ONLYYOU
俺は、シャワーを浴びる。安富さんは寝てしまった。きれいな寝顔。俺は朝まで起きていた。こんなにきれいで、しかも、ずっと、憧れていた人と恋ができるだなんて。コーヒーを飲む。安富さんが起きて、欠伸を残し、「おはよう」と笑って言ってくれた。
「ねえ、ごはんにしょうか。今日、土曜日だし、それこその深志野のファミレスで」
「はい」
「ねえ、敬語、使わなくてもいいんだよ」
「そ、そうだね」
「あんたってかわいいね」
それから、安富さんを助手席に乗せた。ギターのこと。バンドのこと。中卒だということ。すべて、打ち明けられた。安富さんは、「いいね。ギターか」と俺のすべてを許してくれた。20分程、走るとファミレスに着いた。この幸せが壊れないように、と俺は思わず十字を切った。安富さんと朝食。安富さんは笑顔で言った。
「ねえ、加奈って呼んでみなよ」
「か、加奈」
「そう、緊張せずに」
「う、うん」
俺たち二人は車に戻り、ドライブへ行った。加奈と呼んでいいみたい。加奈は仕事の愚痴や元カレの愚痴を言う。俺は、話を聞き入り、加奈を本気で愛し始めた。銀行員って大変なんだな。六つ年上の彼女。イイ女だ。深志野小学校の前を走る。
「ここで加奈に一目惚れしたんだ」
「そう、一目惚れ。私、きれいだから、モテルよ。本気で愛してね」
「勿論」
キスを交わす俺と加奈。携帯が鳴った。父さんからだ。
「琢磨。昨日、どこへ行ってた」
「ああ、それ、今から父さんに話そうと思ってたんだ」
「わかった。早く、帰ってこい」
「わかった」
加奈に父さんを紹介しようと思った。その旨を話すと加奈は言った。
「琢磨ってさ、面白い子だね。お父さんにイキナリ、彼女を紹介するなんて」
「そ、そうかな。初恋なんで、俺」
加奈と笑った。車の中で笑いに笑った。そうこうしていると家に着いた。よし、父さんにも加奈を紹介だ。
「琢磨。そ、そちらさんは」
「初めまして。安富加奈と申します。琢磨君とお付き合いしています」
「は、初めまして」
「父さん、声裏返ってるよ」
「そ、そうか。加奈さん、上がっていってください」
俺は加奈を部屋に案内した。ギターを見て加奈は、言う。
「これがギターなんだ。私、人生でギター見たの、初めてだ。結構、重いんだね」
「うん、重いよ」
「ねえ、琢磨」
「何」
「琢磨のお父さんってカッコイイね」
「そうか。そうでもないけどな」
「足、長くて、背も高くて、カッコイイじゃん」
「そ、そうか」
加奈を抱いた。ベットの上に、加奈と俺。横にはギター。この初恋は譲れない。加奈は、煙草に火を点けて、俺にイキナリ、キスをした。
「私、寂しがり屋だよ。大事にしてね」
「うん」
俺は眠った。加奈を抱きしめながら。人生か。ギターだけじゃなくなった。加奈。この人だけは譲れないんだ。




