第31話 運命の歯車は回りだす。……格好は付けてないよ
おはにちは、らいなぁです!
ついに総合評価が100になりました!処女作ぶりです!
これもひとえに読者様のおかげです!
では、お楽しみください
次の目的地、ホームセンターに辿り着いた時、俺は異変を感じ取った。
「何だ?あれ?」
駐車場に車を止めると、その非常さを理解できた。
大量のゾンビの死体(既に死んでるけど)と弾丸の薬莢があったのだ。更に目を引くのは中心辺り、小さいながらもコンクリートが捲れて、クレーターみたいになっていた。
「戦争でもあったのか?」
正しくそんな感じだ。ゾンビの相手は軍兵だったのか?
クレーターから見て、使ったのは銃器と爆発物、ロケットランチャー程じゃないだろうけど手榴弾か?
活動しているゾンビは居ないが、ここじゃあゾンビだって転びまくる。その位ゾンビの死体(もう死んどる)があった。
「まあそれより……」
答えが出ない詮索を止め、駐車場を見渡す。その限りでは、軍用車両は無いようだ。でも、
「ちっ、ゾンビが集まってきやがった」
あまり大きくない駐車場に、段々とゾンビが集まってきやがった。
俺は押収品装備のアーチェリーを構えてゾンビへ向ける。あらかじめ持ってきたサイレントキル用装備だ。
以前のやり方を思い出し、試しに一発放ってみる。それは狙った所から下に十センチ位外れてしまった。
「重さで下にずれたか?もう少し重心を上に保って放てば行けるか?」
冷静に自己分析して改善点を直す。今度は狙いから上に向けて放った。ーー直撃。
狙った場所から二〜三センチ外れたが、許容範囲だ。矢が頭に命中したゾンビは、うめき声を上げずに前のめりに倒れた。
「ふむ、コツは掴んだ」
次の矢を番えてゾンビの頭を狙い、一息にーーーー放つ。三度目の正直とばりに、それは狙った場所に直撃した。
先手の手順を繰り返し、もう二体ゾンビを屠った。
「さて、用は無いし撤収〜」
次矢を番えず、余裕綽々で車に戻る。エンジンは掛けっぱなしなので、サイドブレーキを倒し、アクセルを踏んで問題無く駐車場を出れた。まだ運転が危なっかしいのはしょうがない事だ。
次の目的地はーーーーショッピングモール。次の、というか、最後の、が正しい。俺は他に思いつかなかっただけだが。
脱出地点は山を越えるトンネル(国道ルート)なんだが、そこまで行くのに、速くて二日は掛かる。体を休める最適な場所は、後、ショッピングモール位しか無いのだ。
「みんなは何処に?」
ここまでやって出会わないなんてーーーー早織か?
その予想は当たらずとも遠からずだったと言うことを、後々実感したのは今言うことではない。
「くしゅっ……!」
「どうしたの早織ちゃん?湯中り?」
「…………かもしれないわ」
別場所、とある一軒家。
可愛らしいクシャミとは裏腹に、目を鋭くさせる少女、
小林早織である。
彼女はソファに腰掛け、かなり高性能のノートパソコンを弄っていた。
その服装はピンクのTシャツと真っ白の短パンという、いかにも寝巻きの様な格好だった。
「前原先生は随分際どい寝巻きね」
「そう?」
前原先生ーーーー言わずもがな、前原美鈴だ。
彼女の服装は早織の指摘通り、かなり危ない。と言っても、普段の寝巻きとは比べ物にならないが。
普通の水色パジャマなのだが、胸元がガッツリ空いているぐらいだ。
そんな美鈴は風呂上りなのか、バスタオルを頭に乗っけていた。
「先生、一応家には男性も居るんですよ?」
「冬紀君はノーカン〜」
黒長髪の白いYシャツを着た少女、結城サクラは、苦笑気味の笑みを洩らす。
でもなあ。と、赤髪の少女ーー緋達理奈は笑った。
「サクラん家が近くで良かったな!」
その場に居た全員が肯定の雰囲気を流していた。
そう、ここは結城サクラの家。早織がサクラに提案したのだ。
場に居る四人の雰囲気はとても微笑ましい。だが、その奥底には暗い影が落とされている様だ。
皆、その事を分かっているのか、誰一人としてその事を口にしない。故に不自然さが滲み出ている。
しかし、その事に終止符を打つ様に、早織が唐突に話題を変えた。
「大丈夫かしらね、彼」
瞬間、早織を除く三人の動きが凍り付く。
後に残るは痛い程の静寂。それを破るのは誰でもない、サクラだった。
「大丈夫。きっと」
その自信はどこから来るのか。優雅に微笑んだ彼女は、何故か、そう断言した。
それに続く様に、二人も頷く。瞳には信頼、それともう一つ宿っていた。本人たちすら分からない感情が。
「そう……」
早織は母と同様の表情を浮かべ、ノートパソコンに目を落とす。
彼女とて嫌味でこの話題を出した訳ではない。覚悟と信頼を見る為だ。それを見て何を思ったのかは、早織にしか分からないが。
「(早く戻って来なさい。良祐)」
「っ……!な、何だ?」
強い寒気が俺を襲う。誰かが悪口でも言ってるのだろうか?
車を走らせてんだから不吉な事は願わないでくれよ……。そう願わずには居られなかった。
「まあ良いけど。それより、ここってどこだ?」
車を止め、地図を確認する。地図上では、ここは空き地ーーだが、
「工事現場っぽいな」
ビルの工事現場のようだ。まだ鉄骨とコンクリートしかない、造り掛けの。
そろそろ落ちそうな陽が、無骨なビルを怪しげに影させる。ゾンビは居ないがホラーだ。
「あれは?」
そのビルの一番上、鉄骨の上に、白い少女が見えた。生存者だろうか?
俺は確認する為にも装備を整える。USPにS&W M37、それとアーチェリーを持って行こう。
各弾薬と矢を携えて、エンジンを切り、車外へ出る。鍵を掛けるのを忘れない。
「はあ、俺は何やってるんだ?」
危険もあるだろうに。と、追加で呟いた。生存者を助けにでも行くのか?
でもまあ、ただ言える事は、
「行かなきゃならない気がした」
だな。どんな中二病だよ。
そんな事を言いながら、俺は無骨なビルへ向け、足を動かした。
「ふふっ、来た来た」
ビルの一番上の鉄骨、そこに立つ白い少女は嬉しそうに微笑む。
その笑顔は、引き込まれそうな程、美しかった。とても見た目から出せる笑顔ではない。
少女は身を翻し、歩き出す。少女の足取りは何故か不自然だった。
「やっと会える。良祐に……」
刹那、少女の姿は掻き消える。
後には、静寂と地面一杯の鮮血が残されていた。
いかがでしたでしょうか?
最近、文字数が三千ぐらいばっかりです。ギリギリなんですよ。
混沌の世界!少女と出会う時、何が起こる?
それでは次回会いましょう!御意見御感想をお待ちしています!