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お茶を用意し、席に座る。
「ありがとう。 ふぅ、おいしい」
首をコキコキならした後、両肩を2、3回まわしていた。
はは。俺はまだ違和感があるアル。見た目が変わってしまっただけで、中身は若いのではないか?と思ってしまうこともある。だが、動きは本当に本物の爺さんだ。疲れきってるアルの肩を揉んでやりたくなるな。
それでもちゃんと話ができるのは今日くらいしかないと言うアルと、2時間くらい話をした。 エミリアは俺の膝に頭を乗せたり、起き上がったり、俺にもたれたりと、じっとしてはくれなかったが、なんとか座っていてくれた。たぶん、話はあまり頭には入ってないだろうな。
話の内容は、
アルが王になり、ぺぺロール国が誕生した。
マティアスを養子にし、王太子に。もちろん婚約者はマイロン国の王女となったマリナ。
王族はミッシュ以外全員毒杯。ミッシュは自分も王族に連なる者だからと毒杯を希望していたが、周囲がさせなかった。オーンの王族、貴族、王宮内部を1番知っているからだ。実際、ミッシュのお陰でスムーズに進んだ。
それでも国が落ち着いたら毒杯をと言うミッシュを、表舞台には出さず、アルの相談役としていてもらう。
王族達は、北の大陸での奴隷制度に関わっていた。自分の憂さ晴らしの為に獣人をいたぶっていたことが分かった。この国に移住した獣人が王族の顔を見て、悲鳴を上げ、ガタガタと震えだした事をきっかけに発覚した。
王族の不興を買った者は北の大陸に送られ、獣人と肉体関係をもたせ、孕むことが許す条件と言った。他種族とは妊娠しにくいこともわかっていて、万が一妊娠、出産したとしても、許されることはなかった。生まれた子はマリー達がいた土地に放置された。北の大陸に送られた人はほとんどが女性。王族達との閨を強要されたが拒否したり、妾になることを拒んだから。
毒杯と聞いた時は、そこまでするのか?と思ったが、話を聞いた後は、毒杯なんて甘いと思った。だが、既に執行されていた。ホントにクソな奴らだな。
それからオーンの貴族達の8割は腐っていた。特に高位貴族。王族達と同じ事をしていた者は斬首。そこまではいかなかった者を開拓地へ送ることになったが、予想以上に人数が多すぎた。
ロペスの案で、アルが作ったライトを使い、人を親指サイズにして開拓地に送った。そこで自分達が食べる物を育て暮らしている。 あの土地に店などないからな。そしてそのままロペスが開拓地の責任者になった。小さくしたからまだ土地に余裕はあるから、また罪人が出たら送ることになる。開拓地に送られる者は、男女共に子が作れないよう、薬も飲ませる。
北の大陸に対し、マイロン国、ラッペン国から猛抗議をし、獣人がいる領地の領主は処罰された。アルを連れて、滅ぼしてしまおうかとまで計画をしていたが、幸い王族や高位貴族はまともな人達だった。ウソを見抜けるロペスが大活躍だった。
この国に来た獣人は、自分自身で生き方を決めた。マリーとアンドレは畑で農作業をしながら、穏やかに暮らす事を望み、他の獣人はロペスの補佐に就いた者、アルの護衛になった者、教会で孤児の世話をする者、マイロンの第2王子殿下の屋敷で働く者と、皆それぞれが決めた。
サイ・ゴウ・ドンのトリオは、この国で近衛所属になった。俺達やマイロン国の信頼もあり、男爵から皆揃って伯爵位を賜った。
マティアスとマリナは王宮内に住み、日々勉強しながら、すでに政治に口を出し奮闘している。
ラッペンの第3王子殿下は公爵となり、1番広大で、且つ1番荒れている土地を自ら望み、領地経営に励みながら、王宮内で大臣もしている。
マイロンの第2王子殿下は軍部の総司令官となり、やはり公爵となった。領地経営は最近結婚をした夫人が奮闘している。
ギンとアンも公爵と公爵夫人。この2人もマイロンで結婚式をあげてからこちらに来た。陛下のアシストもありアンは無事、両親に認めてもらった。ギンは宰相になった。
ギャッツは、大陸内をパトロールする役目を担った。 その時はロペスも同行させ、嘘がないか見極めをする。
あとはこの国に残った、まともな低位貴族の爵位を1つずつ上げ、領地も今までより広くした。王族や高位貴族の末路を見届けた者達ばかりだ。皆、気を引き締め励んでいる。
平民達にも今回の事を説明し、納得してもらった。アルの作品を指紋認証式にし、もし奪われても奪った相手は使えないようにした。この作業が1番大変だったとアルは遠い目をして言っていた。
だが、アルが生きてるから不具合があっても対応できるが、亡くなってしまった後に、故障しても対応できないと説明し、理解してもらった。これらに依存しすぎず生きていこうと民衆を集め演説した。
最後にアルの本を、俺が婆さんからもらった本に入れた。エミリアならこの本に書かれていることは全て出来るはず。フェリウスに魔法を教える時に参考になるはず。
おいおい、この本の重要度がまた上がってしまったぞ。
俺、持ち歩くの怖いんですけど。
こんな感じで話は終わったが、濃い、話が濃すぎだ。ものすごく疲れた。
だがそれと同時に、俺とエミリアが何もしてない上に、ここから出て行こうとしてることを申し訳なく思った。アルと目線を合わせて話していたが、だんだんと下がってしまう。
「はは。 こうなってから出てくって言ったわけじゃないし、最初から父さんだけは反対してたんだから気にしないで。 皆も理解してるよ」
そうか、ちゃんと挨拶して行かなくちゃな。
「マリーの事だって、結局救ってくれたのは父さんと母さんだ。私も含め皆感謝している。 どこにいたって、なんだかんだで巻き込まれ、その度に解決する2人なんだ。 マティアスなんて、ユリウスとエミリアがヒーローとヒロインすぎて、このままあいつらが住んでいたら俺が王になった時、俺の存在が霞むって文句を言ってたよ」
はは。 マティアスらしいと言えばマティアスらしいな。
「ストレスがたまったら、急に行くかもしれない。 その時は両親と弟に癒されたい」
「はは。 いつでも来い。なあ?エミリア」
「ん、アルなら歓迎だよ」
「ありがとう」
そう言って、まだ仕事が残ってるから王宮に戻ると言い、アルは部屋を後にした。
アル、爺さんなんだからちゃんと休めよ?




