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第17話 美鈴に手を出す腐れ外道の末路はデッドエンド

おはにちは!らいなぁです!

疲れが溜まってます。もの凄く疲れが溜まってます。

………………以上です。

紹介はありません!当然ですか?

「ん?弾切れか」


 弾薬が尽きた俺は、車内に戻って天井を閉めた。弾薬を補給せねばならん。

 銃の下部にある装填口に、ポーチから出した12ゲージ弾を詰め込んでいく。7発……こんなもんで良いか。

 7発詰め込んだ後、フォアエンドをチューブラー・マガジンに合わせて往復させる。これでリロード終了だ。


 見れば姉貴も、ボックス・マガジンの弾薬が尽きたようで、マガジンを外して次のマガジンを装填していた。

 ドラム・マガジンは使わないようだ。重たいだろうからさっさと使えば良いのに。


 視線を田代さんに移すと、彼は片手で器用にリロード&次弾装填していた。手馴れてますね〜。

 装填しながらも、ハンドルを操る彼の手腕はただ事じゃない。普通の人には先ず無理だ。

 しかも、その状態でギアチェンジまでやり遂げる。それなのに車内の揺れはほぼ皆無だ。

 すげえ〜な〜田代さん。そんな関心事を呟きつつ、ふとした興味で声を掛ける。


「田代さんってどうして執事に?」


 そういえばそうなんだ。田代さんほどの腕があれば、歳関係なく今でも傭兵でいけるだろう。

 だけど今は小林家で執事長として身を置いている。どういうことだ?


 彼はしばし沈黙を貫いていたが、決心が付いた様子で口を開いた。


「結婚したからです」


 …………田代さんって結婚してたんだ?知らなかった。

 軽い衝撃が俺を一瞬硬直させてしまった。横の姉貴も同様に硬直している。


「もう亡くなってしまいましたが……」


 あっ、これやべえ話題だ。触れちゃいけない気がする。

 田代さんの言葉で我に返った俺は、気まずさから車外へ視線を逸らした。

 ひゅ〜ひゅ〜、俺は何も知らないよ〜。…………最低だな俺。


「そして妻の親戚である小林家に執事として仕えたのです」


 彼自身、あまり触れたくない話題なのか、そうそうに切り上げた。気まず過ぎる。

 その気まずい雰囲気を察した姉貴は、空気を変えようと何かを目論んでいる様子だった。


 何するんだ?そう思ったのも束の間……


「ニャー!」


 何をやっているんだ姉貴……。彼女は両腕を上げて、万歳の様なポーズでニャーと言った。

 俺は頭を押さえてため息を吐く。唐突過ぎるだろ、馬鹿めっ!


 こりゃ田代さんもさすがに怒るんじゃないか?しかし彼はホッホッホと笑うと、突然車を止める。


「ありがとうございます美鈴様」


 振り返って笑う彼は、何かを思い出したような表情で姉貴を見ていた。

 姉貴も上手くいったのが嬉しいのか、はたまた別の理由か、満面の笑みで笑い返していた。


 へえ、姉貴もたまにはやるじゃないか。少し見直したよ。


 車内に良い空気が流れる中、それを邪魔する不躾な輩が高機動車に向かってくる。

 しょうがない。俺は裏方に徹するか。

 ライオットガン片手に、天井を開けて身を乗り出す。


「良い雰囲気を邪魔する奴は12ゲージに撃たれて死んじまえ!」


 馬に蹴られて死んじまえ!的なノリでライオットガンのトリガーを引いた。

 一番手前のゾンビが後ろのゾンビを巻き込んで吹っ飛んでいく。いわゆる将棋倒しってやつか?

 フォアエンドを往復させて次弾をチェンバーに装填し、近くのゾンビへ銃口を向ける。


 一息にトリガーを引き、ゾンビを吹っ飛ばす。


 良いねえ。次は60%だ。と、いきたいところだが、そろそろ出発かな?

 次弾を装填させ、車内へ戻る。あー楽しかった。満足満足。

 戻ってくると車内の空気は元に戻っていた。空気が良いって最高!


 田代さんは俺が戻るのを確認すると、アクセルを踏んで車を走らせる。


「申し訳ありません。お1人で戦わせてしまって……」

「いいんです。俺がそうしただけですから」


 間違ったことは言ってない。俺が自分からやっただけだ。

 ありがとうね良ちゃん♪なんて姉貴が言ってくるが、むず痒いな〜。

 素直に感謝されることには慣れていないんだよ。くそ〜ハズイ。


 俺が身もだえしている中、田代さんがもうそろそろですよと言ってきた。

 姿勢を正し、ちゃんとシートに座って窓の外を見る。

 外には結構大きなスーパーがあった。どうやらここが目的地らしい。

 田代さんは出入り口の近くの駐車場に高機動車を停車させた。


「準備は入念に」


 俺と姉貴は頷き、各種装備の点検などなどを済ませる。

 ちなみに俺のライオットガンもUSPも短刀も何も問題は無かった。良いことだ。

 誰の装備も問題無かったとゆうことで、俺たちは車から出たいところなんだが……。


「外にはゾンビがうろちょろしてるよ?」


 どうやって出るの?と言わんばかりの顔で、姉貴は俺の顔を凝視してきた。そんな顔で見るなよ……。

 しかし田代さんは既に考えがあるようで、任せてくださいと自信満々に笑う。


「私が囮になりましょう」

「「えっ!?」」


 彼は衝撃的な考えを発表しだした!な、なんだって!

 でも!と俺が反論する前に、田代さんはドアを開けて飛び出していってしまった。

 いくら田代さんでも数が多すぎる。X−7とブローニング・ハイパワーとウィンチェスターM1300だけじゃ無理だ!……けど。


「田代さん!」


 姉貴がドアを開けて飛び出していこうとするのを俺は阻止する。


「何するの!良ちゃん!」


 どうやら姉貴は物凄く錯乱しているようだ。しょうがないけどな。


「落ち着け姉貴」


 田代さんの頑張りを無駄にする気か?そう言ったら姉貴は火が消えたように大人しくなる。

 もう出て行ったものはしょうがない。なら俺たちはやるべきことをやるだけだ。

 次々正論を言って、姉貴を抑え付ける。そうでもしないと俺が飛び出していきそうだったからだ。

 くそっ!いつもこんな役回りだ!表面上冷静を装いつつ、俺は静かに外を探る。

 近くにゾンビはいないようだ。さすが田代さん。


 俺は姉貴を説得し、伴って車から出た。さっきも言ったけど無駄には出来ないからな。


 ゾンビが居ないことを確認し、誘き寄せないように静かにスーパーに入る。ここまではOK。

 中にゾンビは居ないのか、まるで気配を感じない。好都合だ。

 索敵ついでに視線を巡らすと、薄暗いのも相まって異様な静けさがスーパー内に充満していた。

 俺はライオットガンを構えて、薄暗いスーパー内を進んでいく。後ろの姉貴には後方も注意しとくように言っておいた。信用しておこう


 ある程度進んだところで、外から銃声が響いてきた。田代さん頑張ってんな。俺も頑張るか。


 意気込みしばらくすると、眼が暗さにも慣れてきて、段々と物の凹凸や位置取りが分かるようになってきた。

 前方にレジが見える。とりあえずそこまで行こう。

 数メートル先に見えたレジへ歩いていくと、台の上に何かがある。これは……バール?

 嫌な予感がして後ろを振り向く。そこには居るはずの姉貴がいなかった。


「(姉貴!?どこ行った!)」


 大声を出さずに姉貴を呼ぶが、返答は返ってこない。


「(姉貴!!)」


 やはり返答は返ってこない。そこにはただ静寂があるだけだ。

 何が起こっているんだ?俺はそう思う前に……


「がっ……!!?」


 後頭部を何かで殴られたのかもしれないな。俺はそれっきり何も考えられなくなった。





 次に俺が眼を覚ましたのは誰か女性の悲鳴を聞いた時だった。

 それと共に誰か男たちの気持ち悪い笑い声が聞こえてくる。うわっキモ。

 ゆっくりと目蓋を開くと、視界に太った男の背中が見えた。うん、後姿キメエ。

 俺は体を動かさずに視線だけを動かす(頭いてえけど)。すると太った奴の他に男が3人見えた。さらに……


「やめてください!!」


 太った男の足元には、栗色の髪の女性……姉貴が地面を這いずっていた。

 姉貴!!?と叫びそうになるが、彼女の姿を見て俺は言葉を出せなくなる。

 姉貴はYシャツの胸元を破かれ、自他共に認めるその巨乳がブラと共にあらわになっていたからだ。

 それだけで俺は全てを察した。こんの腐れ外道たちのせいか!


 さっき頭を殴ったのもコイツらか!姉貴の姿が見えなくなったのも!

 俺は湧き上がる怒りを隠しもせず、ゆっくりと立ち上がる。


「お、親分!このガキ起きてやがった!」

「ん〜?」


 俺の姿を視認した男の1人が太った男にそう告げると、太った男は振り返って俺を見た。

 今時、親分て!そんなツッコミさえ思いつかないほどに俺の頭は怒りで一杯だった。

 ぜってー許さねえ!!皆殺しにしてやる!!


「動くなよ!撃つぞ!」


 さっきとは別の男1人が、俺に向けてMPSを構えてくる。姉貴の武器……奪われたのか。

 ふと俺の手元を見るが、持っていたはずのライオットガンが無い。武器は奪われたか……。

 視線を男たちに戻し、ライオットガンを探すと、MPSを持っている奴とは別の奴が持っていた。


「良ちゃん!」


 俺に気づいた姉貴は俺の名前を呼ぶが、太った男に殴られて言葉を出せなくなる。

 この……!!あのデブには地獄を与えてやろう!!

 しかしMPSとライオットガンを俺に向けられては何も出来ない。動けば俺が死ぬだけだ。

 その時俺は気づいた。誰もUSPを持っていないことに。

 薄暗い中、気づかれないように腰へ手を回すと、USPと短刀がベルトに挿さったままだった。


 キタこの馬鹿めっ!ボディチェックぐらいしとけっての!!


 これならハッタリも出来る!俺は右ポケットから「ケータイ」を取り出すと、男たちには良く見えないように持ち直した。


「別に撃っても構わないが、そんなことしたら全員死ぬぞ?」


 奴らは頭に?マークを浮かべていたが、俺の次の言葉に戦慄を覚えることだろう。


「俺は今、手榴弾を手に持っている」

『!!?』


 予想通りに全員が硬直した。男の1人がそんなもの持っているわけ……と言うところを遮って、俺はさらに追い討ちを掛ける。


「何でただの学生が銃器を持っていると思っているんだ?手榴弾も入手済みだ」


 そう言うだけで男たちは簡単に信じてしまった。楽勝楽勝。

 冷静に物事を考えるが、頭の大半を占める怒りが「今すぐアイツらを殺せ!」と命じてくる。

 焦るなよ俺。コイツらには後でたっぷりと地獄を見せてやるんだからよ!!


「さっさと撃てよ。俺を撃ってみろよ。全員まとめて吹き飛ばしてやるよ!」


 鬼気迫る俺の様子に、男たちはもれなくたじろぐ。

 しかし、銃器を持っていない男が出来ないだろ!と俺に叫んできた。


「そんなことしたら、お前もこの女も死ぬぞ!!」


 当たり前のようにそんな言葉を出したが、何言ってるんだコイツは?

 俺はたった一言、言葉を笑って言う。


「やむなし」


 それだけで男たちは死んだような眼で俺を凝視していた。ハハハっ!!簡単だなこの馬鹿ども!!

 もう少ししていたいがもう止めよう。コイツらには、俺の家族に手を出した罰を今すぐにでも償わせてやらないとな。


「何だ?撃たないのか?じゃあいいや、みんな死ねよ」


 俺は飽きたように右手の「ケータイ」を男たちに放った。

 悲鳴を上げて男たちは俺から視線を逸らす。今だっ!


 腰から短刀を抜き放って、MPSを持った男へ走る。ゼロ距離まで迫ると、男の鳩尾へ短刀の柄頭を叩き込んだ!

 男はぐあっ!?と言って崩れ落ち、MPSを落とした。俺はMPSを拾い上げ、ライオットガンを持った男へ向ける。


 胴体を撃とうと思ったが、直前で足にサイトを向けてトリガーを引いた。


 ぎゃあぁぁぁぁぁっ!!?と醜い悲鳴を上げて、ライオットガンを持つ男は使えなくなった両足から地面に崩れ落ちた。当然の如くライオットガンを手から取り落として。

 しかし、手榴弾を偽者だと気づいた何も持っていない男は、勇敢にも俺へ殴りかかってきた。

 俺が短刀で男の足を切りつけると、男はいてえぇぇぇぇ!!?と言って俺の足元に倒れる。

 また反抗してこられても面倒だから、俺は男の胸を思いっきり踏みつけた。


 最後の1人と思ってデブの方へ視線を向けたが、そこにはライオットガンを持ったデブが姉貴を盾に立っていた。


 人質かよ。やっぱ最悪だなこのデブ。

 さっき落ちたライオットガンを拾いやがってるし。それは俺のだ!


「武器を捨てろ!この女を撃つぞ!」


 ありきたりなセリフで俺を脅せると思っているのか?しかし、あえて俺はその要求に応じる。

 短刀とMPSを遠くに放り、俺はゆっくりと男に向けて歩き出す。


「動くな!」

「片手で銃を撃つのは難しい。近くに行ってやるからちゃんと狙え」


 そう言うとデブは姉貴に銃口を向けたまま静かに待つ。良い馬鹿だ。今すぐ近くへ行ってやろう。

 ん?確か某学園黙示録でもこんなシーン無かったっけ?その時はガソリンスタンドだった気がするけど。

 なら次の行動はアレだな。デブの近くまで歩いていった俺は気づかれないように右手を腰に回す。


「死ね!!」


 デブは銃口を姉貴から俺の顔面に向けて、トリガーを…………引く。

 俺はそれを予想していたので、顔を逸らせつつ左手でライオットガンの銃口をハジいた。

 あらぬ方向へ12ゲージをめり込ませたデブは、再度俺へ銃口を向けようとするが、その前に腰から抜き放ったUSPをデブの肩へ向けた。


「お前がな」


 刹那、USPの9mmパラベラム弾がデブの肩を貫き、姉貴の拘束が解ける。


「良ちゃん!!」


 姉貴を俺の方へ引き寄せ、デブの脳天にUSPを突きつけた。


「いてえよ!いてえぇ!!」


 デブは肩を押さえたまま動きを止める。痛さのせいで自然にあふれ出る涙で顔をグショグショにしながら、俺に無様に命乞いをしてきやがった。

 やれ助けてくれ!だの、やれ見逃してくれだの。ハッハッハ、面白いこと言うなぁこのデブ。


「ふざけんなよっ!!」


 USPをデブの脳天にグリグリ押し付けて、今までに溜まりに溜まった怒りをぶちまけた。


「俺の家族に手を出しといて助けてくれだと?無理だなっ!死んで償え腐れ外道!!」


 俺がUSPのトリガーを引こうとすると、姉貴が待って!と割って入ってきた。

 何で!?と聞くと、姉貴は悲しそうな瞳で首を振る。


「良ちゃんの手が穢れちゃうよ」


 そう言われちゃ、やるわけにはいかないだろう。勢いも無くなったし。

 しょうがないからデブの脳天からUSPを外す。デブ、ライオットガンで撃とうとしてるのバレバレだぞ。

 ここで反省していたのなら許してやろうかと思ったが、反省無しということで許さな〜い。


 俺はUSPでデブの両足を撃ち、クソッタレの動きを封じた。


「ぐぎゃぁ!!」


 キメエ声だ。俺はUSPを腰に差し戻すと、ライオットガンを奪い返す。


「お前たちにはラストチャンスをやろう」


 まだ死んでいない全員に生き残るチャンスを与える俺、カッコいい!!…………ちょっと脳内がフィーバーしていただけだ。

 ゆっくりと短刀とMPSを回収し、全員に聞こえるように語ってやる。


「その使えない足でゾンビから逃げ切ったら許してやるよ」


 瞬間、起きているであろう奴らは絶望的な表情で凍りついた。ひゃっひゃっひゃ、いい表情だ。

 俺は近くにあった紐で全員の足を縛ると、姉貴を引き連れて出口まで向かう。


「待ってくれ!無理だって!助けてくれぇ!!」


 デブが気持ち悪い声で醜く命乞いをしている様は、酷く俺を不快にする。

 俺は出口の所で止まって一言。


「美鈴に手を出した奴はぜってえ許さねえ!!」


 そして俺は姉貴の手を引いてその場を後にした。

 MPSとUSPを使っちまったからな。銃声に誘き寄せられたゾンビがいずれここにもやってくるだろう。

 その前に作業を終わらせなきゃな。


 俺たちはスーパー内を歩いていった。

いかがでしたでしょうか?

波乱でしたね……。そして本当の良祐が出た回でもありました。

ボケたりツッコミ入れたりして、何か面白い奴みたいなポジショニングの良祐ですが、あれが良祐の本心、あるいは本当の彼です。

危機を脱した主人公たち!任務を遂行できるのか?

それでは次回会いましょう!御意見御感想をお待ちしています!

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