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序章~何度目かの親善交流大使、なんで私があの子のバディなのよ~ニキアsaide

ローカル・テアたちに呼び出されたと思ったら、

いきなり親善交流大使になれって言われた。


「ニキア、あなたとこの子は同じくらい対価を持つ」

とか言っちゃって。


私たちの住む世界、アンフィスワールドには、

私の様なエルフもいれば、ドアーフやフェアリー、そして人間もいる。

そしてダークサイドといわれる闇の世界もある。


そんなアンフィスワールドとは別に普通の人たちが住む世界がある

私たちはそこをシャロームと呼んでいる。

そこには闇もない。


千年まえ、シャロームに闇が入り込もうとしたけど、

それはアンフィスワールドの全勢力を結集し阻止した。


そのころから、シャロームの人間とアンフィスワールドの誰かを

ペアで選び、お互いの住む世界を行き来しながらともに生活する、

という「親善交流大使」という制度を設けている。。


私にとっては何度目かの親善大使。

いつも気が進まなかった。


今回はペア(バディ)が、あの子だって。

なんであの子が選ばれたんだろう。


ローカル・テアの決定には逆らえない、私はしぶしぶ

あの子の世界、シャロームに行った。

そこでの私は看護師見習いの「二木はるこ」だった


二木はることして、ペア(バディ)の優花の世話をした。

優花の身体は長く病と闘い続けていることが、私の眼で見てもはっきりとわかった。


痩せたからだ、何度も針をさされてぼろぼろになっている腕の血管、

青白く、血の気のない肌。


体調が良い日でさえ、歩くのもおぼつかない。

ほぼ一日、ベッドの上で過ごしいつも窓の方を見ていた。


優花と二人だけになったのを見計らって、

私は「親善交流大使」について説明した。


お互いに住む世界を、同じ時間だけ交互に過ごすことができる。

相手の世界での自分はある程度、希望する姿になれること、

相手の世界で身に着けたことは、自分の世界ではつかえないこと、

など。


私は優花に聞いた、

「どんな子になりたいの?」


「歩けて走れて、美味しくご飯が食べられて、昼間起きてて夜眠れて、学校に行ったり遊んだりしたい」

優花の希望だった。


これは、普通の生活ではないの?

私の世界でもこの世界でも、普通に生きている人ならだれでも経験できることだと思った。

それが優花にとっては希望なのだ。


「あと、髪の毛、長くしたいな。サラサラの髪」

自分の短く切りそろえられた髪を触りながらいった。


私はここでは黒髪にしているけど、自分の世界で長い金髪だ。

他の女の子たちも髪を長くしている子が多い。


「私さ、しょっちゅう熱が出るし、薬の影響なのか髪すぐ抜けるし、

いつも男の子みたいなショートカットなんだ」


私はあっちの世界ではその夢を叶えてあげようと思った。

私は魔法使いだ。それくらい簡単にできる。


優花と話しているうちに、私の世界で優花にさせてあげたいこと、がどんどんわいてきた。


私が人のためにないかしてあげたい、そんなことを思うなんて。

今までほとんどなかった。

だけど、優花と話していたら、何故かそんな気分になった。


優花には何か不思議なものがあるのを感じていた。

それは私が今まで気にもしたことのなかった、

「生きる力」だった。

優花に私がは私が驚くほどつよい生命力があった。


私の種族は事故にでも合わない限り永遠の命がある。

だから、毎日を生きるなんて当たり前のことを考えたこともない。

何もしなくても明日が来る。

それが何年も、何千年も続くのだ。


だけど優花は違っていた。

来年は迎えられないかもしれない、

いや、次の季節、いや明日の命でさえどうなるかわからないのだ。


そんな境遇で過ごしている子がいるなんて、

今まで知らなかった。


私は優花が「親善交流大使」に選ばれた理由が分かった気がした。

そしてそのペア(バディ)に私が選ばれたのも必然だったのだ、と分かった気がした。


「じゃ、あっちの世界へ行こう」

私は優花を連れてアンフィスワールドに戻ってきた。




応援していただけると感激します。

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