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4人の男達

「どなたかお気に入りになられた候補はおられましたか、王子?」

側近の一人である一人が深夜まで引き継ぎ政務に励む王子の手伝いをしながら聞いてきた。執務室には王子を含め4人の気心が知れた男達が居た。


「面白そうなのは居たな・・・。」

「それってもしかして例の変わりもんのポリヒュムニア候の養女?」左隣に座っていた男が身を乗り出す。


「失礼なことを言うんじゃないですよ、アスリム。仮にもポリヒュムニア候は王家に特に関わりの深い方だけでなく王子のご幼少の頃の教師でもあられた人格者でとても立派な方です。」


「融通の利かないじいさんだったがな・・・。」王子がぽつりとつぶやく。


「いやだってさ、ポリヒュムニア候って8大諸侯の中でも珍しいぐらい野心がなくて珍しい方だったのに突如養女を取っての参加だろ?どんな女を送り込んできたのか気になるじゃん。で、どうだったの?」


「まったく、お前は王子の御前でその言葉使いはどうにかならないのか?」しかめ面をしながら最初にアクロティヌスに質問を投げかけた男が小さく咎める。

「良い。ここにはうるさい狸どもは居ないからな・・お前も昔のように気楽に接してくれ、ジュニュファス。」そういって若くして3名いる宰相の一人となった幼なじみに声をかける。

ほれ見ろと言わんばかりに満面の笑みで更に問いかけるアスリムに窓際に座っていたもう一人の男が答えた。

「黒檀のような瞳に絹糸の髪、細すぎず、均整の取れた抱きごこちの良さそうな体、メライナ家の令嬢も同色だが纏う雰囲気はかなり違うな。まあ多少色気がなさそうなところが難点だが、容姿だけならあの中でもかなり目を引いたぞ。それに・・俺の勘だがあの女、結構武術の心得もあると見た。ひとつひとつの動作に隙がなかったからな。」答えたのは王家を守る筆頭騎士であるルワンドである。


「まじで?くそっ、俺も見たかった〜!」


「何をそんなに興奮してるんです。彼女は王子のお相手ですよ。それに、これは私が極秘に調べた情報ですが、どうやら彼女がポリヒュムニア家に迎え入れられたのには、ティターニア様が関わっているらしいと・・。」


「姉上が・・?あの方も既に嫁いだ身というのにいったい何を考えているのか・・。だが確かにあの娘、見た目通りではなさそうだ。俺の威嚇にも平然とした顔をしていたからな、いやあれは憮然か・・?」


「確かにお前の顔に騙されない女は珍しい・・・。」とルワンド。

「酷いな、幼なじみの言う言葉か?」

「てかさ、ティターニア様の考える事といえば、後にも先にも可愛い弟の事だろうが。もしかして運命の相手ってやつ?良いねえ・・ほんと7人も候補いるんだから俺にも一人や二人・・・」ぶつぶつつぶやくアスリムの頭をぼかっとジュニュファスがはたいた。


「冗談はそれくらいにしときなさい。それにしても・・・ニコラコプールプー家の令嬢が候補として上がるとは、あの御仁はよっぽどご自分の娘が可愛くないのか、この妃選定の儀がどういうものか知らぬ訳ではないでしょうに。」ジュニュファスが考え込むように妃候補達のデータを手に取る。


「・・・。あの事件があって尚娘を送り込んでくるとはな。」苦虫を噛み潰したようにアクロティヌスが頷いた。そう、確かにあの娘を見た途端、苦い思い出と共に少女に良く似た面差しの今は亡き娘の事を思い出した。

その様子を他三名が思い思いの様子で見守る。沈黙を破って声をかけたのはルワンドだった。

「今日は様子を見に行ったらどうなんだ?長い間会ってないんだろ?幼い子供はすぐに親の顔でも忘れるからな。きっと泣かれるぞ?」


「そう・・だな。休む前に少し顔を見て行こう。今日も遅くまで悪かったな。ルワンド、今日はお前も家に帰って休め。あまり長く新婚のお前を拘束していると刺されるかもしれないからな。」アクロティヌスは少しおどけた様にルワンドに笑顔を向ける。


その後、王宮の奥深くの部屋へと向かう一つの人影があった。


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