第26話 生き行くため、仲間を求めるその前に
おはにちは!らいなぁです!
短期休暇明けですけど少し疲れてますね。疲れが抜けないタイプなんですよ。
しかもその間は「異世界が来たっ!」に掛かりっきりだったし。
まあともかく少しぶりの現実をお楽しみください。
ーー起きて「ーー」
誰かの声が聞こえる気がする。でもその声にはーーーー中身が無い。
ーー起きてよ「ーー」
まるで頭の中で響いてるみたいだ。声質からして中学生ぐらいの少女か?
ーー貴方にはやるべきことがあるのでしょう?「ーー」
!!……不思議とその言葉は胸を抉ってくる。
ーーさあ、おはようの時間よ。「良祐」
俺は意識の根底から引き釣り出された感覚に陥り、閉じた目蓋に生を促す小明の光が灯ったのを感じ取った。
「っ!はあっ!……はあ」
思考を揺るがす大きなうねりと衝撃に、俺は思わず凍り付いていた目蓋を開けて飛び起きた。
凍り付いていたと言っても本当に凍っていた訳じゃなく、そう錯覚させるほど永い間閉じていただけだ。
「…………ここは?」
乱れた息を少しづつ整えて、状況の究明に尽力を注いでいると、程無くして簡単に全てを悟った。
ここは東野女学院。一夜を明け脱出を試みた際、ミュータントの襲撃に遭遇、リライトの死と仲間の危機に瀕した俺は、単身ミュータントへ特攻を仕掛けた。結果はまあまあ、注意を俺に引き付けることは出来たが、代わりに俺がやられたわけだ。
あれからどれ位経っただろう?
「みんなは……上手く逃げ果せたわけだな」
辺りを見回してみるが、特にみんなの死体は転がっていない。ーーーーリライトを除いては。
リライトの元へ行こうと体に力を入れるが……
「あれ?」
腕に力が入らない。それどころか足も。どうやらミュータントにやられたおかげで上手く体が動かないようだ。しかも力を入れたせいで麻痺していた傷が痛み出してくる。ーーしばらくはあまり動けないな。
時間潰しに空を仰ぐ。長時間目蓋を閉じていたせいで気付かなかったが、空はもう真っ暗だった。さっき光ったのは太陽じゃなかったのか?ーーと、視線が光の元を捉えることに成功した。
「学校の外灯か」
すぐ後ろを振り向く。外灯が燦々(さんさん)と俺の周りを照らしていたのだ。
そして外灯の根元にX−7が落ちているのが見えた。少し損傷しているようにも窺える。すぐ近くだったのもあって、俺は側の木の棒でX−7を引き寄せた。
「動作は……問題ないな。念のため機会があったら完全整備してやらないと」
流れでUSPも確認してみるが問題ないようだ。その他所有物資を確認していると、ケータイがぶっ壊れているのに気付く。
「みんなと連絡取れないな……」
いらねえという理由で財布も持ってきてないからな。公衆電話も使えねえ。しょうがないから出した物を元に戻して、数回呼吸する。
少し痛みが引いて動けるようになった体を起こし、やや体を馴染ませてからリライトの元へ歩き出す。足を引きずって腕を押さえて、見た目的に言えばライフゲージが真っ赤のキャラクターのような感じだ。
辿り着くとその悲惨さが良く分かる。白い乗用車を鮮血で染め、当たったと思われるドアには人型のように大きな窪みが出来ていた。そして落ちていった鮮血を辿って視線を下へ向けると、有り得ない方向に曲がった手足を備える無残なリライトの死体がそこにはあった。
「悪いなリライト。助けてやれなくて」
せめてと、血の海に沈む彼女の開ききった目蓋を閉じてやる。心成しかリライトの目から涙がこぼれた気がした。
俺はそれに何も言わず、近くの開けっ放しの乗用車の運転席に乗り込んだ。真っ黒なカラーリングの小型乗用車のようだ。メーカーはトヨタで確かパッソとかいう奴のはず。昔CMでやっていた。
キーも掛けっ放しで放置されているのが幸いしたぜ。多分逃げようとした時にゾンビにやられたんだろう。
俺はX−7を助手席に置いて、シートに凭れ掛かる。ドアは閉めない。
「ああ……。本当に不運だ」
腕時計を見ると九時を過ぎていた。単純計算で俺は時計一周するまで寝ていたらしい。
「本当に……」
そのまま俺は気絶するように眠る。というかほとんど気絶だった。
ちなみにこの時の俺は俺を呼んだ少女のことをすっかり忘れていた。そして俺は夢を見る。儚き少女の絶望の様を。
いかがでしたでしょうか?
生きてたんですねえ良祐。まあ主人公は良祐なんで交代させる気は無いですけど。
生存の良祐!孤独になった良祐は?
それでは次回会いましょう!御意見御感想をお待ちしています!