アキラ
呆気なく捕まり、床に転がされた。アキラ達がのしかかってくる。
「手押さえろ! 足も捕まえろ!」
「ざけんな! 離せ! 誰がお前なんか!」
「口も塞いじまえ!」
口に何かを突っ込まれ、声が出せなくなる。
「んー!!」
手足を抑えられる。服が剥ぎとられていく。アキラ達のにやついた顔が気持ち悪い。
涙が出る。何故自分がこんな目に合うのか……。
(助けて……)
誰に? 誰が?
こんな自分を助けてくれる誰かなどいただろうか。
親は口ばかり。心を許せると思っていたカナはそこで笑いながら見ている。
誰もいない。自分の周りには誰もいない。
(助けて……)
ドーナツを頬張るのんきな顔が浮かんできた。あの時は偶然通りかかっただけだ。こんな所にいるわけがない。
(誰でもいいから……助けて……)
「お困りですか?」
突然空気を読まないのんきな声が聞こえた。
「だ、誰だお前!」
アキラ達が部屋の隅へ視線を向けている。
「山木さんのクラスメイトの上下威無人と言います」
「この前の……」
アキラ達の手が緩んだ。翔子もそちらへと顔を向けると、いつの間に来たのか上下威無人が部屋の隅に立っていた。
上下威無人が首を傾げる。
「え~と、それってレイプってやつですよね。それ、やっちゃいけないと思います」
「うるせーんだよ! てめえ死にてえのか!」
仲間のひとりが上下威無人に殴りかかった。
殴り飛ばされ、壁にぶつかりずり落ちる。
「どうやってここに入って来たんだ!」
続けて男が上下威無人の腹に蹴りを入れようとした。が、その足は腹に決まることはなく、上下威無人の手に捕まえられていた。
「どうやってと言われると、困りますね」
上下威無人が掴んだ足を捻り上げた。
男が空中で回転し、床に落ちた。
「おっと、強くやったつもりはないんですけど。生きてますか?」
動かなくなった男に近づき、上下威無人が生きているか確認している。
「良かった。生きてますね」
ほっと顔を上げた。
「て、てめえ、なにしやがった……」
「え? ちょっと足を捻っただけですけど」
たしかにそうしたとしか思えない。
「この野郎!」
もうひとりが上下威無人に殴りかかった。




