姉と弟2
亀更新が続いてますが、9月の頭まで、毎週来客続きなので、ほんとゆっくりになってしまいます。アー・・・もうひとつの方も・・・>_<
「余計な事とは?」
己の鋭い眼差しを受けつつ、分かっているであろうに、にっこりと穏やかに微笑みつつ言葉を返す姉をアクロティヌスは苦々しく言葉を斬りつける。
「まさか、隠し姫の事を話したのではないでしょうね?」
「話したが、何か問題でも?」
「も、問題があるのかでは無いでしょう!あの存在は王家と8大諸侯のみが知る存在であって・・!」
「だから、問題ないでしょう?あの子も近い将来王家の一員となるのだから。」
「まだ決まった訳ではありません。確かに祖先が住んでいたというテラから来たというのが本当であれば、興味はありますが・・だからといって姉上がどうしてそこまであの娘を推すのか・・。」
「本当に・・・お前は自分の事をよく分かっていないのね? だが私はお前の事を良く分かっているつもりよ。亡くなられた母君の代わりに私が幼い頃からお前を育てたも同然なのだから。そんなことよりも、もっと桜華と逢う時間をもうける事ね。すぐに私の言った事が分かるでしょう。あの子は貴方にとって無くてはならない者だわ。」
「・・・。」何をいっても聞く耳を持たない姉に最後にもう一つ確認する。桜華という娘を本当の意味で候補にするというのであれば・・。
「私があの娘に接触をもった時点で、あの娘もこの争い毎に巻き込まれる事になりますが、本当にそれで宜しいのですね?」
「もちろんよ。」
「それと姉上・・、先日オウラニアがもたらした情報に依ると北の境界線がかなり揺らいでいるようです。父上の力もあとそう持たないでしょう。私が王位を継ぐと同時に外との外交が始まります。今回は通常の定期会合とは違い内側からの開国に対しての要請もあり、難しい事態が予想されます。」
「その話は私も少し小耳に挟んでいるわ。貴方の王としての素質が試される時ね。確かに、この国内で行き詰まりを感じている民の数は少なくはない。数百年の鎖国にはそれだけの事情があったのだけれど、それももう・・・。いえ、なんでもないわ。でも、これだけは覚えておいてちょうだい。私は桜華に希望を見いだしているの。予感があるのよ。私の巫女としての力はそれほど強いものでは無いけれど・・この時代に彼女がもたらされた意義は大きいーーー
隠し姫のことについては、まだ少ししか話していないわ。後は貴方が話すのね。ディオルカの事も含めて・・・。」
そして何かいいたそうな視線をうける。姉は知っているのかもしれない。俺がディオルカとの間に子を設けた本当の理由も・・。
「もうそろそろ時間ね、アクロティヌス、今度逢う時は貴方の王位継承と桜華との結婚式・・。うまく行く様に心から願い祈っているわ。
桜華は・・・・いえ、あの娘には望まぬ事となってしまうかも知れないけれども・・貴方たち二人の幸運を願い続けましょう。」
「桜華は色んな意味でとても魅力的な娘よ。貴方の今迄の方法では簡単に落ちないでしょうけど、この国の未来の為にも頑張ってちょうだい。」
そう最後に言い残して姉は王宮を去って行った。