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思考

今日も健やかに朝の鍛練を終えて湯浴みを終えるとすぐさま図書室へと向かう桜華。結局なんだかんだとあって、(候補達は皆妃、または側室となる可能性があるので、毎日ハードな妃教育という名のスケジュールを強制的に組まされている)次に図書室に行く時間が取れたのは5日後だった。本人にとっては幸運な事であるが、今の所、桜華の存在は他の候補達にとってそれほど大きな障害とはなってないらしく、顔合わせの儀早々から始まった陰湿な争いから桜華は一人離脱した状態となっている。他の候補達と違い、王子に興味がないという意思表示が伝わっているのかもしれない。


それならば,何故ポリヒュムニア候の養子となってまで妃選びに参加したのかと訝しがる面々もいるのだろうが、今の所表立って何かを仕掛けてくるといったことはないので、桜華は候補達の中で比較的穏やかな日々を送っていた。

昨夜も誰だかの食事に毒が混ざっていたなどと物騒な話を聞いたが、桜華の食事は侍女達に毒味させることもなく普通に提供されたものを食している。


こちらの世界は、ある意味においては地球よりも遥かに突出した技術を誇っているが、国民すべてが、どうやら超能力とも言えるような能力(個人によってその力の差はあれども)を持っているので、桜華の常識では考えられない技術があると思えば、近代社会で当たり前のようにあるべき物がなかったりという事もある。

結局技術というものは必要性があるからこそ発展するので、その辺に違いがでてきているのだろう。


桜華もここで暮らし始めて、はじめて自分の中にある力の存在を知った。たとえば、こちらで懐中電灯の代わりとして使われているものなども、自分の力を注ぎ込んで光らせることができる。幼い頃に読んだファンタジーの世界で言う所の魔力みたいなものだろうか。生まれた時から大なり小なり力を持って生まれてくるこちらの住民は幼い頃から力の使い方を親から教わり、突出した力を持つ者は学院への入学を許可されそこでさらに自分の能力に磨きをかけ、平民であれば、貴族や王族に召し抱えられる者も少なくないと言う。


ティターニアからは、この世界に関する様々な事を学んだが、面白い事にサイコキネシスのような力やテレポートなどができる人達が結構多く居るのに対し、弟の千早のような先見の力はとても珍しいらしくしかも百発百中ともなれば国中探してもいないらしい。遥か昔にはそういったものも数人生まれていたらしいが、今ではほとんどいないらしい。ティターニアに、その事を聞いた時、色々と突っ込まれそうになったのを旨くごまかし、千早の希有な能力のことも調べてみようと心に誓った桜華だった。


「でも私ってこちらの世界でも落ちこぼれなのかなあ。」ぽつりと桜華がつぶやく。


幼い子供でもできるという光を点す魔法、空気を吸うのと同じぐらい簡単にできるそうだが(こちらでは能力はあるのが普通なので力の事はリルと呼んでいるが桜華にとっては魔法と言った方がしっくりくるので自分ではそう呼んでいる)それもわずかに光らせることができたぐらいで、侍女達は優しく慰めてくれたが、才能がない事は明らかだった。千早ほどの希有な能力といかなくても、何かしら、呼ばれてこちらに渡って来たというのであれば、少しぐらい自分にも能力があればと思ったが、無い物は仕方が無い。

この後、桜華自身にも稀な能力が宿っている事に気がつく迄にはしばらくの時がある。


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