僕の友だちをさがす旅へ
月が青く光る夜は、ぬいぐるみの僕、にゃーうが旅に出る。
リビングルームの、可愛いウサギさんのぬいぐるみの動く、窓から抜け出して、夜の街へ歩いていくの。
僕の友だちをさがす旅へ。
「いない! いない!」
ピカピカ光る明かりの中に、友だちはどこにも居ない。
森の奥まで行くと、今の時期はりんごがなっていて、とても美味しい。
そう言えば、友だちは林檎が大好きで、林檎パイにして食べていた。
でも……。
「いない! いない! ない! ない!」
凄く、凄く、前、
「ルテッタ、今日冒険は無理みたい?」
「ごめんね。にゃーう、今日は体が動かないのよ」
「仕方ないな」
僕はそう言って、一人で旅に行ったけれど。
次の旅の晩、青い月の日には、君は写真の中にしか居なくなっていた。
ごめんね、ルレッタ。君についていれば良かった。
僕が君だったら、大粒の涙が溢れてこぼれるのに……。
月が青い夜、旅する僕はにゃーう。
きっと、きっとルレッタは、元気になって、きっとどこかへ旅している。
そう思いたい。君のためにも。
◇◇◇◇◇
僕が家の屋根に飛び乗ると、部屋から出た時、使った出入口の窓ガラスから、声が聞こえて来る。
「ない! ない! ……いた!! みゃーう、君はなんでそこに?」
中を覗きながら窓ガラスへ手をかけると、今度はうさぎの変わりの小さな男の子が、僕を見つけてやって来て言った。
「僕は……ルレッタを探す旅へ行ってたんだ」
そう言うと、その男の子は少しだけ、目に涙がたまり悲しそうだった。
僕の中の白いわたが、少しだけチクリと痛む。
「ルテッタおばちゃんならえっと……、ダニエルおじいちゃんを探しに旅立ったんだよ。今頃、空の上で会ってる頃かな?」
ダニエル……。ルテッタは、そう……大粒の涙をこぼす程、ダニエルに会いたがっていた。
僕が人間なら、口をとがらせて、泣くのを我慢するところだった。
でも、それが出来る事が少しだけうらやましい。
「そして僕がみゃーうの事を、おばあぁちゃんに任されたんだよ」
「おじちゃん、おばあぁちゃん? もしかして君はルカ」
「そう僕はルカ。うさぎのぬいぐるみのにゃーう君、僕は君の友だちだよ!」
ルカは、痛いぐらい僕を抱きしめる。そうすると子どもの頃のルレッタを思い出した。
『大好きにゃーう、私たちずっと友だちね』そう……彼女が言っていたけど、ダニエルを探しに行ったなら……応援しなくちゃね。
いやだけど……。なんて、うそ、うそ。
「だから……、おばちゃんの代わりに、これから僕と冒険をしょうね」
「仕方ないな……………………、えっと、君は友だちだからね」
やっと言えた。
「じゃ……、『にゃーうも、もうおばちゃんだから一緒に寝ちゃだめ』ってママは言うけど、今日は一緒に寝ていい?」
「いいけど、僕のことつぶさないでね」
そう言って久しぶりに、僕の友だちと一緒に夢をみる。
そして僕は、きっと、いつかの最初の友だちをさがす旅の終わりを夢を見よう。
空へ行けるようになった僕は、ルレッタにも言おう。
『僕たちは友だち、君を置いて、旅へ行ってごめんね』
だから、僕を置いて行ったこと? って少しだけ怒ってもいいのかな?
いいよね。友達だからね。
終わり
見ていただきありがとうございます。
またどこかで!




