AIレンタルお姉ちゃん
もし、『限りなくヒトに近いAIのロボット』をレンタルすることができたら、どんなロボットをレンタルしますか?
「お、美味しい」
「そうか。
よかった、うん」
『お姉ちゃん』は笑顔でうなずく。
冷蔵庫の中の物だけで作ったはずなのに、すごく美味しい。
「愛情も感じるよ」
感心する。
「愛情は入ってないよ、ロボットだもん、私」
笑顔のまま、『限りなくヒトに近いAIのロボット』のお姉ちゃんは言う。
お姉ちゃんは頭をかくと、
「設計通りだよ。
今日は、夕食だけだったけど、明日は三食作るから。
え、昼は給食。わかった」
「はあ。お湯くらいは、僕でもできるのに」
『お姉ちゃん』に頼りきり、申し訳ない。
「でも、レンタルお姉ちゃんか…」
風呂の中、お湯をパシャッパシャッとしながら、僕は呟く。
『1人でお留守番は大変だから、お姉ちゃんをレンタルするね』
一昨日、お母さんは家から出る前に、言った。
そして、今朝来た『お姉ちゃん』。『レンタル』の『お姉ちゃん』。
両親が帰ってくるまで、いてくれる。
「はあ。確かに、昔、お姉ちゃんが欲しいって言ったことがあるような気もする」
周りから、僕はよく「弟みたい」て言われるから。ひとりっ子なのに。幼稚園から、今の、中学校まで、ずっと。
「けど、まさか、本当にお姉ちゃんができるなんて」
驚き。
『お湯加減はどうだ?』
脱衣所から、聞こえてくる。
「いいよ! 気持ちいい」
『今から背中洗うからな、待ってろ』
「!?」
そして、服を脱ぐ音が聞こえる。
まて、待て待て待て。僕は裸なんだが? 裸なんだが!?
「入ってこないで!」
『はあ? 何でだよ、そう設計されたんだが? お前の両親も、そんな注文しなかったぞ。お風呂で背中や頭を洗ってあげたらいけないって』
「そりゃ、しないよ。思い付かないもん」
『開けるぞ』
「開けないで!?
じゃあ、僕がお願いするよ! 僕と一緒に風呂に入っちゃダメ!」
『わかったよ。ロボットの裸に欲情するのか、弟は』
ため息を吐かれる。
「人間と同じくらい恥ずかしいよ…!」
「え、なに、これがずっと?」
風呂の中、呟く。
僕は、人間だ。だから、恥ずかしいとか、そういう感情は普通にある。
でも、『あのお姉ちゃん』は、ロボット。限りなく人に近くても、結局は、人間じゃない。だから、恥ずかしいっていう気持ちもない。
し、心配だ。まともに暮らせるのか? 僕は。両親が帰ってきたとき、僕は『男』になってるんじゃないのか?
AIこわい。
読んでいただき、ありがとうございました。
お姉ちゃんが欲しかった、弟みたいと周りからよく言われる、中学生の少年。
彼は一体どうなってしまうのか。
お姉ちゃん(AIロボット)をレンタルできる時代が来ますように。




