事も聞かれたから教えた。俺は仲間が居たけど、はぐれてしまったとか、銃器を持っているのは警察署で調達したからとか、今まで三種のゾンビに遭遇したとか。アーティは何も話してくれなかったが。
彼女らの話は結構面白かった。俺も将来はヴァンガードに就職しようかな。…………冗談だ。
ついでに基本的な銃器の扱いを教えてもらった。流石に撃てはしないから不便もあったが、中々に有意義な時間だ。これで少しは戦力アップに繋がればいいが……。
ちなみに今は夜も深まった頃、家電量販店の事務室に居た。
ランド、クルス、マーシャさんは周辺警戒と見張りで店内を索敵している。今居るのは俺、湊、アーティだ。
「疲れた〜」
「だらしないな、男の子だろ?」
パイプイスに座って伸びをする俺に、同じくパイプイスに座る湊は容赦無い言葉を浴びせてきた。
それに俺は反論したかったが、湊の職業を考えると簡単に言い返されそうだ。止めておこう。
「男装かもよ?」
「ふふっ、面白いジョーク」
頬杖付いて笑う湊は、歳相応の可愛らしい笑顔で、ついつい視線を逸らす。か、かわいい。
はっ!?しまった!?今のは俺的に言えば、はうぅ〜、きゃわいぃ〜、おっ持ち帰りぃ〜――――と言うべきだったんじゃないか!?
「良祐、それは気持ち悪い」
「アーティ!?真剣トーン!!?」
すんげえ冷たく斬り付けられた。何で考えてる事が分かったんだ?幼女のクセに生意気だぞ!
「良祐、とても、気持ちが、悪い」
「区切り区切り言うな。そんなこと、とっくのとうに分かっている」
言っててすげえ悲しくなった。しかも小学生に虐められる高校生って……。
話題を変える(傷心を癒すため)為、湊にさっきの事でも聞いてみよう。
「そういや湊。さっき握手した時、なんか気になる事でもあったのか?」
「えっ?」
湊は何の事か分からないのか、素で首を傾げている。
「正確には俺が名乗った後、ちょっと変だった」
「あ、ああ……!」
湊には焦りが見える。と言ってもほんの少しだが。
ゾンビ発生以前の俺だったら、全く気付かなかった違いにも今だったら分かる。不思議だね。
「それは……ね」
――――今度は明らか。何なんだ?
無表情のアーティも待っているように口を閉じている。
そしてしばらく経った後、湊は意を決した様子で口を開いた。それは予想だにしない言葉。
「“前原”は今回の任務の依頼人なの」
いかがでしたでしょうか?
良い感じに深みに嵌まって行ってますねえ。
真実解明の日は近いのか?楽しみです。(作者ですけど)
依頼人は前原!それが示すは?
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