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全部を済ませたあと、エミリアに俺宛の手紙を見せた。
文字が並んでるのを見て、顔をしかめ、こちらに返してきた。
「・・・長い」
婆さん、エミリアの事がよく分かってらっしゃる。
自分宛の手紙は封も開けず、俺に渡してくる。
中身を確認すると
『自分の事は自分でやれ。 人の話は聞け。 ザイルに来たら必ず来い。 体に気をつけろ』
これだけだった。なのにエミリアは読まなかったぞ、婆さん。
本当によく分かってるなと感心した。
とりあえず、俺の手紙に書いてあったことを話した。
「薬の素材は集めに行こう。 ぺぺもCランクだし一緒に行く? 精霊の涙は、ギャッツに泣いてもらおう」
「う・・・なんかイヤだな。 本当にギャッツの涙でいいのか?」
「エルフとのハーフなんだから大丈夫だろう? 1滴と書いてあるが2滴もらえば完璧だろう」
そんなもんか? なんか心配だ・・・。
会話をしながら、エミリアの髪を紫のリボンで結ぶ。
俺の色をまとうエミリアに顔がニヤける。
独占欲ですよ! 俺のモンです。 あげません。
「ギルドに行く前にドレスとタキシードに着替えて絵を描いてもらおうな」
「ん。 ギャッツは絵も上手だよ」
「じゃ、ギャッツの所へ行こう」
あのおっさんもなんだかんだで万能だな。
婆さんもスゴいし。
ん? あれ? 俺、何も出来てない・・・?
エミリアと結婚して、抱いて喜んでるだけの男・・・
イヤ、周りがスゴいだけだ。ちゃんと鍛錬を地道にしていこう。俺は3男だが、甘ったれてるだけではない。コツコツ努力ができる男のはずだ。
「ぺぺ?」
「ん、イヤ、周りはスゴい人ばかりで、俺って何もできてない?って、ちょっとへこんだだけだ。はは」
エミリアがこちらに来て抱きつき、キスをしてくる。
「ぺぺがいないと、私はもう生きて行けない」
「はは。ありがとう、エミリア。愛してる」
「ん、私もぺぺを・・・あ、愛して・・・る」
夫婦になった途端、大胆になったエミリアに慰められる。
エミリアを抱きしめ返し、嬉しい言葉をもらい元気になった。
ギャッツに会い、精霊の涙の件を聞くと
「がははっ! 冒険者になった者は、1度は俺の涙をもらいに来るぞ」
お馴染みのイベントだったらしい・・・
「じゃ、ちと妻を思い出してくるから待ってろ」
店の奥に行ったギャッツが帰って来るのは早かった。
「妻の絵を見て、思い出せばすぐに出てきちまう。年をとってからは簡単に涙が溢れる、溢れる・・・」
また思い出したのか、涙ぐむギャッツ。
「あー、もったいないから、それももらう」
「「 ・・・ 」」
エミリア、デリカシーなさすぎだ。
エミリアの言葉でギャッツの涙は止まった・・・
「あー、ギャッツ。 まだお願いがあるのだがいいだろうか?」
「・・・ちゃんとエミリアを躾けろよ? 旦那の責任だからな? で、なんだ?」
「俺達の絵を描いてもらいたい」
「・・・金とるぞ?」
「もちろん。 何枚か描いてくれ」
「わかった」
描いてもらってる間、エミリアがじっとしていられず、大変だった。
ギャッツはそんなエミリアを気にせず、真剣な顔で描き続けた。
帽子をかぶって、「ギャッツ画伯」と呼んでくれと言ってきた時は、ふざけてるのか?と思ったが、出来上がった絵は見事だった。
ウエディングドレスを着ているエミリアと、タキシードを着ている俺が寄り添っている絵
いつものローブを着ている俺達の大きい絵と小さな絵
エミリアだけの絵
俺だけの絵
5枚をあっという間に描き、とても似ていた。
「ありがとう、ギャッツ」
「本当に上手いな! 絵でも食べて行けそうだ!」
「絵は嫌いじゃないが、話をあまりしないからつまらなくて仕事にはしたくないな! 俺は人と話すのが好きだ! がははっ」
「いくらだ?」
「金はいらねえよ! 結婚祝いだ! これから飯でも行こうぜ」
その後はココに行き、ご飯もごちそうになった。
婆さんが言っていた考察も話しあった。その婆さんの過去の話で盛り上がった。
初めて食べたカツ丼は最高だった!




