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「視力は悪いのか?」
「ああ、急に落ちたかもな。 あまり覚えてないな」
「眼鏡をちょっと見せて」
「ああ。ほら。 ・・・ん? ・・・っ!!」
「見えるか?」
「・・・ああ」
「視力は治した。 この眼鏡は呪われてるな」
「・・・マジか」
「・・・多分、能力を抑える術がかかってる」
「・・・そうか。 私・・・もう俺でいいか。 これは兄に貰ったんだ」
「言わない方が良かったか?」
「いいや、ありがと」
首をふるぺぺ
「・・・私は、両親から嫌われてた。 この眼鏡は似合っていたぞ」
「ふ、慰めてるのか?」
ぺぺに頭をぐりぐりされる
「~~~! やめろ!」
「ふ、あはは」
「エミリア、明日からはどうする?」
「転移前は師匠と冒険者をやって生活費を稼いでいた。 このカードが有効か確かめたい」
ローブの下からカードを出す
「すごいな、Aランクかよ」
「師匠もAランクだがSSランクになれてたはずだ。 だが、ランクが高いと面倒な事ばかり押しつけられるから、これ以上は上げるなと言っていたな」
「ああ、わかるわー。確かに面倒そうだな。じゃ、明日はギルドへ行くか。 宿はどうする? 俺、金ない」
「・・・・・たかるのか」
「・・・巻き込まれるとわかっていれば、金を持ってき
たに決まってるだろ。 エミリアは準備万端で転移したんだろ?」
「・・・当面は私が出す。 ぺぺも冒険者をやるか? ムリなら他で仕事を探して」
「うーん、そうだよな・・・万能なエミリアがいるから冒険者やってみるかな、呪いがなくなってどの位動けるか知りたいし。 あ、武器や装備も買って欲しい。 この白いローブはちょっとイヤだ」
「・・・」
「しょうがないだろ? 何をやるにも準備は必要だ」
「・・・明日買いに行こう。今日は宿をとって休もう。 もうクレープ屋は閉まってるかな、おじさんに聞いとけば良かった」
「なんであのオッサンを信頼してるんだ?」
「・・・何となく、知り合いに似ていたんだ」
「なるほどな。 でも閉まってるだろ? 会計の時にここの店員に聞いてみるか」
「そうだね」
ココの店員に教えてもらった宿屋に入り、
また明日と挨拶して、部屋に入る。
ふー、お腹がいっぱいで眠い
だけど、この眼鏡の術は解除しておきたいな
ぺぺにはこれが似合っていた
それにしてもコレは、なかなかに面倒そうだ。
知力の低下、武力の低下、うーん、顔も少し不細工になるようになってるのか? 背も低くなる? モテなくなる?
どれだけお兄さんに恨まれてるんだ? ぺぺのやつ!
しかしこれはこれで貴重だな。この眼鏡に、これだけ詰め込んだ奴に会いたくなってきたな!
眼鏡に興味がわいたエミリアは眠気がとび、楽しそうに術と格闘するのだった
次の日、時間になっても来ないエミリアの部屋へ行くと、鍵もかけず、ベッドを使わず、床で丸まって寝ているエミリアを発見。
叩き起こし、説教をして、準備をさせ、それでも寝ぼけて動きの遅いエミリアの髪を結い、朝食を食べさせるまでをやらされたぺぺは、どうしようもない子を見る目で、
「俺がいて良かったな、エミリア。 こりゃ部屋も1つでいいか? エミリアと俺がどうこうなることはないだろし」
「お金がかからないし、 ぺぺが色々とやってくれるからラクだ。 私は別にかわまない」
「・・・・・そうだな。」
なんかなんとも言えない気分になるぺぺだった・・・