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悪辣金庫の見張り番  作者: 重装備の珈琲
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万手の絡繰箱

欠陥品と言われて顔をニヤリと浮かべた室長は欠陥品呼ばわりされたことに関して訂正をせずに話を続けた。


「まぁ用は使い方次第さ、こんなに極端に位置を撒き散らすならば囮として、もしくは相手の位置探知の魔法に対してのジャマーになるのではないかね?」

「まあそれはそうですが囮にするにしても高くつきませんか?これって今の技術の何歩先を行ってるんですか?いま」

「まぁ軽く見積もっても二世代はいってるかな?委員会直属の我らは最新世代のものが支給されるからね、その基準でいうと次世代ともいえる。」


委員会直属の極秘部隊である我々には少しでも任務達成率を上げるべく様々なものが支給される。その中でもとびきりなのが最新鋭の装備品や装置が支給されること。その装備は各国の標準装備の一歩二歩先を行っている。噂によると優位を保つために部隊で使われなくなって初めて他国の軍隊に情報がいくように委員会が抑えてるとか。


「いいんですか?そんなもんを任務に放り込んで、万が一でも敵に渡ったら責任は取れませんよ?」

「問題はないとも!予め登録してない生体情報の持ち主が一定時間持ってると僕の手元に帰ってくるギミックをつけているからね。まぁそれをバラされても最後は粉微塵さ、相手もそのお仲間になるけど」

「ちなみに範囲や威力はどれほど?」

「うーん、そうだねぇ、まぁ特化型は言い過ぎだがそれに準じるものより一段階下の感じかな?目的は隠蔽処理と他人の排除だからね、並の人間だと肉片すら残らないさ。」

「そんな恐ろしいものを手元に置きたくないんですが!」


リョウが室長に向け、抗議すると室長はこれ見よがしにハァーとため息をついた。


「君が僕に対して信頼を置いてないのはよーくわかった、だがね、そこは安心をしてもらいたい。例えどのような衝撃、斬撃、熱、溶解液、魔法、温度変化などなどの様々な項目のテストを行ったが全て問題はなかった。後でデータも送ろう、これで信用してもらえるかい?」

「はい、そこまで対応しているのならば文句はありません。ありがたく使わせてもらいます。」

「結構、じゃ今回は最低の最低でも一回は使用してもらいたい。データは多いに越したことはないのでね、なるべく多くの回数使用してもらいたい。」

「わかりました。しかし使うのは一度になると思います。」

「使用方法は後でうちの手隙を回すからから説明を受けてくれ。それと私の個人的な質問だが君は近接と遠距離をどっちもこなせるかい?」


突然の室長からの質問に少し戸惑ったものの、正直に答える。


「専門は近接ですが、一通りの訓練は受けているので専門程ではありませんが概ねこなせると思います。」

「ふむ、エリーゼはどうかね?」

「いえ、私は戦闘を専門にしていませんから。ですが一通りの最低限は使えます。」

「そうか、じゃあこれはリョウに頼むとしよう。頼まれてくれるかな?」

「お断りさせて頂きます。」

「即答かぁ、しかし拒否権はないよ?君がこっちに来てる間にオグマスから許可取ったから。」


どうやらこっちに向かうまでの少しの間にもぎっとてきたらしい。内容はまだ聞いてないものの絶対に面倒なことに決まっている。しかし、隊長が許可したのならば極力従わなければなるまい。それでも苦虫を潰したよう顔はごまかしようがなかった。


「そんな顔しなくても大したことじゃないさ。内容は試作機と同じさ、個人的に開発したがテストはしたし試運転もバッチリさ。後足りないものといえば……わかるね?」

「実戦でのデータですね」

「そう、ここがどこかの国だったら良かったんだがね、生憎とここは極秘部隊だ。しかもこれを扱うには近接、遠距離の両方を規定水準以上に使えないと本当のガラクタになる、そこでできそうな君に白羽の矢を立てた訳だ。」

「しかし今日の夜ですよ?しかも相手はミーミル、下手なものだと命取りにしかなりません。今回ばかりは見送って頂くことはできませんか?あまりにも相手が悪すぎます。」

「作戦開始時刻まではまだあるし、幸い場所は近めだ。午前中だけでいい、第四訓練場を取っておいたから使ってみてくれないか?採用の判断は昼を挟んだ後でいい。」

「わかりました、整備の連中に整備を頼んだあとにやりましょう。」

「助かるよ、これは自信作でね使いこなせさえすれば一人で遠近のどちらも満遍なくできるようになるものさ。早速第二の試作機の説明をしよう。」


そう言うと室長はパンッと手を鳴らすと奥から音もなく暗く、長い長方体が浮いて滑ってきた。色は先程と同じ黒だが、大きさが圧倒的に大きい。縦の長さは150cm程で横は50cm程だろうかかなり大きいのが六本。それは室長を中心にして守るように周回している。小さい子供ならば入ってしまいそうな大きさだ。


「これが試作機さ、名前はまぁ適当に呼びやすいように設定してくれ。操作端末は頭に付ける特殊デバイスだ、持ち主の思考を読み込んで思った通りに動いてくれる。」

「思考通りに動くのはすごいですが、戦闘では盾ぐらいにしか役に立ちそうにないんですが。」

「チッチッチッコイツの本領はこれからさ、この内の2本は武装コンテナ、もしくは弾薬庫ないし両方の役割を果たせる。他の4本はそれぞれ三十六本に分裂できてね、防御や敵の牽制、相手の索敵、射撃もできるし、即席の武器なんかもできる。つまり極めれば変則的な動きで敵を翻弄できるのさ。」

「ちょっと待って下さい、全く理解できないのですが。」

「今は分からなくていいさ、後で使うんだからとりあえずは機能説明をさせてくれ。」


目を輝かせた室長を止められるものはいないだろう。沈黙を肯定と取ったらしい室長はさらなるトンデモ機能を話した。


「4本はそれぞれパーツの集合体でね、使用者の思考で銃とかナイフとかブースターとか剣などなどになれるのさ。勿論棒のまま相手をぶん殴ったり、其々を組み合わせた技を使ってみたりしてもいい。まぁ全てを話すと日が暮れそうだ。ざっくりいうとこれには無限の可能性があるのさ。」


早く訓練場へ行きたまえ、とヒラヒラと手を振った室長は二人に背を向け部屋の中へと消えていった。


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