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逃げすぎた魔法使い  作者: ぱんどーる


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その日に帰る予定だった陛下達は、帰らなかった。

魔導具に夢中になりすぎて、マティアスとマリナの件についての話が始まらなかったからだ。


心の中では、転移魔法陣でマイロンに帰って、また次の日に来れば、こちらの負担もないし、陛下達もいつもの枕で寝た方が安心するだろうに。と、思っていても流石に口には出せない。


俺がこの屋敷で過ごしたのは50年前だったから、勝手がよくわからなかったが、33号がてきぱきと動いてくれた。


夕食についても陛下達に出す食事をギンに相談をしたり、マティアス達は皆と食べるか、部屋で食べるか聞いたり、本当によく動いてくれた。


『ユリウス様が就寝前に、私と3号の魔石の交換をよろしくお願い致します。 でないと、明日動けなくなります』


おー、自分の事もよく分かってるんだな。素晴らしい。貴方がいないと、この屋敷は大変な事になってしまいます。


「わかった、必ず交換する。今日は何から何まで本当に助かった。ありがとう」


お疲れさんという気持ちを込めて、33号の頭をなでると


『ふふ。 なでられたのは初めてでございます。嬉しい。明日も頑張ります。 また、なでて下さいますか?』


上目遣いでおねだりする33号。

はは、可愛いな。人形とは思えない。


「ああ、約束だ」

『はい、約束です』


そう言って、またあれこれやり始めた。


「ふふ、33号さんにも好かれちゃいましたね。 エミリアさんが知ったら、やきもちをやきそうですわ」


アンに声をかけられる。


「はは。 きっとやきもちをやくエミリアも可愛いんだろうな。 はー、早く会いたい」


「本当にお互いを想いあっていて、素敵な2人ですわ」


「はは、ありがとう。 ところでアンは今日のデート、楽しかったか?」


「ふふ。 お2人にはほど遠いですが、少し親密になれたような気がしますし、とても楽しかったです」


顔を赤らめ話すアン。 マリナほどウブではないが、ジレジレだったから、進展したなら良かったとアンの頭もなでる。


「! 確かになでられるのは嬉しいですわ」

「はは。 今度、ギンにおねだりしてみろ」

「わ、私におねだりは、まだハードルが高いですわ」

「ギンはおねだりされたら、喜ぶと思うぞ」

「が、 頑張ってみますわ。 失敗したら慰めて下さいまし」

「はは。わかった」


皆、恋をして目がキラキラだ。



夕食も和やかに終わり、茶を飲みながら話し合いが始まった。


「さて、まずはアンヌ嬢」

「・・・はい」

「とりあえず、家に帰りなさい。ご両親が心配している」


ギンを見るアン。 ギンは横に首を振る。アンは目に涙を溜めたが、根性で踏ん張ってるのか、涙が頬を伝う事はなかった。


「・・・はい。わかりました」

「うむ。 次はギン。儂らは反対しないが、アンヌ嬢の両親の許しが出ぬ状況じゃからのう・・・」


陛下は短い顎ヒゲを抜くようにさわりながら、眉を下げている。きっと色々と苦慮されたのだろうな。


「アンが行けないのなら、俺も・・・行きません」


アンとギンは俯いてる。行く気マンマンだったからな。落胆しているのだろう。


「次はマリナだな」

「・・・はい」


マティアスとマリナは、お互いの手を握っている。


「お主は、儂の養子にするつもりだ」

「「!?」」


「話を聞く限り、この国の王族よりも儂の方が良い。儂は2人の前世を信じておるし、新天地で暮らすことも賛成しているからな。 アンナ嬢の両親も承諾していたんだが、アンナ嬢は諦めきれず、帰れば両親と話をするのだろう。 できる限り負担は減らし、交渉の余地は残してやりたい」


やっぱりマイロンの陛下は色々と行動してくれていたし、考えてくれているな。あの王太子が王だったなら、面倒事は王命を使って片付けそうで怖い。


アンも絶望から少しは希望が見えたのか、顔を上げ、陛下の顔を見てから頭を下げた。


陛下もアンを見て、口は開かなかったがほんの少し口角を上げ、頷いた。陛下は2人の幸せを願っていたからな。次は自分で切り開け、アン。


「それからな、養子にするのは構わんのだが、船長にマティアス殿。 お主らの家族を少し静かにしてくれ」


「「!?」」


「金銭を要求された方が良かったと思えるくらい、ごちゃごちゃとうるさい。 あっちの王も頭を抱えている。だからお主らも1度国へ帰りなさい」


「・・・はい」

「身内が迷惑をかけてすまねえ」


「いや、儂も力及ばずですまぬな。 マリナはあちらのご家族と顔合わせする前に、更に努力をしてもらうことになる」


「はい。 ご配慮いただきありがとうございます」

「うむ」


こんな感じでいい話はなかったかもしれないが、それぞれがやる事を認識し、動くことになった。


あ、33号と3号の魔石はちゃんと交換したぞ。

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