表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/68

第18話 物資調達で5話目に突入て!

おはにちは!らいなぁです!

頭痛い……大して無い頭を酷使しすぎました。

一区切り付いたらしばらく休憩しようかな……。

紹介はありません!何故ならそれは自然の摂理。……調子乗りました。

 ある程度歩いて気づいたが、どうやらさっきまで居た場所は事務所のような所だったようだ。

 だから出口があったのか。なるへそなるへそ。

 ちなみに今、俺たちは惣菜コーナーの辺りを歩いていた。あんな所に居続けたくは無いからな。

 周囲の安全を確認した壁際に姉貴を一旦座らせた。俺も休憩しないと……っ!


「頭いてえ……」


 さっきは怒りで痛覚が麻痺していたが、終わった途端痛みがぶり返してきやがった。おもっくそ殴りやがってアイツら!

 とりあえず俺は大丈夫だな。今は姉貴のほうが心配だ。


「大丈夫か?」

「う、うん……」


 心ここに在らずってやつか?姉貴は青ざめた顔であらぬ方向へ視線を向けていた。

 やり……過ぎた?あの時は脳内麻薬が大量に分泌されてたせいで、アイツらを殺すことだけを考えてたからな。

 しかし、姉貴は俺の思考を悟ったのか首を横に振って否定する。


「違うの、良ちゃんのせいじゃないよ」


 そう言ってくれるのは嬉しいが、少なからず影響を与えているように見えて仕方が無い。

 俺のせいだ。スーパーに人が居る可能性を考慮してなかった。

 ましてやこんな極限状態で、あんな頭のイカれた連中が出ることをアニメとかで見ていた俺は、もう少し注意を払うべきだった。

 現実には無いフィクションでも学ぶことはあっただろうに!くそがっ!


 壁を叩いてみるがこの複雑な感情が晴れることは無い。


 重い空気が場に漂うのを感じる。姉貴も固く口を閉ざしたまま何もアクションを起こさない。

 どうするか?このままここに居るのは得策じゃない。でもなあ……。

 空気を変えたいのは俺だけじゃなく姉貴も同様のようで、何かを呟いて俺に声を掛けてきた。


「ねえ、さっきの銃は……?」

「ん?」


 USPのことか?そういやUSPのことは姉貴に話してなかったな。

 俺は昨日の香澄さんとの会話を鮮明に語る。姉貴は最後まで何も言わずに聞いてくれた。


 全てを聞き終えた姉貴は、そうなんだ……と呟くと俯いてしまう。


 何かヤバイこと言ったか?彼女は俯いていて表情が見えない。

 俺がそわそわとしていると、姉貴は懐かしむような声音で問いかけてきた。


「覚えてる?」

「えっ?」


 顔を上げ、天井を仰ぐ姉貴の顔は、嬉しそうでもあり、悲しそうでもある。


「2年前のこと……」

「…………ああ」


 2年前。それは忌まわしい事件があった年。

 当時、姉貴が大学に入って2年目の頃。大学が終わり、家への帰路についていた時に事件は起こった。

 帰宅路の人通りが少ない路地で、姉貴は三人組の男たちに誘拐されてしまったのだ。

 容姿やスタイルのせいか?はたまた金か?理由は分からないが、誘拐犯は車で逃亡。

 しかしその様子を目撃されていたおかげで、直ぐに東海林市内に警戒網が敷かれた。

 そして犯人は市内を出ることも叶わず、どこかへ身を隠したのだ。

 警察は捜索を続けたがなかなか見つからず、硬直状態で夜が明けた時に事態は急展開を見せた。


 犯人が身代金を要求してきたのだ。およそ1000万円。


 もちろんそんな金を直ぐに用意できるわけでもなく、交渉は決裂するかに見えた。

 だが、犯人はミスを犯し、警察に逆探知されたのだ。警察は現場に急行。犯人たちを追い詰めることに成功した。

 しかし寸での所で取り逃がし、それきり犯人は霧のように消えた。行方をくらましたのだ。

 かなり切羽詰っていたせいか、犯人は姉貴を置き去りにしたまま逃走。救出には一応成功した。


 そして翌朝、逃走したはずの誘拐犯三人が、警察署の前に半殺し状態で放置されていたのだ。


 誰がやったかは不明。犯人たちも頑なに口を割らなかった。謎は明かされること無く、そのまま迷宮入り。

 救出された姉貴は事件の恐怖から精神を少し病んでしまう。いわゆる人間不信ってやつだ。

 でも、俺と円さんの献身的な協力のおかげで、姉貴は徐々にだが人間不信を克服できたのだ。

 それで何週間か掛かって、今の姉貴にまで一応回復した。最初のほうはガタガタだったけどな。


 それが2年前にあった全て。表立った記録だ。


「でも、それがどうした?」


 あの記憶は手に取るように鮮明に思い出せる。でも、今話すような話題でも無いだろう。

 姉貴は一間開けると、笑って口を開いた。


「今回も……あの時みたいだね」


 そう…………かもな。奇しくもあの時みたいだ。俺はまた、2年前を繰り返してしまったのか。

 俺が呟くと、姉貴は違うよと首を振る。


「良ちゃんが直ぐに助けてくれたもん」


 俺は何も言えなくなり、恥ずかしさから顔を背けた。……くっ、顔が熱い!

 うわー!そういやさっき色々言ってたな!美鈴に手を出した奴は…………ぎゃあぁぁぁぁ!!

 さっきのことを思い出し、一人顔を赤面させていると、姉貴は思い出したように声を出す。


「そういえば、あの時犯人を懲らしめた人は無事かな?」


 こんな世の中の惨状から出た言葉だったのだろう。しかしそれは俺の行動を止めるのには十分な言葉だった。


「きっと無事だよね?」


 強いからと言う姉貴の顔から、俺は視線を地面に向ける。

 ああ、その人は生きているよ姉貴。2年前の犯人を半殺しにした奴は元気だ。


「一度会ってみたいな」


 会ってるどころじゃねえよ。そいつは直ぐ近くに居たよ。

 俺はそいつを知っている。すぐ身近な奴だから。


「誰なんだろうね?」


 違うよ姉貴。目の前に居るよ。そもそも警察や姉貴たちが分からないのも無理は無い。

 そいつは誰にも言ってないから。でも唯一俺は知っている。


 2年前の犯人を半殺しにしたのは「俺」だからだ。


 警察が逆探知に成功した際、俺は警察の後を追って現場に向かった。

 そこで周囲を探索していると、犯人の物と思しき車を見つけたんだ。

 俺は車の中に隠れ、逃げていた犯人を追跡するつもりだった。案の定犯人は逃げてきて、俺が乗った車で逃走。

 最初は警察に通報するつもりだったけど、車が停車した際に犯人たちが姉貴を誹謗したから、つい……ね。

 円さん譲りのケンカ強さで半殺しにしてしまったわけだ。


 幸い近かったのもあって警察署に放置してやったけど。

 犯人はアレだね、中学生のガキに半殺しにされたのが不名誉だと思って言わなかったんだね。

 その後俺は、傷だらけの風貌で家に帰ったけどさ。


「誰だろうな〜?」


 ちなみに俺はその事を誰にも言ってない。姉貴にも円さんにも理奈にも冬紀にも。

 言う必要性を感じなかったから。犯人が放置されていた事に関しては、後で警察から何かしらあるだろうし。


 それが2年前の真実。本当の全てだ。


 姉貴は色々話していて落ち着いたのか、立ち上がり満面の笑みを俺に投げかけた。


「いつもありがとう良ちゃん!」


 唐突過ぎるだろ。でもまあ、受け取っておこう。ささやかな報酬として。

 うーん、気分が清々しい。何か良いことでもしたくなってきた。

 俺は姉貴の肩に制服の上着を掛けて、左手に持ったMPSをしっかり握らせる。


「こんなことがあった後だけど、もう少し頑張ってくれ」

「うん!」


 即答かよ。もう少し渋ると思っていたんだけどな。まあ今回は精神に何も無かったようで、良かった良かった。

 っしゃ!行っか!俺はライオットガンを構えて、暗がりの中をゆっくり歩いていく。

 もちろん姉貴を連れて……な。だけど今回は横に歩かせよう。何があっても対処できるように。


「行っくぞ〜!」

「おー!」


 ノリ良いな姉貴。あんなことがあった後なのに。良いことだけど。

 俺たちは会話を止めることに無く、少しずつ歩を進めていった。





「これで全部か?」

「そうだよ〜」


 スーパーの前に停めた高機動車の中に、田代さんから言われていた物資を車に載せ終わった俺たちは、一旦車の中へ戻る。


「田代さんは戻ってこないのか?」

「みたいだね……」


 だというのに、田代さんは一向に戻ってこない。銃声も全く聞こえないし。

 まさか…………いやでも、あの田代さんだぞ?今は随分丸くなったとはいえ、元は傭兵だった人だ。

 ちょっとヒーハーしすぎて疲れただけだ。いずれ帰ってくるだろ。…………うん。

 俺の一考を読み取った姉貴は悲しそうな顔をする。


「だ、大丈夫だって!すぐに呼びましたか?とか言って帰ってくるに決まってる!」


 俺は無理矢理感が否めない様子ながらも、何とか姉貴を元気付けようとした。くそ……俺だって一杯一杯なのに!

 ふと姉貴の口から零れた彼の名前が、車内に空しく響き渡っていく。


「呼びましたか?」

「うわぁっ!!」

「きゃぁっ!!」


 突然運転席から田代さんが顔を出してきた!居たのかよ!

 彼は俺の心を読んだのか、その返答ばりに言葉を出した。


「ええ、ただ今」


 音も無く忍ぶなよ!怖いだろ!ていうか心を読むな!

 とりあえずひたすらつっ込んで置こう。……心の中で。口に出してもアレだし。

 田代さんは運転席のドアを閉めると、俺に確認するように問いかけた。


「物資は?」


 そりゃあもちろん、完璧です。俺はそう即答して、ニカッと笑ってやった。

 田代さんも笑い返して、一件落着…………といきたいところだが、遠足は帰るまでが遠足だからな。(遠足じゃないです)

 では行きましょうと、田代さんが車のエンジンを掛け、ゆっくりと高機動車を走らせる。


「疲れた〜」


 俺ってよくよく考えれば働きすぎじゃね?

 一昨日は車を爆破して、昨日はハーメルンをぶっ殺して、今日はこれか。……誰か給料出してくんねえかな。

 気だるい体をシートに沈め、俺はグチグチ文句をたれていた。

いかがでしたでしょうか?

やっと買い物が終了しますね。はい。

ここまで5話消費しました。買い物だけで。大して書いてないのに。

ようやく物資を調達した主人公たち!後は小林邸に帰るだけ?

それでは次回会いましょう!御意見御感想をお待ちしています!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ