第24話 エロがあったら命が消えた?
おはにちは!らいなぁです!
書くことは無いんですよね。しょうがないから宣伝でも。
不定期更新で新規連載小説を投稿しました!
タイトルはーー
異世界が来たっ! ~俺と少女とファンタジー~
ーーです!
是非読んでみてください。
螺旋階段の辺りまで来ると、手すりに手を掛け下を覗き込む。ここは三階だが、かなりの高さがあった。
「うわぁ……うじゃうじゃいるぜ」
一番階下の一階に、結構な量のゾンビがたむろって居る様子を見て、つい顔をしかめる。
しかも階段上にもゾンビが居るし、戦闘無しで突破は不可能だろう。
「どうするんだ?良?」
真横で同様に覗き込む理奈が俺に指示を仰いでくる。手には俺が使っていたライオットガンが握られて。
「そうだなぁ……」
階段から何か落とすか?……駄目だな。螺旋階段だからあまり効果的じゃない。
非常階段で降りるか?……これも駄目だ。駐車場の反対側に降りてしまう。
強行突破するか?……論外だ。非戦闘員が居る中で強行したら一人二人は死人が出る。
俺が決めあぐねて唸っていると、サクラが俺に声を掛けてきた。
「なら非常用脱出口を使えば?」
「非常用脱出口?」
話によると、この学校には数百年とか続く有名な良家の娘などが居たりするので、非常事態の際、真っ先に脱出させる目的で作られた外部へ通ずる出口があるらしい。それが非常用脱出口という話だ。
ーーーーんだそれ。金持ち自慢かよ。でもそれは使えそうだ。
「それで行こう。案内頼む」
「わかった」
サクラが先頭に立って、来た道を戻る。その後ろに流石サクラさんですわ。ーーとか、野蛮な人には真似出来ませんね。ーーとか言って付いて行くリライトと藤崎が居た。少々、癪だな。
しかしそれを表に出すことはしない。リーダーがチームの雰囲気を悪くしてどうする。そう自分に言い聞かせて、俺はサクラの後を追った。
非常用脱出口っていうのは、まあ「脱出口」な訳だから、決して歩ける通路じゃないんだよね。
「狭い」
「我慢しろ」
まるで通気口のような狭い通路をしゃがんで進みながら、二つ後ろの姉貴が言った。
ほとんど即答で我慢という言葉を出した俺でさえ、さすがにこれはかったるい。特殊部隊かよっ!とツッコミたくなる。
そのツッコミをグッと堪えて、先頭を進む俺は一番後ろのサクラへ言った。
「後どん位だ?」
「数分ぐらい」
心なしかサクラの声も辛そうだ。ていうか後数分もこのままかよ。
身軽な装備だったのならともかく、X−7とか銃器類を所持した状態でこれはキツイ。特殊部隊って凄いんだな。
「狭いのもそうだけど、暑さも大変だ」
真後ろの冬紀の言う通り、この中は蒸し暑さが渋滞を起こしてワヤだ。ましてや今は八月、まだ夏の時期だからな。
「暑いぃ〜。汗がグショグショだ〜」
理奈の言葉に同意だな。汗でTシャツが張り付いて気持ち悪い。しかも酸素が少ないから息苦しいし。
「はあ、はあ、速く行ってよ良祐」
「うっせ。これでも精一杯だ」
早織も肩で呼吸しているような状態だ。速く行きたいのは山々だが、俺のポテンシャルではこの進行スピードが一杯一杯だっての。
「良祐さん。胸が支えて……」
「じゃあコンパクトに折り畳んどけ」
姉貴の豊かな胸は円さんの遺伝だから、当然円さんも胸が豊か。しかし同じぐらいの大きさで姉貴が通れたのに、姉貴よりも体が小柄な円さんが通れないはずが無い。つまりこれは誘惑しただけだ。必殺ボケ殺しでもしておこう。
「ああ〜」
でもしかし、暑い・狭い・息苦しいと三拍子揃って最悪だな。しかも……ヤヴァイ。
女性陣は息苦しさからそうしているだけだと思うが、呼吸が凄くーーーー官能的だ。
見えるわけではないけど聞こえる呼吸音は色っぽく、段々と俺の何かを蝕んでいっている。ヤバイ急げえぇぇぇぇ!!
残っている全ての理性を総動員し、俺は今まで出したことが無いような身体能力で通路内を進む。
「良祐?どうした?何でそんな早く……」
冬紀いぃぃぃぃ!!純真ぶってんじゃねえぇぇぇぇぇぇ!!気付けえぇぇぇぇぇ!!
心の絶叫と同時に、前方に扉が見えた。即行で扉を開けて外へ出る。
「ぷはぁっ!!?」
死ぬ、死ぬ、死ぬぅ!!ようやく危機から脱出した俺は、多分ハーメルンの時より呼吸が荒くなっているに違いない。
しばらくするとぞろぞろと後続が通路を出てきた。視線を向けようとするが、ちょっと透けてない?ーーという理奈の無神経な言葉のせいで見るに見れなくなってしまった。
しょうがないから呼吸を整えて、周辺を見渡してみる。
「ここは……駐車場か?」
見たことの有る風景と俺たちのハンヴィーがすぐそこに見えたことからも、ここは駐車場で間違いないようだ。
サクラも肯定したし、良かったぜ。面倒な戦闘をせずに済む。
「あの、良祐さん……」
「何だ?」
振り返って円さん(だけ)を見る。よし、透けてはいない。
彼女は怯えた様子で、ある一点を指差したまま硬直していた。俺は指差された方向へ視線を向け、同様に硬直する。
他のみんなも俺と円さんの様子から同じ方向を見て、一人残らず凍結していた。
指差す場所には、二メートル前後の巨体を持つ土色の肌のゾンビが居た。目からは真っ赤な涙が滴って。
「ミュータント……だと!?」
何故奴がここに!?いやそれより、アイツは嗅覚で索敵するから俺たちに気付いてていうか死んでなかったのか!?
ああくそ!頭の中がゴッチャゴチャだ!落ち着け。あれが小林邸に出た固体とは限らないだろ!
そのミュータントをよく観察すると違いが見えてきた。大きさがちょっと違う。前回の奴より小さいみたいだ。それに大量に浴びせた弾薬の弾痕が一つも無い。あの固体とは違うようだ。
「ちぃ、こっち来やがる……!理奈!冬紀!手伝え!他の奴は車に乗って脱出の準備!!」
「「おうっ!」」
理奈と冬紀の返答を背に、俺はミュータントを出来るだけ車から引き離そうと、ミュータントに向け駆け出す。
「こっちだミュータント!」
出来れば撃ちたくは無かったが仕方ないようだ。X−7の安全装置を解除、連射にして構える。
サイトを覗かず、目測で狙って引き金を引いた。
八発を放ったが命中したのは五発のようだ。でも今はそれで良い。注意さえ引ければ。
数メートルまで近づいた所でミュータントは腕を振り上げた。マズイ!
そう直感し、ミュータントの脇へ前転を繰り出す。瞬間、俺の上をミュータントの腕が通り過ぎていった。
「俺がこんなアクションする日が来るとは思わなかったぜ……!」
体勢を立て直して、休む間も無く駆け出す。
「援護するぜ!」
振り返って声のした方を見る。ミュータントからある程度距離を取った理奈が、ライオットガンをポンプアクションでぶっ放していた。
これは前回同様、ミュータントを怯ませるには十分な威力だった。
「はあっ!!」
怯んだ隙を狙って、冬紀が通り過ぎ様に鉄パイプで奴を殴打する。しかし、あまり効いていないようだった。
「まだだ!時間を稼げ!」
HUDスコープの電源を入れ、モードをS、フルオートでVAB弾を胴体へ放つ。
反動がでけえ!銃口が上に逸れる!当たったのはたった三発で、他の四発は空しくもミュータントの頭上を通り過ぎていく。
くそ!今の俺じゃこれは扱えねえ!連射から単射に切り替えて、さっきのフルSが効いたミュータントにヘッドショットする。
「ヘッドショットが必殺じゃないって……ホントに規格外だな」
一応は効いているみたいだが、関係無しにミュータントは立ち上がった。
弾薬だって無限じゃねえんだぞ!確かX−7は装弾数が三十五発だから、使った弾は十六発、残弾は十九発か!
理奈はライオットガンしか使ってねえから12ゲージ弾。冬紀は一応拳銃持たせてるが射撃できねえとかで使ってねえ。あれ?弾使いまくってるのって俺だけ?
「何やってるのよ野蛮人!」
「なっ!?」
俺があれこれ考え事していると、ハンヴィーの近くに立ったリライトが俺に向けて怒号を飛ばしてくる。
あんの馬鹿!ミュータントは視覚が使えないから誤魔化せていただけで、聴覚はまだ使えるんだぞ!?
「逃げろ!」
そう言って駆け出した頃には時既に遅し。跳躍を開始したミュータントは弾丸を受ける中、リライトの目の前まで着地し、左腕でリライトを払い除けるように、左方へ思いっきり腕を振るう。
「きゃっ……ぐぉ!!?」
リライトは悲鳴すら上げる前に、淑女とは思えない声で左方にあった乗用車に叩きつけられる。
乗用車に当たった瞬間ーー例えるなら雪球を壁に当てたようにーー彼女は潰れて、白色の乗用車を真っ赤に染めた。
見るだけで複雑骨折、大量出血、臓器なんてグチャグチャ、腕から飛び出した骨。多分……即死だろう。
リライトの遺体は無残にも崩れ落ち、その美しかった顔(だと思う)は見るに耐えない表情で硬直している。有り得ないほど剥き出しにされた白目が、彼女の死を物語っていた。
「ミレリア!ミレリアァァァァァァ!!」
ミレリア、確かリライトの名前だったはず。ミレリア=リライト。
サクラの絶叫が響く中、俺はリライトが殺された怒りを携え、右手で腰から短刀を抜き放つ!
「キィィィィサァァァァマァァァァァァァ!!」
二度も知り合いが殺された怒りから、俺は直前まで考えていたことを、自分の怒りに変えて特攻を仕掛けた。
ミュータントをハンヴィーから引き離すために俺が特攻を仕掛けるという作戦を、俺は怒りのせいで全て忘れて、ほとんど復讐のように特攻を仕掛けていたのだ。
「良!?危ないぞ!!」
理奈の警告もいざ知らず、ハンヴィーに標的を定めたミュータントへ、右手の短刀で思いっきり切り付けた!
「ちぃ!」
しかし、ミュータントの強固な肌と、連続使用による消耗から、短刀の刃は脆くも砕け散ってしまう。
ミュータントは予想通りに俺へ標的を変え、振り返る。あっ、ヤバイ。奴の注意を引いた後を考えてなかった。
避けるだけの余裕が無かった俺としては、瞬間的に跳び、体の前に腕を持ってきて、ミュータントのボディブローの威力を軽減させることしか出来なかった。
「ぐぅっあ!!」
俺の体は弧を描き、ゆっくりと校舎近くの植え込みの中に落ちる。不思議と痛みは感じなかった。
そして俺を呼ぶ声が聞こえたのを「さいご」に、俺はその意識を全て失った。
いかがでしたでしょうか?
また知り合いが死んだ!主人公の命は?
それでは次回会いましょう!御意見御感想をお待ちしています!
異世界が来たっ! ~俺と少女とファンタジー~もよろしくお願いします。