山木翔子
「よう、ショーコ」
「アキラ……」
アキラが仲間と連れ立ってやって来た。
「面白い所行くんだけど、お前らも行かね?」
「え~、行く行く~。どこ行くの?」
カナがぴょこんと立ち上がり、アキラに縋りつく。
「行ってからのお楽しみ。ショーコも行くだろ?」
「あたしはパス。興味ない」
「すかしてんなよ。お前も来いって」
「行きたくないってば」
腕を掴まれそうになり、咄嗟に払う。
「おい。来いよ」
「嫌だってば! 触らないでよ!」
強い力で腕を掴まれる。恐怖が沸き上がり、必死に抵抗した。
「何してるの?!」
「やべ」
鋭い声が聞こえた。私服警官かもしれない。翔子達はバラバラに逃げ出した。
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(昨日はやばかったなぁ)
下校途中、翔子は昨日のことを思い返していた。
アキラのことは噂程度には知っている。かなりヤバい奴だということだ。
あまり近づきたくないのだが、なんだか妙に気にかけられている。あまり関わりたくはないのだが、街へ行けば出会わないわけにもいかないだろう。
かといって家にもいたくない。
どうしたらいいのかとぼんやり歩いていると、
「よう、ショーコ」
突然声を掛けられた。振り向くとアキラとその仲間達がいた。
「な、なんでここに?」
「さあな。なんでかな?」
家を知られたのかもしれない。背筋が寒くなる。
「昨日行けなかったろ? このまま行こうぜ?」
「行かないって行ってるでしょ! しつこいわよ!」
男達に周りを囲まれる。
「行けば楽しいって。お前も絶対気に入るから」
アキラが腕を掴む。
「やだってば! それに、あたし今、制服だから……!」
制服で街に出れば、補導される確率が上がる。
「別に構わねえよ」
にやりと笑うアキラの顔にぞっとなる。このまま連れていかれたらどうなってしまうのだろう。
「や、やだってば……!」
恐怖で喉が引きつる。助けを呼びたくとも声が出ない。
「あのう、嫌がってますよ」
突然空気を壊すかのようなのんきな声が聞こえた。




