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ポラロイドクラッカーズ  作者: ムラカワアオイ
18/22

美しい人

あれから、一週間が過ぎた。松本がいないライブハウス、「タイムマシーン」。ステージに上がる俺たち三人。客さんは満員。複雑だった。今日から、俺はヴォーカル兼ギターだ。挨拶しないと。


「今日はありがとう、ちょっとみんなに言わなきゃならないことがあって。ヴォーカルしてた、松本が亡くなりました。今日から俺、高木琢磨がヴォーカルを務めます。松本のためにも歌います。これが俺達、ポラロイドクラッカーズの決断です」


俺はギターをかき鳴らし、菊本の畑中も、ベースとドラムに気合いを入れた。季節が君だけを変える、クラウディハートを歌う。拍手をもらう。

水を飲み干し、marionetteを歌う。踊ってくれる人たちも多い。何とか、workingManに繋げて、菊本のダウンピッキングがさえわたる。そして、オリジナルだ。

「今日は俺達、初めてのオリジナルがあります。聴いてください」

俺は作詞作曲した、『天使の涙』という曲を歌う。少し照れ臭いけど、堂々とやる。

「生きている 生きている この世に天使の涙があるのなら この世に天使の涙があるのなら 俺は歌い続け 闘い続けて 彼女を抱いて 生きていく 星になる 星になる」

歌った。歌えた、何とか。お客さんから、「良かったぞ」の一言をもらえた。そして、俺たち三人はステージから降りた。


楽屋。笑う、菊本と畑中。

「何とかやれたな。琢磨、ご苦労さん」

菊本は、ベースをしまう。俺は、「そうだな」と、汗を拭いた。弔い。緊張。わがまま。天使の涙。畑中は言う。

「琢磨、これからもよろしくな」

「ああ、勿論。こちらこそ」

少し、楽になれた。俺は新しく買った、ギターに感謝。時計は21時45分。バイトだな。行かなくては。

「じゃあ、お疲れ。俺、仕事、行くわ」

「お疲れ」

「お疲れ」

俺は加奈に、「オリジナルやれたよ。ウケたし、頑張ったよ。ヴォーカルも」とメールを打って、車に乗った。車の中、BOOWYのdreamnが流れる。俺はそんなに馬鹿じゃない。ハートは今、ここにある。その通りだ。雨が降ってきたな。ワイパーを点ける。着信音。メールか。加奈からだったらいいな。信号待ち。良かった。加奈からだ。

「琢磨。ご苦労様。もし、よかったら、旅行でも行こうよ。最近ハードだったから。どう」

旅行か。そうだな。加奈と二人。思い出の鳥取へ行こうか。「うん。行こう」と加奈に返信して、俺は店に着いた。生きるって楽なことばかりじゃないな。でも、楽しんでこそ人生。店長に旅行の話をする。

「いいよ。琢磨君、行っておいで。たまには休まないと。例の彼女も一緒なの」

「はい」

「いいね。べっぴんさんと旅行か。楽しんできなよ」

「はい。ありがとうございます」

俺が、弁当を陳列していると、「お願いします」の声。そこには、加奈が笑顔で立っていた。

「いっらしゃいませ。キャスターですか」

「そう。キャスター、今日は二つ」

「かしこまりました」

加奈は笑っていた。この人となら、ずっとやっていける。そんな気がしたんだ。加奈は、「ありがとう」と帰っていった。

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