ウェルマーの旅立ち
儀式の後僕は父さんと母さんに自分のスキルが【善行強化】であり、このスキルを生かすために、冒険者になりたいことを伝えた。
二人とも驚きはしたけど、今すぐではなく力をつけてから旅に出ることを知ると、
「家はニールが継ぐから頑張りなさい。ただし、これからは畑仕事だけでなく、狩りや薬草取りと言った村の外へ行く仕事も手伝いなさい。冒険者になるなら必要になるからね」
その後その話を聞いたニール兄さんは、
「まぁ頑張れよ、俺は村でのんびり親父たちと畑耕してるから」
と、応援してくれた。
それから数カ月僕は父さんに言われた通り狩りや薬草取りなどを手伝い森での動き方や薬になる草の見分け方などを学び、畑仕事で体力をつけた。
特に色々なお手伝いをしているときに「ありがとう」と言われると、疲れが無くなり、先ほどまでの仕事の効率が上がった。
これが神父様が言っていた善行強化なんだろう。
今では村の外れにあるショーンのお父さんでも動かせなかった岩を片手で運べるほどのだ。
十分に力と知識を付けた僕はもうすぐ村を出て冒険者になることを村の皆告げると、みんなは惜しみながらも応援すると言ってくれた。ただ驚いたことにマフェイルは自分も着いて行くと言い出した。
僕は「僕は冒険者になるために村の手伝いをしながら学んでいたけどマフェイルは大丈夫なの?」
マフェイルに聞くと、彼も儀式の一週間後、神父様の元で彼のスキルと魔法の勉強をしていたらしい。
そして彼のスキルもきっと冒険者に向いてるはずだと僕と一緒に旅に出るつもりでいたそうだ。
そして、数日後僕とマフェイルは村を出発する日、村の入り口にはハキとショーンがいた。
「ウェルマー!お前はこのショーン様の子分なんだ!冒険者になるなら、この村にまで名前が届く位すげー冒険者になれよ!」
「ショーン、お人よしのウェルマーとちょっと抜けてるけど村一番の勉強家のマフェイルのコンビにそこまで期待するのは酷じゃない? まぁそれを補うためにこのハキ君がウェルマーとマフェイルに選別だ!」
そう言ってハキは木の棒と鉄でできた板を取り出した。
「これの剣は村に隠されていたすっごい剣だこれでショーンでも魔獣やドラゴンだって撃退できるぞ!そしてこの鉄の盾はマフェイル用にエリーが用意した愛の盾だ!エリーは泣き顔をマフェイルに見せたくないから来てないけどな!」
そう言いながら棒を僕に板をマフェイルに渡す。
渡されるまではただの棒だと思っていたけど握ってみるとなんだか棒いや、剣が神々しく見えてきた。
これを振ればどんな魔物にも勝てそうだ!板、いや盾を背負ったマフェイルを見るとなんだかその盾のオーラでマフェイルが守られているように見える。
「いや、これどう見てもただの棒と板……しかもこの板用意したのエリーじゃなくてハキが家から持って来たもの……あれ?なんかすごいことになってる!?」
「ショーン、ハキこんなすごい装備ありがとう!ほらマフェイルもお礼言わないと!」
何やらぶつぶつ呟いているマフェイルにお礼を言うように促す。
「う、うんありがとう二人ともとてもすごいことになっちゃったよこれ」
二人にお礼を言っているとショーンとハキはさっさと村に戻ろうとしていた。
「じゃあ僕たち行くね!エリーにマフェイルが「ありがとう」って言ってたと伝えてね~」
「いや、だからこの板家にあった奴でしかも持って来たのハキだから、エリーは関与してないよ!?」
僕は二人に手を振りながらぶつぶつと呟いているマフェイルと共に村を出た。
誤字脱字文法の指摘、感想待っております。