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「着いたー!」

「静かに、周りの人間が見てます。」

「あ、ホントだ。こんなに閉鎖的な場所なんだ。」

「危機感とかないんですか。」


軽口を叩きながら、集落を進んで奥の抜け道みたいなのを通る。

進むとなんか雰囲気の違う家の集まりがある。

その中に日記の通りの外観の建物がある。


「多分、ココ。黒の切妻屋根に紅色を帯びた壁。完璧だね。」


自信たっぷりにそう言う。


「それもですが、イイギリが植えてあるのが一番確実でしょう?」

「そう、だけど!こんなぽつんとイイギリが自生することってあるんですか。」

「植えたまま放置しているんでしょうけど。」

「鐘醴さんは相変わらずほんと夢がないね〜。」

「私のことを分かった気にならないで下さい。不審に思われないようさっさと入りますよ。」


鐘醴さんが軽くあしらうと先陣を切って庭まで入る。

そういえば、ドア開かないって言ってたよね。

そう思っていると、鐘醴さんがドアノブに手をかけた。


当然開かない。


「呼ぶなら鍵くらい、外しとけやって感じ。」


そう悪態をつく。

庭に隠しておくだけなんて扱いが雑だろう。

向こうが怖気づいて、こちらばかりがそんな役回りをしている。


「荒々しい言葉遣い…。周りに警戒されないよう鍵探しましょう。」


鐘醴さんが宥める。


「まぁ、そうですね…取り敢えず木下とかに置いておくのが定番ですよね。」


そう言って手分けして左右に分かれる。

私が門柱や前庭の周りを探す。

鐘醴さんは木がある周辺を調べた。


庭の段差の隙間や置いてある小物の周りを一通り見た。

ありったけの隙間を覗いたが見つからず鐘醴さんのもとに向かった。


「私も一緒にそっち探すね。」

「もう終わりましたか?」

「もちろん!」

「じゃあお願いしますね。」


なんか今子供あやす時の声音だったけど。

と腹が立つ。

不機嫌に聞き返す。


「何?」

「なんでもないですけど。」


その言い方はなにかあるときのものだ。


「なんか、子供扱いしてない…?いやまぁ、良いや。」


そう言って鐘醴さんが木のある玄関側を見るので、私は反対側に回った。


園芸用具が多く、箱の中を細かく見ていく。

1つ目は懇切丁寧に探していた。

3つ目くらいから雑になり、半分見終わった。


「ん〜〜?」


見つからない、とため息をつく。


「あ、雁蘭さん。見つかりました。」


鐘醴さんのその声が聞こえて、駆け寄る。


「え、どこですか?」

「ほら、木の上です。」


そう言われて木の上の方に目を向ける。

見つけきらなかった。

上から下、右から左と一周しても見当たらない。


「えぇ、どこ?」


鐘醴さんに向き直って聞き返すと笑われる。


「ちょっと、何?」

「…あ、身長ですかね?」


鐘醴さんのその一言に顔が赤くなる。


「はっ…?すっごく腹が立つんですけど。なに、自慢ですか?」


文句をつけると、抱えて持ち上げられた。

一気に視界が高くなる。

人のことを馬鹿にしてるのかな、と思いながら、もう一度木を見ると今度は鍵が見えた。


「あ、あった。」

「丁度いいんで、取ってくれません?」

「うん、分かりました。」


そう言うと、鐘醴さんが私を下ろす。

もう少しこの視界を楽しみたかった、と少し未練がある。


「では、入りましょうか。」

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