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僕のスキルは【善行強化】!(思い込みです)  作者: D・K
第一章 ウェルマー冒険者になる
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ライズヘブンの冒険者ギルド

 僕らは、特に大きな事件もなく、ライズヘブンの町に着いた。

 町に着いた僕たちは、まず村でお世話になっていた冒険者ギルドへ向かった。


「あら、トミノル村の子達ね?いらっしゃい。本日はどのようなご依頼ですか?」


 以前父さんがここで魔物狩りや村が豊作で収穫の人手が足りない時などに此処へ依頼を出す時について行っていたのを、受付のお姉さんは覚えていたようだ。


「今日は依頼ではなく、僕らも冒険者の仲間入りをしたいと思い冒険者登録に来ました」

「あら、この前村長さんが言っていた村の若いもんね。じゃあこちらの書類を読んで記入をお願いするわね」


 受付のお姉さんはそう言いながら二枚の羊皮紙とペンを僕らに渡した。僕は渡されたペンを持ち書類を見て気づいた。


「あ、僕字解らない」

「あら、それでは冒険者になるのは無理かしらね?村長さんからは書類を書けないなら村に返すように言われてますし」


 え?それは困る!どうしよう?


「あの、お姉さんウェルマーの分も俺が書いて良いですか?書類の内容は俺が読んで聞かせます」

「ええ良いわよ。冒険者は助け合い、出来ないことは出来る人に頼むのもありよ。でもウェルマー君は文字の勉強もした方が良いわよ?文字を読めると読めないでは今後に大きな影響があるからね」


 よかった!でもマフェイルいつの間に文字を習ったのかな?もしかして神父さまから魔法を習う時に一緒に習ったのかな?


「はい!字の勉強も冒険者も両方頑張ります!っでマフェイル、これってなんて書いてあるの?」

「ああ、まず『1.依頼を受けるときは緊急時以外はギルドを通すこと。緊急時でも事後報告は必ずすること。これを破り受けた依頼による問題に関してはギルドは一切関与しません』」

「どういうこと?」

「これは例えば君たちが勝手に受けて失敗てもギルドはフォローしませんってことね。逆にギルドを通して失敗したならギルドが報酬を支払う形で新たに解決できる冒険者を出します。但し、ギルドがない村などで護衛が倒れたので町までの護衛を頼むようなギルドを通せない緊急な依頼は達成後報告して頂ければその時にあった問題の仲裁をします。」

「えっと、つまりギルドで助けを求めている人を助けましょう。そうすれば万が一失敗してもギルドが助けてくれる?ギルドが近くに無くて困っている人は助けた後ギルドで助けたことを報告すれば助けきれなかった人をギルドで何とかしてくれる?」

「えぇ、その認識でいいと思うわよ」

「ウェルマーも納得したみたいだから次行くよ『2.冒険者は出来る限り協力し、困難に立ち向かうこと。我々は仲間の繋がりを大切にしています』」

「冒険者同士仲良くってことだね!」

「そうですね。ただ、これを利用して楽して儲けようとする人もいるから気を付けてね。もしそういうことがあったらギルドに報告してね。お姉さんたちがきちんと話を付けるから」

「わかりました。じゃあ次は『3.緊急時ギルドで冒険者を召集することがあります。特別な用事がない場合は必ず参加すること。この緊急時には国同士の戦争は含まれません」

「えっと、戦争以外の大変なことがあったら協力しましょうってこと?」

「そうですね。ギルドは魔物退治や人助けの組織で傭兵の斡旋はしません。戦争などの参加は全て自分の責任になります」

「僕がやりたいのは人助けで兵士になりたいわけじゃないから問題ないね」

「じゃあ、次が『4.冒険中又は依頼の実行中死亡してもギルドは一切の責任を取りません。』」

「うん問題ない」


 死ぬのは嫌だけど冒険者になると決めたのは僕だから死の責任は僕にあるんだね。


「じゃあ、最後に『以上の事を了承し、署名した時からあなたは冒険者です』」

「うん全部わかったからマフェイル僕の名前を書いて!」

「了解、俺も問題ないから、俺のは『マフェイル』っとこっちには『ウェルマー』っと」


 マフェイルが紙の一番下にたぶん僕らの名前を書きお姉さんに渡す。


「お願いします」

「ええ確かに了承したわ。はい、これがあなた達の冒険者証明カード」


 受付のお姉さんはそう言いながら僕達に二枚のカードを渡す。そしてお姉さんは一冊の本を取り出す。


「ところでウェルマー君。ここに文字を学ぶための教本があるのこれ欲しい?」

「欲しいです!」

「まぁ俺が教えるにしても手本があると楽だし欲しいけど価格は?俺たち宿や装備の事を考えると大きい出費は厳しいよ?」

「マフェイル君は良く考えているわね~。大丈夫!この教本はこの『薬草収集の依頼』の報酬よ!それに通常よりも少ないけどギルドが斡旋している宿2泊分の報酬もあるから安心して!」


 そう言ってお姉さんは紙を渡してきた。紙にはいつも村で集めている薬草の絵と文字が書いてあった。


「ええと、『初心者専用依頼 薬草20束集めてね 報酬 文字教本 銅貨20枚 注)この依頼書は受付が読んで下さい』?ってこれお姉さんが読むんじゃ?」

「まあね。この依頼は文字が読めない子限定の依頼だから本来は私が読むんだけどマフェイルがどの程度読めるか試したのよ。け、決して私が楽したいって訳じゃないからね!」

「は、はい。ところで薬草ってここら辺で採れるの?村の狩人が近くの森に入って取ってたけどこの町近くに採集用の森でもあるの?」

「トミノル村から来たんじゃ解らなかったのね、あなた達が入った入り口とは反対の入り口近くに薬草の群生地があるの。魔物は爪兎や鉄尾リスみたいに大人しいのがいるわね。たまにちょっと凶暴な角狐がいるけどどれも油断しなければ狩人さんでも狩れる弱い魔物ね」

「じゃあ、この依頼受けます!マフェイルいいよね?」

「ああ、これならお前が村でやっていたこととほとんど変わらないしいいんじゃないか?」


 マフェイルも同意してくれたので僕はマフェイルに依頼書の名前を記入してもらおうとしたが良いことを思いついた。


「あ、そうだ!お姉さんさっき提出した僕の分の書類貸して!」

「?良いわよ」


 お姉さんが先ほどマフェイルが書いてくれた書類を渡してくれる。

 僕はその書類のマフェイルが書いた記号を依頼書の線の引いてあるところに書き写した。


「はい!お姉さんこれでいいんだよね?」

「ええ、でもこれじゃあ『ウェルマー』じゃなくて『ウエルマー』になっているわね」

「あれ?でもこっちは『ウェルマー』でしょ?」

「うん文字は大きさでも読み方が変わるものがあるの。まぁ積極的に文字を書こうとするのは良い事よ。この依頼を完了させた後この教本で勉強しなさい。しっかり文字が読めるお友達もいるのだから」


 マフェイルが書いたのと僕の書いた字を見比べると確かに僕の書いた文字は大きさは全部一緒でマフェイルが書いた文字は一部小さくなっているところがあるたぶんこれが『ェ』なのかな?


「難しいなぁ。でも頑張ります!」

「教えるのは俺だけどな」

「マフェイルお願いします」

「OK、OKこのマフェイル先生に任せなさい。でもその前に依頼をこなさないとだからな」

「うん。じゃあお姉さん行ってきます!」


 僕は受付のお姉さんに手を振ってギルドを出ようとする。


「ちょっと待ちな餓鬼共」


 声をかけられた方を見ると、皮鎧を着た無精ひげを生やしたおじさんがニタニタと僕らの方を見ていた。


「おじさん何か用?」

「おう、おめえ等冒険者になって初めての依頼だろ?この町の周辺の事ならよく知っているおじさんが町の案内、薬草の綺麗な取り方それにここら辺の魔物のさばき方を教えてやる!」


 おじさんは偉そうに胸を張りながらそう言ったどうしようとマフェイルを見ると、


「お姉さんあのおじさんって悪質な奴?」

「ああ彼はラインって言って弱い子には面倒見がいいただの見た目が悪い人よ。陰口を言うことも多いけどあまり気にしないでいいわ。ラインは初心者依頼手伝いのプロだから手伝ってもらうのもいいわよ」

「おう、餓鬼共依頼料の事なら心配するなおじさんも別に薬草採集と角狐退治を受けているんだ。なんならおめえ等が角狐退治の手伝いしてくれるなら報酬を分けてやってもいいんだぜ」


 マフェイルが受付のお姉さんにおじさんのやっていることが良いのか聞いているとおじさんは聞かれてもいない事をしゃべる。


「ウェルマーどうする?」

「うーん。僕は手伝ってもらいたいかな?村で薬草狩りの手伝いをしたことがあるけど慣れている人がいるなら効率もよさそうだし」

「ウェルマーが賛成なら俺も問題ないな。それに武器や防具屋の場所も教えてもらえそうだし」

「うんじゃあおじさんお願いします」

「おう!任せときな。これからはおじさんの事はラインさんって呼びな!」

『よろしくお願いしますラインさん』


 僕とマフェイルはそう言いながらお辞儀した。


「じゃあまずは、宿の場所からだ!冒険者たるもの休む場所の確保は大事だからな!」


 ライルさんはそう言いながらのっしのっしと歩きギルドから出るので僕らも慌てて着いて行った。

誤字脱字、文法間違いの報告と感想をお待ちしております。

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