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ポラロイドクラッカーズ  作者: ムラカワアオイ
14/22

ONLYYOU

俺は、シャワーを浴びる。安富さんは寝てしまった。きれいな寝顔。俺は朝まで起きていた。こんなにきれいで、しかも、ずっと、憧れていた人と恋ができるだなんて。コーヒーを飲む。安富さんが起きて、欠伸を残し、「おはよう」と笑って言ってくれた。

「ねえ、ごはんにしょうか。今日、土曜日だし、それこその深志野のファミレスで」

「はい」

「ねえ、敬語、使わなくてもいいんだよ」

「そ、そうだね」

「あんたってかわいいね」

それから、安富さんを助手席に乗せた。ギターのこと。バンドのこと。中卒だということ。すべて、打ち明けられた。安富さんは、「いいね。ギターか」と俺のすべてを許してくれた。20分程、走るとファミレスに着いた。この幸せが壊れないように、と俺は思わず十字を切った。安富さんと朝食。安富さんは笑顔で言った。

「ねえ、加奈って呼んでみなよ」

「か、加奈」

「そう、緊張せずに」

「う、うん」

俺たち二人は車に戻り、ドライブへ行った。加奈と呼んでいいみたい。加奈は仕事の愚痴や元カレの愚痴を言う。俺は、話を聞き入り、加奈を本気で愛し始めた。銀行員って大変なんだな。六つ年上の彼女。イイ女だ。深志野小学校の前を走る。

「ここで加奈に一目惚れしたんだ」

「そう、一目惚れ。私、きれいだから、モテルよ。本気で愛してね」

「勿論」

キスを交わす俺と加奈。携帯が鳴った。父さんからだ。

「琢磨。昨日、どこへ行ってた」

「ああ、それ、今から父さんに話そうと思ってたんだ」

「わかった。早く、帰ってこい」

「わかった」

加奈に父さんを紹介しようと思った。その旨を話すと加奈は言った。

「琢磨ってさ、面白い子だね。お父さんにイキナリ、彼女を紹介するなんて」

「そ、そうかな。初恋なんで、俺」

加奈と笑った。車の中で笑いに笑った。そうこうしていると家に着いた。よし、父さんにも加奈を紹介だ。

「琢磨。そ、そちらさんは」

「初めまして。安富加奈と申します。琢磨君とお付き合いしています」

「は、初めまして」

「父さん、声裏返ってるよ」

「そ、そうか。加奈さん、上がっていってください」

俺は加奈を部屋に案内した。ギターを見て加奈は、言う。

「これがギターなんだ。私、人生でギター見たの、初めてだ。結構、重いんだね」

「うん、重いよ」

「ねえ、琢磨」

「何」

「琢磨のお父さんってカッコイイね」

「そうか。そうでもないけどな」

「足、長くて、背も高くて、カッコイイじゃん」

「そ、そうか」

加奈を抱いた。ベットの上に、加奈と俺。横にはギター。この初恋は譲れない。加奈は、煙草に火を点けて、俺にイキナリ、キスをした。

「私、寂しがり屋だよ。大事にしてね」

「うん」

俺は眠った。加奈を抱きしめながら。人生か。ギターだけじゃなくなった。加奈。この人だけは譲れないんだ。

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