第2話 そうして日常は壊された
おはにちは!らいなぁです!
これからちょこちょこと紹介を書かせていただきます。手始めに主人公からです。書き方は僕の尊敬する作者の書き方を真似させて頂きます。(勝手に申し訳ありません!)
【前原 良祐】
年齢:16歳
職業:高校生(二年)
誕生:9月27日
知識 ★★★★☆
体力 ★★★☆☆
攻撃性 ★★★★☆
俊敏性 ★★★★☆
統率力 ★★★★★
機転性 ★★★★★
ギャグ ★★★★☆
主人公。役割は主にボケ。ゲームやアニメを良く見ているがオタクではない。一人称は俺。
容姿は栗色の髪を眼にちょっと掛かるくらいに伸ばし、凛々しい顔立ちをしている。詰襟の学生服を着崩し、右腕に耐ショックの腕時計をしている。
東海林市立林名高校の生徒。二年A組。
両親共に健在。父親は世界中を飛び回って遺跡を研究する学者で現在行方知れず。母親は専業主婦。
小学校のときは明るく、クラスの人気者的存在。しかし中学校のときに何かあったのか、今はあまり目立たない存在。
過去の事柄をあまり話そうとせず、少々ひねくれた性格はそのことからきていると思われる。
母親を名前で呼ぶ変わった少年で、1人いる姉は姉貴と呼んでいる。
頭の回転が速く、成績も上の下。趣味はゲームとアニメ観賞。
成り行きからみんなに指示を出すリーダー的立場になる。
――朝。俺、前原良祐は、いつもの通学路を走りながら右腕につけた腕時計を見る。
――8時24分。
「くそっ。ギリギリ間に合うか?」
俺は焦りながらも長距離走れるペースで走り続けた。
――8時24分36秒。ここから歩きで20分かかるが、走れば間に合うかもしれない。体力が持てばの話だが。俺は運動は苦手でもない。どっちかといえば得意なほうだと思う。そんな俺でもいけるかどうか。
「円さんも起こしてくれよな……!」
円さんとは母親である。俺と姉貴の母親で専業主婦。
昔は色々していたらしいが、今は世界中飛び回っている親父の仕送りと姉貴の給料で十分足りるから、円さんが働かなくてもいいのだ。何故俺が円さんを母さんと呼ばないのかというと、……ただ照れくさいだけだ。色々あったんだよ色々。
今日は姉貴が会議で朝早くからいないから、円さんに起こしてもらおうかと思ったのだが、
「あら?まだ時間じゃ……あらら?時計が30分ほど遅れてたみたい」
だそうだ。某上条さんじゃないけど不幸だぁぁぁぁぁぁぁ!!
俺は間に合うか疑問に思い、ちょっと早く走る。
「そーだ!近道……?」
と、学校へ近道できる人通りが皆無の薄暗いわき道に入ると、一瞬空気が異様なものになる。
俺は不審に思いつつも、わき道を走ってすり抜けようとする。しかし、
「なんだ、あれ?」
視線をわき道の奥に向けると、変な格好の人が立っていた。
見た目から推測するに30代の女。オレンジ色の……スーツ?を着て、首元に「赤い布」を巻いている。顔は見えないが、所々露出している手や足の肌の質から見て、年齢は間違ってないはず。
彼女は有り得ないほどの内股で、両腕を無気力に垂れさせている。その左手には、白いバッグを持っていた。
「暑さで項垂れてる?それとも酒か?」
俺は少しビビッたが、安全を確認すると女の脇を通り抜ける。女は反応して俺を捕まえようと両腕を伸ばしたが、動きが鈍くて簡単に避けられた。彼氏にフラれて男でも探してんのか?と思って、その女に振り向かずに言った。
「俺は高校生だから相手にすんな〜」
まだ余力の残っている俺は、そのままスピードを上げる。
ただ少し疑問もある。俺が通り抜けようとした時、あの女の周りで変な臭いがしたこと。顔は良く見えなかったが、皮膚が爛れた感じがあったこと。あの不自然な歩き方のこと。
俺は少し頭をめぐらせたが、疲労のせいでうまく考えられない。無駄なことはやめて早く急ごう。
「間に合え〜」
息も絶え絶えで、俺は学校に向かった。
『キーンコーンカーンコーン』
古い音だな。新しいの買えよ。そう思いながら、俺は少々不機嫌に左手で頬杖をついていた。
――昼休み。開始と同時にクラスのみんながバラける。購買に飯を買いに行く奴。食堂に飯を食いに行く奴。弁当を持ってきた奴。人それぞれだが俺は弁当派だ。それに今動きたくないし。
俺が体勢を変えることなくクラスの方を見ていると、後ろから二つの声が聞こえる。
「おやおやこれは……朝大遅刻してきた良氏ではないか」
「からかうのやめなって理奈」
俺が視線だけをずらすと、そこには弁当を持った冬紀と理奈がいた。
そう、俺は結局間に合わなかった。走りすぎて途中で止まってしまったのだ。そのせいで歩くスピードは落ちるわ、喉渇くわ最悪だったぜ。
「なんだバカめっ」
俺がある意味でも口癖のその言葉を発すると、理奈が突っかかってきた。
「それはお前だろうババババカめっ」
今のはさすがにカチンときたよ〜?
俺は立ち上がり理奈を睨み付ける。理奈も睨み返してくるが、俺には効かないぜ。睨み付けられるのは慣れてるからな。…………ちょっと悲しくなった。
「やる気?」
「駄目だって良祐も理奈も」
冬紀が仲裁に入ろうとするが全く変化なし。俺はたった一言告げた。
「お前は、俺には、勝てない」
「なんだとぉ……!」
良い感じに理奈が怒ってきてる。俺は睨み付けている理奈の右側に回り、耳に息を吹きかけた。すると、
「ひにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜……」
と言って、理奈は床に崩れ落ちた。俺は左手を制服のポケットに入れると、カバンの中から弁当を取り出して理奈に背を向け言った。
「また俺の勝ちだな」
俺はそのまま教室の外に向けて歩き出す。後ろで卑怯だぞ〜!!とか言っていたが、戦略と言って欲しいね。
「………………」
飯を食った俺は、授業をボイコットして屋上で寝ている。屋上は立ち入り禁止なんだけどね♪
立ち入り禁止とは書いてあるけど鍵ぐらいは閉めろよ、とか思ってみたり。
「眠い……」
じゃあ寝ればいいじゃん。と言われても寝れないわけがある。一度寝たら何時起きるか分からないだろ!――――というのは冗談だ。すぐに教室に戻るためだ。少し気になることがあって屋上に来た。
俺は立ち上がり、数歩歩いて柵に手をかけた。遠くの町のほうに視線を向ける。
「騒がしいな……」
町の方がほんの少しうるさい。本当に小さい音なので、屋内じゃ聞こえないかもしれない。
「何もなければ……」
良いんだが、と言おうとした瞬間、
「なんだっ!!?」
視線をさらに遠くの山に移した時、そこにはとてつもない量の爆煙が見えた。何かが爆発したのだろうか?さすがにこれだと屋内でも異変に気づくかもしれない。
俺は視線を落として帰ろうとする。その途中で、学校近くの商店街が眼に入った。
「………………!!?」
俺は言葉を失う。商店街にいたのは大量の人と、大量の――――化け物だったからだ。――その人の形をした化け物は、人間にゆっくりと迫り、そして捕まえて――――噛み付いた。尋常じゃない顎の力で、噛み付いた腕を食い千切りそうなほど強く噛んでいる。大量の鮮血が舞い、薄っすらとだが、白い――骨みたいなものまで見える(遠すぎてよく分からないが)。
噛まれた人は俺の耳に届くほどの奇声を上げ、数秒すると突然途切れる。その人をよく見ると、大量の化け物に囲まれて、体中のいたる所を同じように噛まれていた。そしてきっかり30秒で、その人は不自然に起き上がった。
いや、人じゃない――――化け物だ。噛まれた人は化け物の仲間になり、同じように人を襲う。俺はあれを知っている。あれは、
「……ゾンビだ」
――あるいは「奴ら」。
俺は目を見開きながらも、冷静に事態を考えていた。
俺の頭に入っている情報が確かなら、ここもいずれ危険になる。最悪なことに、町は屋上からじゃないと見えない。学校の周りに植えた木々が結構な高さで、ここ林名高校は1〜5階までがほとんど木で視界が遮られる。つまり、この事態を知っているのはせいぜい俺だけだ。
気づけば、商店街の生きている人間が、最初は300人ぐらいいたのに、もう100人を切っている。それに反比例して、ゾンビの数は100程度から300ぐらいに増えていた。
しかも生きている人間(ここでは生存者と仮定する)は学校を目指しているのか、どんどんこっちに来ている。
「おいおいマジかよ……!」
生存者がこっちにきたらゾンビも来るわけで、制限時間がどんどん無くなる。
「くそっ!!」
死ぬなら死ぬで俺たちを巻き込まないでくれっ!!
そう思いつつも、俺は下に下りる階段向かって駆け出した。
「二年の教室は3階か……!」
全力疾走で走る俺は、一目散に俺のクラスへ走っている。理奈と冬紀にこの事態を知らせなければ。
時々人とすれ違うかと思ったが、授業中のせいで誰もいない。俺は好都合と階段を一目散に駆け下りる。
「3階にはついたが……!」
ようやく3階にたどり着いたが、俺のクラスは中程にあるのでまだ走らなければならない。
俺はスピードを緩めることなく右に曲がり、俺のクラスへ向かう。視界をあげると、俺のクラスの札が見えた。――あと、もう少し。眼を外に向けて、まだゾンビが来てないのを確認し、さらにスピードを上げる。
「つい……た…」
俺のクラスの手前で急ブレーキをかけ、扉の前でピッタシに止まる。どうやら教卓側の扉じゃなく、ロッカー側の扉の前のようだ。俺は休憩するのも忘れ、一気に俺のクラスの扉を開けた。バァン!という大きな音とともに扉が開き、クラス全員の視線が俺に注がれる。
俺は臆することなく、窓側の一番後ろにいた冬紀と、丁度真ん中ぐらいにいた理奈を視界に捕らえ、歩き出す。
「おい前原っ!授業妨害か?」
俺の雰囲気を感じ取り、数学教師が俺に近づいてくる。俺はガン無視で理奈の隣まで行く。
「な、なんだ良?」
俺の剣幕に理奈も圧倒されているが、今そんなことを気にしている場合ではない。
俺は理奈の右手を掴み立ち上がらせた。
「なんだよ!おい、いきなり何を……!」
「説明は後だっ!死にたくなきゃ俺について来いっ!!」
「…………!」
いきなり怒鳴った俺に、理奈は二の言葉が出なくなる。
事情を説明するだけの時間が惜しいので、俺は理奈の手を引っ張って冬紀の元へ向かう。
「冬紀お前もだ。行くぞ」
簡潔にそれだけを述べて、冬紀の右手を残った左手で掴んだ。しかし冬紀はその場を動こうとせず、代わりに口を開いた。
「僕は行けない」
「どうして!?」
「理由も無しに授業を抜けることは出来ない」
冬紀は凛とした態度で俺を見ている。
「理由ならある!だから行くぞ!」
「ならその理由を教えてくれ」
「そんな時間は……!」
無いと言う前に、冬紀は俺を睨み付けてきた。その眼差しは冷たく、一瞬言葉が出なくなってしまう。
俺は熱くなった頭を一回落ち着かせ、しょうがないといった様子で説明を始めた。
「化け物が出た」
「化け……物?」
「ああ。多分ゾンビだ」
「良、頭大丈夫か?」
冬紀もこの言葉は想定してなかったのかポカンとしている。理奈は俺の頭まで疑ってやがるし。まあしょうがないけどな。クラスのみんなも大爆笑してやがる。俺にはそれにいちいち構ってやれるほどの余裕はないのでガン無視だ。
とそこで、俺は窓の外に異様な雰囲気を感じ、窓の外に視線を向ける。
「来た……」
「「えっ?」」
小さく呟く俺を見てから、冬紀と理奈は視線を窓の外に向けた。しかしそこには校門があるだけで何もいない。俺はゆっくりと、クラスのみんなに聞こえる声量で言った。
「ゾンビだ……!」
次の瞬間、校門の陰から、生きている人間1人とゾンビが10数体流れ込んでくる。だがみんなは遠くて良く見えないのか、ゾンビを動きがおかしな人間のように見ている。
あれ普通の人だろ?クラスの中からそんな声が上がった時、クラスのみんなは息を呑んだ。
――――生きている人間をゾンビが食っている様を目撃してしまったのだ。
首に噛み付き、動脈を噛み千切り、大量の血液が数メートルぐらい空を飛んで、それでも終わらずに足や腹、顔などその人が見えなくなるぐらいまでゾンビが覆いかぶさって、その人が死んでも肉に噛み付き続ける。そしてまたきっかり30秒で噛み付かれた人は起き上がる。・・・・・・ゾンビとして。
無音が教室を支配して数十秒経った時、ようやく誰か1人が動きをはじめた。悲鳴という形で。
「ーーーーーー!!」
もう何を言ってるのかも分からないが、その悲鳴でクラスのみんなが動きを開始する。
「何だよアレ!!」
「ゾンビか!!?」
「殺される殺される殺される!!」
「食われるじゃねぇ!!?」
「どっちでもいいよどっちでも!!」
「死にたくないよ!!」
「逃げるぞ!!」
「うわああああああああ!!」
「落ち着けみんな!!」
「落ち着けるわけねえだろ!!?」
――大パニック。さながら地獄絵図だな。俺は一度見ているからまだ落ち着けている。冬紀と理奈も信じられないものを見た様子で立ち尽くしていた。俺は冬紀と理奈に言った。
「俺の言葉は信じなくてもいいから俺だけは信じろ」
「「………………」」
放心状態だった理奈と冬紀も、その言葉で正気を取り戻し頷く。
「わかった。良祐に従おう」
「アタシもしょうがないから従うよ。疑って悪かったな」
「ありがとう」
俺は二人の手を離し、右ポケットからケータイを取り出す。
「これからどうすんだ?」
理奈は窓の外を見ながら俺に聞いてくる。
「まず武器になるものを用具室に取りに行こう。階段のすぐ近くだし。その後で姉貴に合流して保健室で作戦会議だ」
「了解っ」
「わかった」
俺はケータイの時刻を確認して、アドレス帳からあ行の一番上、姉貴を選択する。
1時37分。姉貴は保健室に居るはずだ。
――――コール音が数回鳴ってようやく繋がった。
「姉貴!無事か!!?」
「おおおお姉さんは!ア、アネーキーじゃないです!!」
あんの馬鹿。パニックになりすぎて意味不明なこと言ってやがる。
「馬鹿なこと言ってんじゃねえ!!それより今保健室か!?」
「はは、はい!!」
「なら保健室の鍵を全部閉めろ!!俺たちが行くまで絶対に開けるんじゃねえ!!」
「わ、わかりましたぁ!!」
聞き届けてから通話終了のボタンを乱暴に押す。だいたい何だよアネーキーって。ぐちぐち言いながら頭をフル回転させて保健室に行った後を考える。とその前に……。
「姉貴はやっぱ保健室だ。保健室に行こう」
二人は頷いて俺たちは走り出す。
そうして俺たちの日常は壊された。掛け替えの無い安息と共に……。
いかがでしたでしょうか?
次回も紹介を書きたいと思います。
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