あとがき
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。
あとがきから読むという方は、また後ほどお会い出来たら嬉しいです。
こんにちは。
作者の和泉龍一郎です。
早いもので、初めて小説を発表させていただいてから、半年ほどが経ちました。
この半年で小説も、小説以外のことも、色々と変化しました。
それらには、いい変化だと思うものもあれば、正直よくない変化だなと思うものもあります。昨年からかかった病気も、上向いてはいるものの、まだ頭のどこかにねっとりとした不安感があります。
ですがそれもまた人生、と大きな器でそれらを受け止めたいと思います。
長い長い人生のなかで、ちょっとくらい休んだり、遠回りをしてもいいじゃないか、と。
書き手として生きていく上で、無駄なものなんて決してないはずです。
すべてを自分の血肉に変えてみせます。
今後ともよろしくお願いいたします。
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以下、参考文献です。
『「少年A」この子を生んで…… 父と母 悔恨の手記』(「少年A」の父母・文春文庫)
『絶歌 神戸児童連続殺傷事件』(元少年A・太田出版)
『女子高生コンクリート詰め殺人事件』(佐藤稔・草思社文庫)
『殺戮者は二度わらう 放たれし業、跳梁跋扈の9事件』(「新潮45」編集部 編・新潮文庫)
『少年にわが子を殺された親たち』(黒沼克史・文春文庫)
『息子が人を殺しました』(阿部恭子・幻冬舎新書)
『人殺しの論理』(小野一光・幻冬舎新書)
『少年犯罪被害者遺族』(藤井誠二 編・中公新書ラクレ)
『少年に奪われた人生 犯罪被害者遺族の闘い──』(藤井誠二・朝日新聞社)
参考にさせていただいた量、箇所にバラツキはありますが、どれも非常に興味深く、多大な知見をいただきました。直接の描写はなくとも、作中に漂う「空気感」のようなものを形作るのに、どれも欠かせないものばかりでした。
そして上記のタイトルからもわかるように、この作品を書くにあたり、実際の事件を念頭に置かざるをえませんでした。
前作『[human]』はまだフィクション性が強いため、実際の人物、団体等への配慮は薄めでしたが、本作は違います。
実際に事件を起こした方、被害に遭われた方、その家族や関係者の方──がおります。
彼ら彼女らをないがしろにすることは、書き手として決して許されないと思い、常に「自分は今、この作品に対して誠実であるか」と問い続けていました。
「完全に部外者である自分が、勝手に参考にして、勝手に書いた、という業を背負う覚悟はあるか」と。
その結果が本作です。
どのような言葉でも受け止めます。
それが書き手として表明出来る、最大限の誠意であると信じています。
では、また次回作でお会いしましょう。
お読みいただき、ありがとうございました。
(2022年 3月5日 海の底にいるような静かな夜に)




