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「……ネモ?」



「タケ!!」



目を開けると、草薙が覆いかぶさるように覗き込んでいた。



その近さに僕は目をしばたいた。



僕がピクリとでも動いたら、鼻の頭が彼女の顔にかするんじゃないかと思うような近さだった。




「草薙……?」



彼女はほっと息をついて離れた。



ほっとしたような、残念なような。



僕は身を起こし、辺りを見回した。



そこは保健室だった。






どうやら、僕がさっきまでいた世界はどこか遠くに吹き飛んでしまったらしい。






「気が付いてよかった。ビックリしたよ!急に気絶しちゃうんだもん……」



「……何がどうなったんだ?」



「分かんない。タケは胸押さえて倒れちゃうし、保健室は開いてたけど先生は出張しちゃってるし……あ、そういえば、大丈夫なの?」



「……もう平気……かな。草薙がここまで……?」



草薙がふるふる首を振った。



「……ううん。時田が……」



「あいつが!?」



「騒ぎを聞いて入ってきた先生が、一番体の大きい時田に頼んでここまで」



「なるほど」と思った。



そうじゃなきゃあいつが何かしてくれるとは思えない。



「……今何時?」



「四時。このまま起きなかったらどうしようかと思った」



僕はベッドから足を下ろした。



「……なんだったんだろ?」



「……さぁ……ところでさ」



草薙は僕に荷物を渡しながら言った。



「「ネモ」って何回も言ってたけど、「海底二万マイル」の夢でも見てたの?」



「……夢だったら良かったんだけどな」



「え?」



僕はそれには答えず、彼女を促して帰路についた。








(悪かったな)




ネモが呟いた。






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