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この国境を越えれば竜人の国だ。
ポケットを叩き、婆さんに合図する。
しばらく待ってると、3人がポケットから顔を出す。
「着いたか?」
「ああ」
「「 パパー 」」
手を伸ばしてくるアルとレティが可愛い。2人の頭をなでる。ついでに婆さんの頭もなでるが、手で払われた。
「レオン、竜人の国に人間はいるのかい?」
「ほぼ、いないな」
「ヒッヒ。 じゃ、皆で変身するか」
淡く光ると、全員が猫の獣人になった。
「「 しっぽ! 」」
はは、自分にできた尻尾に子供達は、キャッキャ、キャッキャと興奮気味だ。
俺はレオンみたいなもふもふな尻尾が良かったな。
「アタシ達は屋敷に着いてもこのままのサイズでいく。 3人は親子でも兄弟でも友人でも、何でもかまわないから設定しな。 ヒッヒ」
男3人は互いの顔を見る。
「・・・」
「知人でいいだろ」
「・・・だな」
「レオン、ここから竜人の屋敷まではどのくらいかかる?」
「歩きだと、2日くらいか」
「じゃ、また屋敷の近くになったら知らせてくれ。 アル、レティ、また訓練に戻るよ」
「「 はーい。 みんなバイバーイ 」」
3人は消えて行った・・・。
久しぶりに会ったのに、なんてそっけない・・・。
パパはまた涙が出ちゃうぞ。
「なんかもっと綿密な計画をたてなくて平気なのか?」
「がははっ、お婆の頭にはあるんだろうな」
「・・・こっちだ。 行こう」
レオンが歩く方について行く。
婆さんは、俺が時間を止めてもダメで、魔法陣も発動しなかった場合の為に、更に保険で、オーン国に連絡を取ったと言っていた。
この国は、王女が番として連れ去られた時、王女のいたサンダー国と協力して、レオンの故郷と戦争をした国だ。 無事に王女は戻り、サンダー国からオーン国の王子へと嫁いだ。
既にこの2人は亡くなっているが、子孫の王族に会いに行き、娘のように育てたエミリアが結婚し、子供を2人ももうけているのに、竜人に番として連れ去られた事を話した。
自分でどうにかするつもりだが、どうしてもダメだった場合は助けを求めるかもしれないと言ったそうだ。
オーン国の王族達は自分の両親、または祖父母を思い出し、怒り、すぐに戦争をしかける勢いだったが、婆さんが止めたらしい。一応、今も番で苦しむ人間がいることを知っていて欲しいだけだと。ちゃんと薬を飲む獣人もたくさんいると。
もし、戦争になった時の為に、レオンの家族は助けたいと思ったが、両親や祖父母は老齢だった為、既に亡くなっているらしい。 兄もいたが、事故で亡くなっているそうだ。
生まれた時に、番を認識しなくなる薬を飲む事は獣人の間で広まってきているらしい。薬を飲まなかった竜人1人の為に戦争までするのは避けたい。
とにかく、俺が失敗しなければいい。
竜人国に入ってから、そう思えば思うほど、緊張で体が固くなるが、ギャッツやレオンがうまく俺の緊張をほぐしてくれる。
ギャッツは休憩する度に、ギャッツ画伯として、猫獣人になった皆の絵を描いている。特に俺には変なポーズをさせようとする。
レオンは、猫獣人になった俺の尻尾で、レオンを癒してみろと、無茶な要求をしてきて、俺にくっついてきたりする。
「がははっ。 お前達は知人じゃなく、恋人って設定にした方がいいんじゃないか?」
ギャッツにそんな事を言われ、俺とレオンはお互いの顔を見て
「・・・」
「・・・」
スススっと離れた・・・。
考えると緊張したが、ギャッツやレオンの気遣いで、リラックスしながら竜人の屋敷に向かって歩き続けた。




