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第11話 活字中毒とプールイベント

 吉岡亮介。彼は数多くのアニメ化作品に関わって来た敏腕編集者である。主に、ライトノベルの刊行前から作品に携わっている。亮介は特にこだわっているのは流行りの作風とかよりも作者の持つ個性を持つ文章だ。編集者は作家1人1人の個性に寄り添う必要がありその為常に多忙だ。出版社とのやり取りやもし雑誌に連載するとなれば企画から連載に至るまで原稿の修正や校正・校閲を繰り返す。そんな彼の多忙な日々の中で彼が一番関わる事が多いのが異世界転生小説である。小説家になろうやカクヨムなどで連載されている作品のノベル化に仕事として携わってくると「またこのパターンか」と彼は心の中で苦笑する。異世界転生、スキル制、ギルド、聖女、チートーーもはや一種のフォーマットに近い。

亮介はバーベキューで出来上がった料理を食べながら色々な人と談笑している。彼が着ている青色の半袖のTシャツにはアニメのキャラクターの絵がプリントされているがそのキャラクターに反応して猛烈なハイテンションで話しかけてくる女子がいる。萌である。


「アリスちゃんのお兄さん、焼き方美味いですね。ウィンナーなんて焼き加減が絶妙ですね。玉ねぎも焦げていないし。ってか私思うんです。将来は”玉ねぎ焦がさない系男子“と恋したいんですよ。目玉焼きにかけるのは醤油じゃなきゃ駄目かーとか、卵は半熟じゃなきゃ食べられないとか抜かす男とは恋愛したくないんですよ。」


「君は片岡萌さんだっけ、そんな事はないよ。君は男子へのこだわりが強いんだね。確かに細かい料理の事まで指摘してくる男は合わないっていう奴も多いかも。編集者の仕事するのも大変だよ。君がこだわりを持つのと同じように挿絵や表紙を担当する事になるイラストレーターの絵が中々原作者の好みに合わないと決まらない事も沢山ある。目玉焼きに醤油かけるのが絶対って言うこだわりに近いものだからね。」


「でも分かるかもしれないです。漫画でも例えばコミカライズとかで2人の漫画家の絵があったとしたらどちらかに絶対にこだわってしまうのは間違いないと思うんですよね。イラストってはっきり好みが分かれるから。でも、私活字中毒なんです。私にも実はこだわりがあって改行されていない敷き詰められた活字が好きなんです。それって小説じゃなくても読書ばっかりしちゃって、だから読書馬鹿なんです。ルビなんて特に気にしちゃう。

こんなの絶対に使わないだろうって言うルビ探すのが好きで。」


するとさっきからその様子を横で見ていた片山が突っ込むように言うのである。


「活字中毒なの?お前ニコチン中毒みたいに言うなよ。え?自慢ですか?私港区女子なんですよー、私、豊洲の高級マンションで毎日東京湾の海見てんですよー、ですよ系女子かお前は。

お前な、分かってねえな。そう言うのは自慢って言うの。活字好きアピールはそこまでにしとけ。普通は私活字なんか苦手なんですよー、漫画派なんですよーくらいのそれくらいの吉祥寺に憧れる系女子に留まっとけ。」


「はぁ?なんなんお前。さっきからですよー、ですよー、気持ち悪い。私何が豊洲のマンション〇〇系女子よ。

豊洲だって私は好きよ。海がめちゃくちゃ綺麗だもん。

そんな見栄っ張りじゃねえし、吉祥寺憧れる系女子だ?ふざけんな、私は赤坂謳歌系女子でも港区女子でもなんでもねえんだよ。葛飾大好き女子だって言うの!つまんねえボケかますな。

好きなのは荒川の土手。大親友の彼女の連れー、一緒にパスタ作ったお前ーーーー、家庭的な女にーあー、一目惚れ、あー、ぎゅっと抱きしめられたー系の女子よ!!」


「誇張しすぎた金八先生みたいに言うな。湘南の風だろ。純恋歌だろ。葛飾だからって出すなって。東京ウォーカー片手に持ってけよ。あー、そんなに抱きしめられたいんだぁ。じゃあせめてカルボナーラを作れないよね。美味しいパスタ作ったお前って言われるように修行しないね。目玉焼きに醤油なんだから、ナポリタン選ぶなよ。家庭的な女になりてえのか。それからさっき言ったのは三又又三の歌ってた歌詞だろうが。お前活字はどこ言ったんだよ。活字から荒川の土手に浮気すんなよ。


そんな2人の軽快な漫才を見ながら、悠之介が冷静にツッコミを入れた。


「いやお前らさなんか、軽快な感じでボケとツッコミかましているならもう付き合っちゃえよ。」


「「誰がこんなのと付き合うか!!!」」


萌と片山の軽快なツッコミが同時に入りながらバーベキューは終わりへと近づいていくのであった。バーベキュー場の片付けは悠之介と亮介、萌、アリスと皆んなで手分けして行った。

そしてバーベキュー後の楽しみといえばプールである。

すっかり水着に着替えるとプールサイドを走り水の中に飛び込んでいくのは吉岡アリスである。彼女の水着はオレンジ色のビキニである。なんともそれがセクシーに写っているのである。


「いやっほーーーー!やばい水が気持ち良すぎる。このなんともいえない爽快感。全てを忘れられる至高の瞬間、しかも今日は私の自慢の水着姿をみんなに見せちゃうんだから。」


「あのアリスさん、水着って見せびらかすもんじゃないっすよ。

それにプールは飛び込み禁止だぜ。」


悠之介はアリスに冷静に突っ込みを入れた。そうだ。それもそのはず、プールは大勢の人々で賑わっている。そんな中で水でも他の人にかかったら大変だとは、いうもののなぜか楽しさが勝ってしまいそこまで意識をしなくなってしまうというのがプールの問題点なのであるが、そんな中で悠之介とアリスはプールに入っているのに萌と片山と亮介さんは何故だ。あいつらはプールサイドでプールに入らずに喋っているではないかと思いきや、お、何か持って来る。浮き輪か。


「おーい、片山、吉木、プール入れよ。気持ち良いぞ。」


「悠之介、俺らさ、流れるプール行くから後で合流しねえか?

後でウォータースライダーのところで合流な!!」


「はいはい」


そういうと片山と萌達はそのままウォータースライダーへと向かうのである。なんだよ。2人だけでリア充しちゃってなんか羨ましいなと内心で思いながら悠之介はゴーグルを被りながらプールの中に入った。水の中になんとも可愛らしい女の子達や子供達が泳いでいる。水色のホルターネックビキニやピンク色のバンドゥビキニを着た女性達が浮き輪を使用して足を水の中に浮かせている。


「はぁ?さては有島君は市民プールでこうやって女性の水着を見るのが趣味なの?」



「当たり前だろ。男子なんだから。

でも、それで言ったら、俺はマイクロビキニが一番好きだけどなぁ。そんな事より、結局、ウォータースライダーが一番良いよなぁ.

吉岡、お前はウォータースライダーとか行かないのか?」


「ウォータースライダーって結局、疲れるじゃん。わざわざ、階段を登るでしょう。並ぶでしょう。スライダーに乗った後は凄い楽しんだけどね。」


「お前、並ぶのが面倒くさい派なのか。まあ確かに分かる。

ウォータースライダーって人気だからなぁ。階段上がるのとかも面倒って思う。ああ、なんか水着イベント千歌あったら良いなって思うが。」



「私は清純派イラストレーターだからこういうところで見た風景を私のメモリーに落とし込んでそれを今後書くイラストに活かすの。プールでもこうやって何気なく見た風景とかが創作意欲に繋がるんだもん。」



「そうだよなぁ。ってあれ、お前どこ行った?」


突如としてアリスの姿が消えていた。次の瞬間アリスは水中から出てくると悠之介の目の前に現れて悠之介に水をかけるのである。冷たい水が悠之介の顔に掛かるとアリスはヘラヘラと笑う。

そうこれこそプールの定番イベントである水の掛け合いである。


「お前、やったなぁ。」


悠之介はアリスに水をかけると2人で仲良く水を掛け合い始めるのであった。


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