コカ・コーラな日々
月曜日。スコラに生徒として初登校。塾長が言った。
「今日から、皆さんとご一緒する、ギタリストの高木琢磨君です」
挨拶か。正直、苦手分野。
「た、高木琢磨です。ぼ、BOOWYが好きでギターに夢中です。よろしくお願いします」
すると、赤いTシャツを着こなす、背の低い、少年が言った。
「俺、菊本。趣味はベース。尾崎と、BOOWYが好きだ。バンド、組むか」
「考えとくよ」
「お前、面白そう奴だな」
「そんなことないけどな。よろしく」
握手を交わす、俺と菊本。十人ほどの、少年少女、先生だと思われる大人たちが、拍手をしてくれた。菊本は俺と同じ年で登校拒否児だったそうだ。すると、菊本は、スコラの食堂へ俺を通してくれた。そして、冷蔵庫を開き、コカ・コーラを俺に差し出した。
「お前、ほんとにバンド、組まないか」
菊本は言う。
「俺、BOOWYしか弾けないけど、いいのか」
「おお、いいよ。ヴォーカルの畑中って奴と、ドラムの松本って奴が、ちょうど、ギタリストを探してたんだ。お前となら上手く、やれそうな気がする。どうだ」
「わかった。組むか」
菊本とコーラを飲み干して、次に通されたのは『バンド部屋』という、ドラム、スピーカー、アンプ、キーボードがそろった、大きな部屋だった。菊本は言う。
「俺よ、この前、めちゃくや、イヤミったらしい、奴に、『お前のベースは心に刺さらないって言われてよ。そいつの鼻を折ってやったんだ。ざまあみろ、高木、ちょっと、marionetteを弾いてくれ」
「わ、わかった」
marionetteを弾く。アンプなし。俺の両手は素早く動く。菊本は、真剣な顔つきになった。そして、笑った。どうやら、やっていけそうだ。ここなら。




