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あれから1ヶ月、もくもくと薬草を集めた。


エミリアはエミリアで自分で依頼を受けて魔物を討伐していた。


俺がDランクになると、付き添うことが多くなるから、今のうちに稼いでおくそうだ。

金の事はしっかりしてるんだよな・・・

あれから部屋は1つにしたが、寝起きは悪い、準備は遅い・・・薬草集めより手がかかる。


1回の薬草集めで得た収入は、1日の食事代にしかならなかった。エミリアに今だに返済できずにいる状態だ。


時間が空いた時には、2人で図書館に行き、聖女の事を調べた。

聖女の寿命によって召喚される。

ザイルでは国に住んでる者から聖女が出ることはない。

他の国では、国民から出る事もあるらしい。そこら辺はザイルでは魔法使える者が他の国に比べると少ないからだろう。


俺達は50年後に来た。召喚された聖女の年齢次第では、また召喚されるはずた。その時に合わせてザイルに行く事が出来ればいいが・・・そう上手くはいかないだろうな。


それより驚いたのは、クレープ屋だ。

転移前はなかったモノだ。皮がモチモチしてクリームやフルーツに合う! 何個でも食べられそうだ。


・・・ってそんなことではないのだ!


あのオッサンだ。


エミリアが転移前、お師匠と冒険者をやっていた時に何度か一緒になったことがあったらしい。

美人な奧さんと2人で冒険者をやっていた。

オッサンは昔から髭もじゃの2メートルを超える長身で、筋肉自慢なガッシリした体型だったらしい。

今は腹がでっぷりとしてるから、そんな頃があったなんて想像できないが。

そんなオッサンの名前がサミュだった。あまりに可愛い名前に本人は納得してなかったらしい。エミリアとお師匠が、たまたま嘆いているオッサンの近くにいた。その時にエミリアが『ギャッツ』はどう?と言ったのを、気に入って改名したらしい。


それをエミリアが思い出したから、2人でクレープ屋に行った。


オッサンに話したら、


「懐かしいな! そうだよ、50年以上前の話だ。お前は・・・師匠と2人でいたエミリアか!? 久しぶりだな!! ん? エミリア、何故年をとっていない? 顔も少し違うか?」


エミリアが肩をすくめる。

50年後に転移したからな。


「ま、何かあるんだろうからいいか。 あれから俺がヘマして冒険者は辞めた。 妻の故郷がここで、2人で商売を始めた。楽しくやっていたが、 30年前に妻は亡くなっちまった。 今は1人でやってる」


ん?

オッサンも話と年が合わなくないか?


疑問に思っていると、


「ギャッツは、エルフとのハーフだから人間より寿命が長い」


エミリアが説明してくれた。

このオッサンがエルフとは・・・


「がはは。 良く覚えているな、エミリア。 200年位は生きるだろうな。 妻がいなくなってからは、毎日が前よりつまらなくなったが・・・それでも楽しんでるぞ」


「冒険者に戻らないのか?」


「そちらからは見えないだろうが、右足を失ったからムリだ」


「・・・そうか」


「がはは、 今はクレープ屋が気に入ってるんだ。 妻がいたときはパン屋だったんだがな。 クレープ屋を始めたのも冒険者時代の知り合いが、教えてくれてな。 試しに作ってみたら、人気が出た! 今度はエミリアが来た。 あの頃の縁でこうして楽しくなる! なぁ、今日は店終いするから飯でもいかないか?」


エミリアに視線を向けると頷いたので、オッサンに教えてもらったココで待ち合わせすることにした。


俺達は先に店に向かった


「・・・エルフって本当にいるんだな」

「竜人だっているんだ、不思議ではないだろ」

「そうだな・・・あ、俺の分の支払いよろしくね?」

「・・・宿に帰れば?」

「そんな事言うなよ。 2人で会話を続けられるのか?」

「・・・水でも飲んでろ」

「から揚げ食べたい」

「・・・」


あれも初めて食べた時は感動したな~

アツアツでカリカリで~


「明日からペースを上げて。 せめてCランクにならないと稼げない」

「はい。明日から頑張るから、から揚げ食べさせて」


両手を合わせて拝むぺぺ

こいつ、呪いが解けたら少し格好いいのがムカつく・・・。


「・・・明日も髪結って」

「おう、任せておけ!」


そんな話をしながら店に入って、ギャッツを待った


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