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ギャッツが到着し、飲んだり食べたりしながら会話が進み、
なぜこのマーチンに来たかの話になった。
ギャッツは信じてくれた。
「その容姿で竜人に求婚されたのか?」
「うん」
「まー、番ってのは顔じゃねーか」
「おいっ、エミリアはこの姿は偽りなのか?」
「・・・うん」
「がはは。18にしちゃ幼すぎだろ? 気づけ、ぺぺ」
「中身も幼いぞ、自分の事は何もできない」
「・・・む」
「それよりこれからどうするんだ? 50年前に帰りたいのか?」
「・・・私は別に。 師匠の事は少し心配だが・・・」
「俺も身内に呪われていたからな・・・両親に別れは言いたかったが・・・」
「なら、いいじゃねーか。 このままなら番は追いかけて来られないし、 侯爵との結婚の事もなかったことにすればいいじゃねーか。 気になるなら故郷に帰って、どうなってるか見てくればいい」
「ぺぺはどう思う?」
「気になるからザイルに行ってみたいな」
「じゃ、行こう。 それまでにCランクに上げて」
「わかった。 ところでギャッツのランクは?」
「SSだ。妻がS。 そこまで目指すなよ? こうなるまでこき使われるぞ」
足をたたくギャッツ
「・・・なれる気がしないが」
「はは。そこら辺はエミリアも感じてるから、Aランクまでにしてるんだろ? エミリアは強い。エミリアの相棒は俺よりはるか上の実力だ。 ・・・あの時はだいぶ助けられた」
「・・・ギャッツと奧さんの連携は見事だった」
「ありがとよ。だが2人がかりで苦戦してるのに、相棒はあっという間に1人で片付けて行くんだもんな。あれからは SSを名乗るのが恥ずかしくなったな」
「上に誰かいてくれないと、繰り上げられそうだからこちらは助かった」
「がはは。 生け贄のようだな!」
「なんか怖いな、冒険者・・・」
「ぺぺは絶対になれないから大丈夫だ」
「違いねぇ! がはは」
「・・・はは」
その後も、色々な話をしてから宿に帰った。
「なあ、エミリア。 本当の姿を見せてくれよ」
「・・・」
「今の相棒は俺だろ? 隠し事はよくないと思わないか?」
「・・・わかった」
エミリアが少し光をまとい、瞬きをしたら容姿は変わっていた
「・・・ めちゃくちゃ可愛いくなった」
背は伸び、胸が膨らみ、ウェストはくびれ、髪は茶からピンクブロンドになり、瞳の色は茶から水色になった。
元から可愛い顔をしていたが、それぞれのパーツが完璧な位置についた感じだ
「・・・ちょっと抱きしめさせてくれ」
「・・・・・」
「ダメか?」
「ダメ」
「どうして」
「ぺぺは呪いが解けてちょっと格好良くなったから・・・動悸がするん~っっ!!」
顔を背けて話をしていたら、手を引かれ抱きしめられた
「・・・何で姿を変えてたんだ?」
み、耳元で話すな
「・・・し、師匠より大きいのも、目立つのもダメと言われていた」
「はー、違う意味でわかるかも。 昼間は今まで通りにして、宿にいる時は本当のエミリアでいてよ。 こっちの方が世話するのもやる気が出る」
「・・・別にいいけど」
髪だけじゃなく、顔も拭かせよう、ご飯も食べさせてもらおう。よりラクになるな・・・
エミリアはこんな風に思っていたが、ぺぺは完全に堕ちていた。
捨てられないように強くならなくては!
別々の部屋にされないようにしなくては!
寝るときは抱きしめながらでもいいだろうか?
今まではこっちに転がってくると押し返していたが、これからはそのままにして抱きしめてしまえばいい!
あ、寝る時の格好は変えないでくれよ!
竜人のように逃げられないように、がっつきすぎないようにしなくちゃな!
「はー、エミリア可愛い」
「~~!」
ぎゅうぎゅうに抱きしめるぺぺだった