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その数学の授業中だ。
突然、息が苦しくなった。
(……!?……)
胸の辺りの服を掴んでも治らない。
むしろ酷くなるような気がしてくる。
鼓動と共鳴して、肺に痛みが走った。
(ドッ―――ドッ―――ドッ―――)
気付いたら机にうつぶせになり、歯を食いしばって胸を押さえていた。
「斎藤……おい、起きろ!!」
頭を少し持ち上げ、前を見ると、教師が黒板を叩きながら怒鳴っていた。
痛みは続いている。
「寝てるってことは理解してるってことだよな!?」
(……んな無茶な……)
「これを解け!」
目がかすんで、問題が見えない。
何とか姿勢を正そうとした時、チャイムが鳴った。
「チッ……斎藤、次は寝るんじゃないぞ!」
僕は黙ったままだった。
「何も言えなかった」というのが正しいのだが。
「返事はどうした!?」
僕は何とか声を絞り出す。
「……は、はい……」
満足した教師が出て行くと、草薙が時田よりも早く側によってきた。
「大丈夫!?」
「……さぁ……?」
鼓動は徐々に穏やかになっていった。
「なんだなんだ?」
時田が薄ら笑いを浮かべながら近づいてきた時。
「来ないで」
草薙が僕と時田の間に割り込んだ。
「どうせ、痛めつけるだけでしょ!?もうやめて!」
一瞬時田は動きを止めたが、次の瞬間には声を上げて笑った。
「ハハ、たいしたボディガードだな!武」
彼の嘲笑が突き刺さってくる。
僕は目を伏せたまま立ち上がり、草薙の肩に触れた。
「……タケ」
「……いいよ。ありがたいけど」
「武、意地張んなよ!」
時田はまた嘲笑った。
「どうせ、お前は草薙さん以下であることに変わりはねぇんだからな」
「……どういう意味だ」
「そのまんまだよ、カス」
彼の声は良く響いた。
気付くと、クラス中が息を殺して僕らを見ている。
「下の下の下にいるお前が、普通の人間に保護してもらうのは何もおかしくねぇって言ってんだ」
怒りに駆られて反論しようとした瞬間。
さっきの激痛が再び僕を襲い、その場にしゃがみこんでしまった。
「タケ!?」
時田の困惑した視線と、草薙が傍によってくる気配、それに自分の意識が飛んでいくのを一辺に感じた。




