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Side 千早

(Side 千早)

シャンシャンシャン・・・

なんだ・・・?

鈴の音・・夢・・・?

ふとその音がどうしても気になり熱で気怠い体を半身起こしてゆっくりと外を見る。何が?とは言えないがなんとなく違和感を感じた。一瞬だが何か強い力を感じたが気のせいだったか・・・。


だが、なんだ・・・?

何がこんなに気になるのだろう。時計に目をやれば7時を少し過ぎた頃だった。もうこんな時間か。桜華はもう帰ってきてるのだろうか?

少し重い足取りでゆっくりと階段を降りて行くと丁度お手伝いに来ていた鈴代さんが帰る所だった。


「坊ちゃん、起き上がったりして大丈夫なんですか?」


鈴代さんは子供の時分からずっと面倒を見てきてくれて居る為か、17歳にもなった自分を未だに坊ちゃんと呼ぶ。さすがに恥ずかしいから止めてくれと言っても癖になったそれはなかなかなおらない。


「ありがとう、大丈夫だよ。それよりも姉さんはもう帰ってるの?」

姉は学校から帰ってくると祖母に挨拶をした後は必ず自分の部屋へやってくる。丁度4時頃に、両親達の資料集めで図書館に寄るので遅くなるとは聞いていたが、もうそろそろ帰ってきていてもおかしくない時間だ。


「まだ帰ってきてらっしゃいませんよ。それよりも、あまり体を冷やさないようにして寝ていてくださいよ?お夕飯はいつも通り用意してありますからね。おかゆも作ってありますから桜華嬢ちゃんに温めてもらって下さいな。」

そういって鈴代さんはまるで本当の子供のように自分たちの事を気遣いながら帰っていった。


姉はまだ帰って来て無いのか・・・。部屋に戻って携帯を使い電話をかけてみるが一向に繋がる気配がない。小さく舌打つと、もう一度時間を確認する。我ながら過保護かとも思うが、いくら姉が強いと言っても、まだ初夏の時分、暗くなるのは早いし、このご時世どんな変質者が外を出歩いているかとも限らない。


家から駅まで徒歩で7分ほどだ、迎えに行こうかと手早く服を着替え、階段を降りて行くと、丁度祖母がゆっくりとこちらへやってきた。

「ばあちゃん、ちょっと桜華を迎えに行ってくるよ。」

玄関先まできて、靴を履こうとすると祖母が首を軽くかしげながらやってきた。


「千早、お前あれを感じたか・・・?」いつになく神妙な様子で祖母が聞く。

あれとは、やはり先ほど感じた力の事だろうか・・。祖母も大祖母でないにしろ、力をもつ巫女だった。


「それってさっきの・・?」


「ああ、一瞬だが妙な力が働いたのを感じた。それに何か嫌な予感がしてのう・・。」


「ばあちゃんも・・?」

「ふむ・・、千早悪いが桜華の事も心配じゃ、少し見てきてくれるか?」


「ああ、もちろん。丁度駅迄行こうかと思っていたんだ。今日は父さん達から久しぶりにメールがあったからね。」


「全く・・・あれらも困ったものじゃ。」そういいながらも祖母は少し微笑む。


「では、頼んだぞ。帰ったら桜華と一緒に部屋まで来てくれ」


「わかった。じゃあばあちゃん、後で」

早足で外に出ると石畳が少し濡れていた。雨が降ったのか?きっとこんな気分も姉の顔を見れば晴れるだろうと思いつつ駅へと歩いて行く。




だがその数時間後、俺たちは姉の失踪を知る事になったのだ。


今回は少し短めです。途中千早サイドの動きもこれから入って行く事になります。

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