哀しみの果て
俺達は、結婚した。父さんも母さんも、加奈の立場や仕事を理解してくれた。俺は作詞作曲、スコラでの日々、ポラロイドクラッカーズとしての活動、加奈との夫婦生活をうまくやれている。不満はない。ただ、加奈の出演作だけは観ない。ギターを手にやる。ONLYYOUを弾く。LIVEをこなす。ライブハウスに毎日。大入りだ。9月9日、二人の誕生日。大袈裟か。俺、19。加奈、25。ハッピーバースディ。ケーキでも買った。加奈は嬉しそうに言った。
「私、出来た」
「何が」
「赤ちゃん。琢磨の子だよ」
「え、俺、まだ、19だよ」
「まあ、いいじゃん。お父ちゃん、抱っこしてくだちゃい」
あれから、1年過ぎた。俺達はインディーズデビューに成功。加奈は、加奈は。死んだ。赤子は無事だったが。でも、俺、父親だ。生きている奴は、本気で生きている。赤子に、美幸と名付けた。俺、本気で生きていく。今頃、加奈は天国で笑ってら。加奈。お前は、本当にきれいな人だった。俺は煙草に火を点けた。今日もLIVEへ、ギターと共に。美幸にキスをして車に乗る俺がいた。二人の切ない時間は永久に。哀しみの果てに生きる者たちへ。
ポラロイドクラッカーズ
「いつもの二人」
二人きりの哀しい恋の物語
わがまま
分け合い
俺は歌い
お前は強く
俺は切なく
歌を忘れたら
新しい歌を
歌えばいい
恋に恋
譲れない
この時間
僕は
君に似た君になる




