第27話 煉獄に囚われし少女~儚くもその名は知らず
おはにちは!らいなぁです!
書くことがありません!どうしましょう?
…………本編に行きましょう。
朝、目が覚めると誰も居ない静寂が俺の身を襲う。腕時計で時刻を確認すると五時だった。
「四日目の記憶がほとんど無い……」
ずっと寝ていたからな。当然なんだけど……何か寂しいな。時間の流れに取り残されたような感じだ。
今日はおそらく八月五日。ゾンビ発生から五日目の午前五時だ。
「腹減った」
昨日の朝から何にも食べてないからな。とりあえず何か食べないと。折角生き残ったのに餓死とか笑えねえぞ。
俺はポケットからカロリーメイトを取り出して一口食べる。うわあ、口が渇いていく〜。
「確か東女来る前にコンビニ見かけたな。すぐ近くだし歩いて行くか」
カロリーメイトを一つ食べ終わり、助手席に放っていたX−7を持って車外へ出る。前日の傷は九割回復していた。
こんだけ動ければ十分か。そう思考し、装備のチェックを入れる。
X−7にUSP、VAB弾の弾倉が二つに9mmパラベラム弾の弾倉が五つか……。
メイン武装が乏しいな。どこかで近接武器が欲しいところだ。
「どっかで調達しないと……」
辺りを見回してみるが武器になりそうな物は無い。しょうがないと溜息を吐いて、ゆっくりと校門へ向け歩き出す。
今からは潜入任務だ!ゾンビとの交戦を極力避け、目的地へ辿り着け!と、まるでメ○ルギアソリッドの様なミッションを自分に課してみたり。
幸いにも校門を出た所からはゾンビは視認出来ない。敵が居ないのならその間に行こう。
右に曲がって視線を向けると、前方のずっと先にコンビニが見えた。そこまでもゾンビは居ない。
「ラッキーだな」
足音をたてずに早歩きで歩いていると、コンビニの惨状が目に見えるようになってきた。
「車突っ込んでんじゃん」
残念哉、商品は無事なようだが運転席の部分がグチャっと潰れている。ゾンビ化せずに運転手は死んでしまったのだろう。
こういうのはこの世の中仕方が無いことだ。死人の闊歩する街。それ即ち、死が蔓延していることだからな。
「失礼しま〜す」
乗用車の運転手さんとコンビニさんに礼を行いつつ、コンビニの中に侵入した。
中は酷い荒れようで、棚が将棋倒しのように倒れている。床に落ちた商品なんてボロボロ、全然使えそうにも無い。
棚の中にある商品は一応無事なようだが、食うとしたら少し抵抗がある。でもそんな事言ってられない。
「コレとコレは食えそうだな。コレは……うっわ、くせえ。無理だな」
食料と雑貨と必要物資。VAB弾と9mmパラベラム弾もあれば最高なんだが、日本……ましてやコンビニじゃ手に入るわけが無い。
選別した物資をコンビニのカゴに入れ、カゴ一杯に集まったところで収集を止めた。
「多すぎると大変だ。先ずは今日明日食える分だけ確保すれば良いか」
足を出口に向け帰ろうとするが、その途中で面白い物を見つけた。
「これ……金属バット?誰かの忘れ物か?」
地面に銀色の金属バットが落ちていたのだ。つくづく金属バットと縁があるな。
「丁度良い。これを近接武器にしよう」
金属バットを拾い上げ、何回か素振りしてみると以前と同じ感覚がした。俺、金属バットと相性良いのかもな。
カゴを左手にバットを右手に。カゴの中にはX−7も入っている。
「先ずは飯、話はそれからだ」
コンビニから出て、東女へ向かった。
「あ〜食った」
俺は、俺が寝ていた黒色の乗用車に戻り、調達してきた食料を食っていた。
カゴを助手席に置き、動かないようにシートベルトで固定して。
「食ったら体が軽くなったぞ」
完全に体が完治したようで、今ならよっぽどのことが出来る気がした。ミュータントの攻撃を受けて約一日、驚異的な回復力だったと思う。俺は運転席のドアを閉め、車のエンジンを掛ける。
「燃料は確認した。鍵もあった。物資もある。次の目的地も決めた。完璧だな」
自分で確認するように呟いた後、ゾンビが来る前に全ての作業を終える。
アクセル踏めば進めるぞ。と言うところで、窓を開けてリライトを一目見た。
「俺にはやるべきことがあるんだ。人生終わったら俺もそっちに行く。じゃあな」
当然返答があるわけでもないが、せめて死者へ向けた生者の言葉としてこの場に置いて行く。
俺はシートベルトを締め、窓も閉め、前方を警戒しながらアクセルを少し踏んだ。ゆっくりと歩を進める車を校門へ向け、アクセルを踏む力を少し強める。
「先ずは一番近い大きな施設、警察署だ!」
校門を出て真っ直ぐ。制限速度で警察署へ。
ーーとある幽閉された空間。おそらく牢屋ーーもしくはそれと同等の場所。
そこに一人の少女が囚われている。肌は物凄く白く、豆腐に並べるんじゃないか?というぐらいに真っ白だった。
「良祐はまだかな?」
同じく純白の長髪を弄りながら、少女はそう呟いた。
長髪と記述したがそれは手入れされたものじゃなく、切らなかったから伸びてた。ーーかのようなボサボサ具合だった。
「早く来ないとこっちから行っちゃうよ?」
とても綺麗とは言えない布を体に巻きつけて、少女は不適に笑う。
その表情は、とても見た目の年齢から発せられて良いものではなかった。
とそこに一人?の男がやってくる。見れば服はボロボロ、肌は土色、目からは血涙を流している、身長二メートルぐらいの怪物。とある集団がミュータントと呼称するゾンビだった。
「あら?いらっしゃい」
少女はゾンビが現れたと言うのに、まるで友達のようにミュータントを見ていた。
ミュータントは牢屋らしき部屋の扉を殴り壊すと、ゆっくりとした足取りで部屋に侵入する。
「やる気?母とも呼べる存在である私と?」
少女は悪魔のような笑みを浮かべてゆっくり立ち上がった。
ミュータントは腕を振り上げて、力の限り少女へ振り下ろす。そして少女は…………消えた。
「まだまだね。成り損ないの憐れな子猫ちゃん」
次の瞬間には、少女はミュータントの後方で何かを持っていた。それはミュータントの…………「頭」だった。
ミュータントは頭が無くなった状態でその場に崩れ去る。それきりもう、ミュータントは動くことが無かった。
「まだこの程度……。残念ね」
少女はミュータントの頭を放ると、足音も無く歩き出す。
「世界は終わる。いえ、あるいは……」
瞬きをするぐらいの時間、たったそれだけ視界を外せば、少女は跡形も無く消え去っていた。
いかがでしたでしょうか?
謎の少女?生き行く良祐は?
それでは次回会いましょう!御意見御感想をお待ちしています!