お久しぶりです
鬱気味の話なので、見る際はご注意ください。
むしゃくしゃする。イライラする。こういう時の自分は嫌いだ。
やさしくあろう
つよくあろう
まっとうなにんげんであろう
いつもそう思っているのにどうしてもうまくいかない。うまくできない自分が嫌いだ。
みんなに言われた、機嫌の悪い時の自分は分かりやすいって。言われてやっと自分の機嫌の悪い時が分かるようになった。
だからわかる、今の自分はそうとう機嫌が悪い。
それが分かるなら、お願いだから、自分に近づかないで。
でもね、それでも避けられているのが分かるのは嫌なんだよ。
そうやってわがままな自分が嫌い。
わがままだって分かる自分が嫌い。
自分を嫌いな自分が嫌い。
家に帰ると、さらに自分が嫌いになる。外だと出さないようにしている口の悪さや冷たい態度がすべて出てくる。
いや、もしかしたら、外でも出ているのかもしれない。
帰ってきたら、家には母がいる。
母にイライラをぶつけて、目線を向けられてただけで突っかかって。
最低だ。
母から向けられるイライラしてるなという目にイライラする。気を使って違う階に行かれるのも腹立たしい。
でも、そうでもしてもらわなければ、母にイライラをぶつけて喧嘩をしてしまうから何も言えない。
一人になるとどうしようもない喪失感に襲われる。
それを紛らわすために動画をみたり猫を撫でたりするけど、まったくもって効果がない。
いつもだったらこれで紛らわせるのに。紛らわしている間にイライラしていたことすらも忘れてしまうのに。
何もできないまま寝ころんでいると勝手に涙が出てくる。
おかしいな。
何も辛いことなんて何もないのに。
普通に生活して、普通に学校生活を送って。
ただ生きているだけなのに。
勝手にイライラして、周りに迷惑かけて、勝手に泣き始めて。
何がしたいんだ?
みんなはこんなことで泣いたりしないのに。
自分が惨めで惨めで仕方がない。
ゆっくりと息を吐いて、涙を押し戻す。
大丈夫だよ
大丈夫
泣かなくたって
だいじょうぶ
ああ、そうだ。買ってきて全然読んでない本がたくさんあったはず。
ずっと読みたいって思って読んでなかった漫画。続きが出ててうれしかったんだよなぁ。前の巻でも泣いてたからこの巻でも泣いちゃうんだろうぁ。
本を手に取って、ページを開いて読み進める。
ああ、やっぱり泣いちゃった。
悲しいよ
辛いよ
泣いちゃうよ
そうだよ
これはただの本の感想だから
ないているのはじぶんのこころじゃないからさ
わたしはだいじょうぶ
だいじょうぶだよ
ないてなんかいないから
「やあ、彼女ちゃん。久しぶりだね」
「うぐっ、ひぅ。お、おにいさん……?」
「そうだよ。お兄さんだよ」
片手に靴を持って突然現れたお兄さん。
「お、にいさん。ひっく。とってもふほうしんにゅう」
「ええ? お兄さんはただ遊びに来ただけだよ」
「うっく。そ、そっか……」
「ねえ、彼女ちゃん」
「な、なんですか」
本を机に置いて涙をそでで拭う。
「外に行こ?」
「不法侵入だからですか?」
「うん」
「さっき否定したのに?」
「いや、口から咄嗟に否定の言葉が……」
「あははっ!」
ああ、何でだろう。何だか笑えてきた。
今日、初めて心から笑ったかもしれない。
「外、行かない?」
「行きたいけど、パジャマ」
「パジャマはパジャマだけど、ジャージだから大丈夫だよ」
「でも、周りの視線が痛いよ」
「じゃあ、空を飛んでいこう」
「太陽の光痛くない?」
「そんなに痛くはないんだけどね」
「でも、心配だよ」
「じゃあ、日傘でも差していこうか」
「重たいと思うよ」
「彼女ちゃんなら軽いから大丈夫だよ」
「じゃあ、いいや」
「それじゃあ、行こう」
お兄さんにだっこされてお空を飛ぶ。
「そういえば、お兄さん久しぶり」
「久しぶり。どうだった?」
「強くなった気がしたけど、全然強くなってなかった」
「そっか。それでもいいと思うよ」
「そうかな」
「そうだよ」
「じゃあ、泣いてもいい?」
「たくさん泣けばいいと思うよ」
「おにいさん」
「なぁに?」
「いつもありがとう」
「どういたしまして」
君の目から零れ落ちる涙が地上に落ちていく。
まるで雨みたいだね
知ってる?
雨って神様の涙って言われたりするんだって
だったら、今、涙を流している彼女ちゃんは地上の人から神様みたいなものだね
神様ってすごいよね?
だからさ、彼女ちゃんも神様みたいにすごいんだよ