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序章(3/12)ジャンヌとの出会い(1/3)

まだ続く。でも頑張ります。

「何か仕事ありませんか? とりあえず力仕事は抜きで」

 とりあえずギルド連合の加盟店で仕事を探す。でも内容は傭兵だったり力仕事だったりで大変そう。というか無理。絶対無理。そもそも僕バイトしたこと無いし、するのも怖い。でも生きるためにはやるしかない。だから僕でも出来そうな仕事を聞いてみる。

「ねぇよ。てめえみてえな異世界人に仕事なんかねえ」

 冷たい奴だ。というか何でイライラしているの? 悲しくなるから止めて欲しい。

「そうすると僕死んじゃうから紹介して。いや別に死んでもいいけど、せめてお風呂に入ってから死にたい。あ、ごめん嘘。僕お金持ってるからお風呂入れるや。銭湯ってどこにあるの? あとクリーニング屋も。それと縄と首を吊るのにいい場所知らない?」

「うるせえ! どうせお前もすげえんだろ! だったら自分で見つければいいじゃないか!」

「何で僕が凄いって分かるの?」

「お前は異世界人だろ! だったら沖田みたいに黒き者どもを百匹始末しろ! ハンニバルみたいに兵隊一人も負傷させずに帰還しろ! ジャンヌみたいに誰の怪我も治せ! そうすりゃ俺が紹介しなくても貴族たちが雇う!」

「無理だよ。僕は一般人だ。何もできない」

「何もできない奴に仕事なんかねえ!」

「ヤバい、痛い正論を突かれた。でもそれだと困らないけど困るんだ。何か仕事ない?」

「うるせえな! お前なんかに仕事なんか回すか!」

「何で? 死んじゃうよ?」

「うるせえ奴だ! とっとと! ……待てよ?」

 店長(多分そう)は突然顔を曇らせると一枚の紙を引き出しから取り出す。

「そう言えば、日当で銀貨一枚の仕事があった。やるか?」

「どんな仕事? 言っとくけど、サービス残業とか休日なしのブラックならごめんだよ」

「ブラック? 何だ?」

「劣悪な仕事。最近ニュースやネットで乗ってた」

「何言ってんだお前? やっぱ狂ってるな? 異世界人は皆そうだ!」

「いや僕は当然の心配をしているだけだよ?」

「心配? 何を?」

「だから嫌な仕事じゃないか心配してるの」

「バカ野郎! 銀貨一枚だぞ! 一日でそれなら涎を垂らすだろ!」

 さっき沖田さんは銀貨を手渡して十日持つと言った。百枚ほど貰ったから、一日十枚、死ぬ前は親が家賃とか払ってたから良く分からないけど、僕は食費で一日千円貰っていた。仮に一人暮らしなら食費は一日千円、仮に家族も含める確か日本の平均的な食費は約2500円。家賃は思いっきり安くすれば月五万円、それを30で割ると約1700円。光熱費は多く見積もって二万円、それを30で割ると約700円。学費は……多分必要ないから0円。となると一日にかかるお金は合計4900円。それを十分の一すると490円。

「やっす! くそ安! つか一日8時間働くとすると60くらいだ! どんだけ社畜? それともここはジンバブエなの? それとも第一次世界大戦後のドイツなの? あ、違った。その二国はハイパーインフレーションだったから逆にお金の価値が無かった。だったら物価が安いだけか。すげ! 一日600円で一家暮らせるとか!」

「何だお前? やっぱり異世界人だな! さっさと出て行け!」

「何で怒ってんの?」

「お前俺たちをバカにしただろ! 分かるんだよ! お前たちは皆そうだ! さっさと出てけ!」

「怒ってんの? じゃあ殺してよ」

「お前本当に気持ち悪い奴だな……」

 店主はドン引きするが、それでもため息を吐いて契約書を見せてくる。

「言っておくが、それは最高額だ! 異世界人のお前だから紹介しているんだぞ!」

「こんなので最高額だなんて、ここって本当にロクな仕事ないね」

「バカ野郎! やっぱり異世界人だ! 俺たちをバカにしてやがる! 銀貨一枚! 爺さん婆さんに目に入れても痛くねえ子供二人に抓み出したくなる母さんの計6人家族がひと月遊んで暮らせる額だぞ!」

「ひと月!」

 ちょっと待て! じゃあ食費は一日6000円、家賃は六倍とは言えないけど、ある程度広い必要があるから控えめに見て三倍、つまり一日5100円、そして光熱費は節約してもやっぱり少なく見積もって二倍、つまり一日1400円、。これらを足すと12500円。しかも遊んで暮らせるとなると程度にもよるけど、美味い食事をとったりエアコンガンガンに使ったり豪邸に住む! ならば控えめに見て二倍の25000円。それをかける三十すると、七十五万円! さらにそれを十倍すると750万円!

「沖田さんどんな生活して生きてんの! というかどんな使い方すれば銀貨10枚を一日で使えるの!」

「お前バカにしてるな!」

「ち、違うよ! ただ、沖田さんの金銭感覚が分からなくて!」

「やはり異世界人だ! てめえらと俺たちを一緒にするな!」

「ご、ごめんなさい!」

「何異世界人のてめえが謝ってんだ!」

「だって! あなたが怒ってるから……」

 店主はナツメを睨みながらため息を吐く。

「依頼はジャンヌって異世界人の手伝いだ。ただ、雇う期間は明後日まで。つまり今日行けば、銀貨三枚」

「明後日まで? 何で?」

「明後日は感謝祭、それで忙しいんだろ」

「ふーん。何で忙しいのか分からないけど、その依頼、結構前から来てたんじゃないの?」

「当たり前だ! ただ二月経っても誰も応募しねえ。こっちは銀貨一枚も出してるのに!」

「異世界人の世話だから?」

「当たり前だ! 俺だってここの店主じゃなかったらあんな奴の依頼はねつける!」

「つまり、一日銀貨十枚は貰えるんでしょ。僕が仕事を受ければ」

 店主は目を見開く。

「何で分かった?」

「何で? やっぱり十枚は貰えるんだ」

「バカ野郎! てめえうるせえからこっち来い!」

 店主は僕の首根っこを引っ掴んで奥に連れて行く。

「どうして分かった?」

「何を?」

 首を摩ると店主が詰め寄る。

「何で俺が銀貨十枚受け取ると分かった!」

「やっぱりふっかけてたんだ。簡単に言うと、なぜか僕に仕事を進めた理由を考えたら浮き出た妄想だよ」

「妄想? だろうな。お前ら異世界人は訳の分からない妄想が大好きだからな」

 また深いため息。

「まぁいい。やるのか? やらねえのか? やるんだったら二倍の銀貨二枚だ!」

 少し考える。でも答えはすぐ出た。

「やるよ。今日にでも、ジャンヌさんに合わせて」

 店主は大喜び!

「お前の取り分は銀貨一枚だ! 文句ねえだろ!」

 さっきと話が違うけど良いよ。それよりも僕はジャンヌダルクに会いたい。知りたい。

 あなたは僕と何が違うのか?

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