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エーテル国軍で雑用の日々(9/10)

ついに黒き者どもとの対決!

(アウグストゥス)「さて、皆がそろったところで顔合わせを始めたいが、私が司会を務めるべきか?」

 城下の酒場を借り切って、アウグストゥスさんたち4人の英雄とトルバノーネさんたち10人のエーテル国軍幹部が顔を合わせる。

(沖田)「お前よりも、ナツメが良い。ナツメは俺たちの事を知っているし、トルバノーネたちの事も良く知っている」

(ジャンヌ)「私も賛成です。それにアウグストゥスやハンニバルだと色々もめそうですから」

(ハンニバル)「俺は事実しか言わないだけだ」

(アウグストゥス)「はいはい分かった分かった。トルバノーネ。私たちはナツメに君たちを紹介してもらい、私たちを紹介してもらいたいと思うが、どうかな?」

(トルバノーネ最高司令官)「それでいい。と言う前に、礼儀は通さなくちゃならねえ」

 トルバノーネさんがすっとお辞儀をする。

(トルバノーネ最高司令官)「トルバノーネだ。恥ずかしながらエーテル国軍の最高司令官を名の成せてもらっている。あなたたちの噂を聞いている。これから、協力し合おう」

(沖田)「堅っ苦しいぜ。そんな慣れねえ敬語なんて使わねえでくれよ。俺が敬語を使わないといけなくなるだろ?」

(ジャンヌ)「あなたって人は」

(トルバノーネ最高司令官)「おうそうかそうか! いやいや! 窮屈で息が詰まりそうだった!」

 ドカリとトルバノーネさんが座ると続けてキールさんたちも砕けた様子で座る。というか行儀が悪い。特にキールさんとバーリさんが悪い。テーブルの上に足を乗せるな。

(エーテル国軍歩兵部隊隊長キール)「いやいや、それにしてもこうして直に話すとは思わなかったぜ」

(エーテル国軍白兵戦部隊隊長バーリ)「おい店主! 酒持ってこい酒! 樽ごとな」

(ナツメ)「えっ? これ硬い話じゃなかったの? というか僕は司会役なんじゃ?」

(トルバノーネ最高司令官)「こまけえこたいいんだよ! 乾杯!」

 トルバノーネさんたちが盃を上げる。なぜかアウグストゥスさんや沖田さんどころかハンニバルさんさえも上げている。

(ジャンヌ)「全くこの人たちは! 真面目な話があるからと聞いてきたのに!」

(ナツメ)「ジャンヌさん。お言葉はごもっともですけどそのワイン三杯目ですよね?」

(ジャンヌ)「何か? あの、いけないことでしょうか?」

(ナツメ)「ごめんなさい。僕が間違っていました」

 僕は真面目な話をするつもりだったけどどうでもいいらしい。と言うかあなたたちに身の危険が迫っているって言ったよね! なのに何でお酒飲んでるの! 何で酔っぱらってるの!

 もう知らない。勝手にしろ。次は何も気にせず、何も言わないで逃げてやる。

(ジャンヌ)「ふて腐れてはいけませんよ? 私もグッと気合を入れますから頑張りましょう!」

 グッとワインを飲み干して次の一杯を酒樽に注ぎに行くジャンヌさん。

(ナツメ)「何だか酔っぱらって来ちゃった」

 樽は何個空いたのだろうか? この場に居るだけでも酔ってしまう。

(ナツメ)「大丈夫なのかな」

 クスッと笑みが零れた。


(トルバノーネ最高司令官)「気分も良くなったし、本題に入るか」

 数十杯目の酒を飲み干すとトルバノーネさんは目頭を強くしてコップを置く。

(トルバノーネ最高司令官)「おいベール! 酒とつまみを持ってこい! もうねえぞ!」

 終わりじゃないの?

(エーテル国軍炊事係隊長ベール)「分かってます」

 どちゃりとお酒とおつまみがテーブルに置かれるとトルバノーネさんはお酒をアウグストゥスさんたちに注ぐ。

(トルバノーネ最高司令官)「いよいよ自己紹介だ。まずはこっちからする。次にお前らだ。それでダチだ」

 僕のこと忘れちゃったんですね? まあいいけど。

(トルバノーネ最高司令官)「まずは、キール! お前からしろ!」

(エーテル国軍歩兵部隊隊長キール)「怒鳴るんじゃねえよ! この一杯くらい飲ませろ」

 何杯目の一杯? 顔真っ赤だけど大丈夫? でもキールさんは頬を叩いてアウグストゥスさんたちを見つめる。

(エーテル国軍歩兵部隊隊長キール)「エーテル国軍歩兵部隊隊長のキール・アルバトーレってものだ。歩兵って言えば、ハンニバルとアウグストゥスは分かってくれるだろうが、簡単に言えば、前線に立って、槍と盾を構えて敵を押し出す役目をしている。防御も攻撃もすべて俺にかかってると言っても過言じゃない。得意武器は槍と盾。たとえライフル弾でも盾で逸らせるし、たとえ最強の甲冑を着込んでも隙間から槍を滑り込ませることができる!」隊の隊長をやっております。ですが、それでこのエーテル国軍が成り立っていると自負しております」

 それに続いて次々と自己紹介が始まる。

(エーテル国軍切り込み隊隊長ザック)「エーテル国軍切り込み隊隊長をやらせてもらってる、ザック・バルキスってもんだ。仕事は盾と槍を持った奴らに突撃してぶった切ることだ! それ以外も色々やるが、結局せっかちな性分でな! 敵が居たら一番に飛び出す! それが俺たちの信条よ! 武器は大斧か大剣か大槍か! とにかく敵を沢山殺せればそれでいい!」

(エーテル国軍狙撃部隊隊長ウォル)「エーテル国軍狙撃部隊隊長のウォル・バーミリオンってもんだ。狙撃部隊なんて訳の分からねえ肩書だと思うが、要するに弓兵だ。ただ単にキールやザックの後ろから弓を射って敵を殺すだけの簡単なお仕事って奴だ! まあ弓兵なんて地味な仕事だが、場所が高台なら2000メートル離れた鳩の目玉も打ち抜ける!」

(エーテル国軍白兵戦部隊隊長バーリ)「エーテル国軍白兵戦部隊隊長のバーリ・ハミルトンってもんだ。白兵戦部隊なんて意味が分からないと思うが、要は乱戦時に敵をぶっ殺す部隊だ。ほら、隊列が乱れる時があるだろ。攻撃しても攻撃されてもどちらでも崩れる時はあるだろ? そん時に敵をぶっ殺すのが仕事だ! まあ荒仕事を片付けるバカ野郎部隊って思ってくれ」

(エーテル国軍汎用部隊隊長コスト)「エーテル国軍汎用部隊隊長のコスト・コーランドだ。汎用部隊って言うからその名のとおり、部隊の便利屋だ。歩兵が足りなければ歩兵、切り込み隊が足りなければ切り込み、輸送部隊や炊事係が足りなければその手伝い。悪く言うと器用貧乏部隊ですが、どんなこともこなせる万能部隊と思ってください。

(エーテル国軍防御部隊隊長アール)「エーテル国軍防御部隊隊長のアール・ヒストリーだ。防御部隊なんて聞かない名でしょうが、ウォル率いる狙撃部隊や輸送部隊率いるマール、そして炊事係のベールといった後方を守る部隊です。まあ、本業は銃弾や弓矢を防ぐ防壁を構えたまま走る雑用部隊ですが、防壁の圧力で敵を蹴散らす攻防一体の部隊と覚えてくれると幸いです」

(エーテル国軍輸送部隊長マール)「エーテル国軍輸送部隊長のマール・フランコスキーってもんだ。その名のとおり武器や食料といった部隊を維持するために必要な雑貨を運ぶ部隊の隊長だ。地味だけど、兵士たちには喜ばれる仕事だと誇りに思っている」

(エーテル国軍炊事係隊長ベール)「エーテル国軍炊事係隊長のベール・マッカートニーと申します。役割は部隊の飯を作ること。それに従って食料を得ることです。狩りも略奪も大いに行う、意外と血なまぐさい部隊ですが、その分役に立ちますよ」

(エーテル国軍諜報部隊隊長ニッキー)「エーテル国軍諜報部隊隊長のニッキー・マウスだ。偵察に斥候はもちろん、時には暗殺業も受け持つ影の部隊の隊長だ。内緒にした覚えはないけどな! とにかく、情報収集なら任せてくれ」

(トルバノーネ最高司令官)「最後に俺だ。エーテル国軍最高司令官兼エーテル国軍防衛隊隊長をやらせてもらっているトルバノーネ・ハヌンベルってもんだ。防衛部隊ってのは、主に王様や貴族といった要人警護を主にする、まあ、近衛兵みたいなものだ。ただ戦場でも役に立つとだけは言っておく」

(ハンニバル)「立派な兵士たちだ! すぐにカルタゴに持っていきたいくらいだ!」

 トルバノーネさんたちが自己紹介を終えるとハンニバルさんが膝を叩く!

(ハンニバル)「ハンニバル・バルカだ。生前はカルタゴという国の軍師をやらせてもらっていた。能力は主に自動人形を操ることだ。まあ、その自動人形も万を切っているし、今まで無様な姿を見せてきたが、今度こそ役に立つと誓う。得意な武器は無いが、軍を勝利に導く術が得意とだけ言わせてもらう。今度こそ、勝たせるとな!」

(アウグストゥス)「アウグストゥス・カエサルだ。生前はローマ帝国と呼ばれる国の初代皇帝をやらせてもらった。実は軍事も戦闘も苦手だが、政治に関しては世界一だと思っている。能力は戦闘に関しては役に立たないが、政治的な助力はできるはずだ。よろしく頼む」

(沖田)「沖田総司だ。生前は日本の新選組って部隊の1番隊隊長をやらせてもらっていた。あと生前は男だった! 今は女になっちまったし、能力も敵をぶった切るしか能の無いバカ野郎だが、誰よりも強い自信はある! これからよろしくな」

(ジャンヌ)「ジャンヌ・ダルクと申します。生前はフランスの軍師をやらせていただきました。ただ単に後方で軍旗を持って応援するだけでしたが、戦術や戦略も一通りは噛みました。能力に関してはすべての存在を修復する能力を得ています。少しでもお役に立てれば幸いです」

 じっと皆が僕を見る。

(ナツメ)「え? 僕?」

(トルバノーネ最高司令官)「当たり前だろ?」

(アウグストゥス)「礼儀は示せ」

 人を無視する癖にこういう時は勝手な人だ。

(ナツメ)「はいはい、分かりました。大神ナツメと申します。生前は、学生をやっていました。学生ってなんだって思うでしょうが、簡単に言えば学校に通っていただけです。ちょっとした手違いで何の能力も持たずにここに来ましたが、幸運にも奇跡のアイテムが手に入ったので、少しはお役に立てると思います。これからもよろしくお願いいたします」

(アウグストゥス)「これで全員済んだな。あともう2人、ゲストを紹介する。おいコペルニクス! さっさと来い!」

 アウグストゥスさんが通信機に怒鳴ると風を纏ってコペルニクスさんが颯爽と登場した。

(コペルニクス)「何の用だ?」

(アウグストゥス)「エーテル国軍が仲間になった。せっかくだから自己紹介しろ」

(コペルニクス)「どうしてそんな大切な時に私を初めから紹介しなかった?」

(アウグストゥス)「てめえが忙しいって言って聞かなかっただろ!」

(コペルニクス)「しっかりと用件を伝えてくれれば参加したのに」

 コペルニクスさんはトルバノーネさんたちに頭を下げる。

(コペルニクス)「ニコラウス・コペルニクスと申します。生前は経済学と天文学の学者でした。経済学や天文学とは聞きなれない言葉でしょうが、要はお国がお金持ちになるにはどうすればいいのか考える学問で、天文学は夜空に浮かぶ星空からこの地球がどのような形なのか調べるためにあります。能力は、端的に言えば走るのが凄く早い事と、どんなものも収納できる鞄です。不手際で途中からの参加となりましたこと、誠に申し訳ない」

(トルバノーネ最高司令官)「良いってことさ。また挨拶し合えばいい」

(コペルニクス)「感謝します。ほら! ダヴィンチ! さっさと出て来い!」

 鞄を逆さにして振るとダヴィンチさんがベシャリと顔面から床に落ちる。

(ダヴィンチ)「痛いな! 今経験値2倍のキャンペーン中なんだから邪魔しないでよ!」

(コペルニクス)「てめえは何をほざいていやがる! そんなことよりもこれから戦う戦友に自己紹介しろ!」

(ダヴィンチ)「自己紹介?」

 キョロキョロと周りを見渡すとプッと噴き出す。

(ダヴィンチ)「レオナルド・ダ・ヴィンチって言う。特技は武器を作るところってことかな? これからよろしく。じゃあ、僕帰るから」

(ハンニバル)「待て。なぜ笑った?」

 コペルニクスさんの鞄に戻ろうとするところでハンニバルさんがダヴィンチさんを止める。

 ダヴィンチさんは肩を竦める。

(ダヴィンチ)「結構な戦力だけど、黒き者どもはもっと大きな戦力を持っている。焼け石に水じゃないかなって」

 ごそごそと鞄の中に戻る。

(ハンニバル)「確かにその通りだ。だからまずはてめえの力が必要だ」

 ハンニバルさんはがっしりとダヴィンチさんの肩を掴んで鞄から引きづり出す。

(ダヴィンチ)「何だよ一体! 今キャンペーン中だよ!」

(ハンニバル)「用が済めば帰って良い。だから俺の言うことを聞け」

 ぼそぼそとハンニバルさんが言うと、ダヴィンチさんは肩を竦める。

(ダヴィンチ)「馬鹿みたいだけど、良いよ」

 ダヴィンチさんが鞄から離れるとハンニバルさんは言う。

(ハンニバル)「自己紹介も済んだ。だから一緒にフラン砦に全軍を終結させてくれ。黒き者どもをぶち殺す」

(トルバノーネ最高司令官)「できるのか?」

 トルバノーネさんが顔をしかめるとハンニバルさんはため息を吐く。

(ハンニバル)「できる。ただ、この作戦はお前たちがブチ切れるかもしれない。それでも良いか?」

(トルバノーネ最高司令官)「良いさ! 歴史上最高の軍師の知略を見せてもらうぜ!」

 トルバノーネさんたちは意気揚々と駐屯地に戻った。


(トルバノーネ最高司令官)「ハンニバル? てめえはふざけているのか?」

 そしてトルバノーネさんたちはブチ切れた。

(トルバノーネ最高司令官)「こんな見え見えの檻の中に黒き首なし騎士たちが入ると思うか? 猿だってもうちっと知能はあるぜ?」

(ハンニバル)「うるせえな! ナツメの話を聞くとこれが一番いいんだ! ナツメの話だとあいつらは追い立てたナツメが室内に入ると中に入らなかった。つまり奴らはどんな障害物でも避けられるが、障害物をすり抜ける訳じゃないし、排除の仕方も分かっていない! 扉を開けるという簡単な動作もできない! だからこれで良いんだ!」

(トルバノーネ最高司令官)「ざけてんじゃねえよてめえ! それにあの谷はなんだ? 落とし穴のつもりか?」

(ハンニバル)「そうだよ! 文句あるか!」

(トルバノーネ最高司令官)「あんな見え見えの深い谷に誰が引っかかる! それにあの谷幅が平原までしかねえ! 森に入れば悠々と避けられるぞ!」

(ハンニバル)「良いんだよ見え見えで! あいつらはそれすらも分からねえバカだ!」

(トルバノーネ最高司令官)「てめえ! こんな作戦が成功したらあの時死んだハヌーンたちにどんな顔をしたらいいんだ!」

(ナツメ)「あの、とりあえず黒き者どもが現れたんで」

(トルバノーネ最高司令官)「ハンニバル! てめえは絶対に殺す!」

 トルバノーネさんは皆に指示をする。

(トルバノーネ最高司令官)「てめえら! バカが考えた作戦だがとりあえず配置に付け! 良いか! 万が一でも檻の中に黒き首なし騎士が入ったら殺せ! ただし絶対に成功しない! 成功して堪るか! 奴らは絶対に迂回して俺たちを狙う! 心の準備はしておけ!」

 エーテル国軍は頷き、とりあえず配置につく。だけど皆周囲を警戒する体勢取っている。当然だ。こんな見え見えの罠に引っかかるなんて考えたくも無い。

(ナツメ)「来ました!」

(トルバノーネ最高司令官)「来たか! よし! お前は砦の中に隠れてろ! 俺たちがあいつらを迎え撃つ!」

 黒き者どもが平原を覆いつくし、こちらへ向かってくる。

(トルバノーネ最高司令官)「来たぞ! 良いかお前ら! あいつらは絶対にあの谷を避けて森に入る! だから覚悟を決めろ!」

 黒き者どもが突撃してくる!

(トルバノーネ最高司令官)「いいか! あの軍勢はぱっかり割れて森の中に入る! 絶対に谷に突っ込まない!」

 黒き者どもが直進してくる!

(トルバノーネ最高司令官)「良いか! あれは罠だ! 寸でのところで奴らは森に入る!

 そして黒き者どもが谷に突撃した!

(トルバノーネ最高司令官)「なん……だと」

 黒き者どもは谷に落ちて行った。

 皆唖然としている。

 沖田さんもジャンヌさんもアウグストゥスさんもトルバノーネさんたちも信じられないといった様子で谷に落ちていく黒き者どもを見つめる。

 ハンニバルさんに至っては頭を抱えている。

(トルバノーネ最高司令官)「ま、まだだ! 黒き首なし騎士がこっちに来るぞ!」

 確かに黒き首なし騎士たちは谷を飛び越えてこちらに来ていた!

(ハンニバル)「悪夢だ……」

 そして檻の中に自分から入った。

(沖田)「自分から入って行くのか……」

(ジャンヌ)「しかも、出られないのですか? 入り口は開けっ放しなのに?」

 正確に言うと黒き首なし騎士たちは檻の外に出ている。ただしまた入ってくる。

 簡単に行動を表すと、檻の中に突撃、目前に鉄格子が迫るとそれを駆け上がって天井を走る。そして外に出る。そしてまた突撃する。

(ナツメ)「何か魚を取る漁法に見えてきた」

(沖田)「縦網だろ。魚は網に沿って泳ぐ習性があるのを逆手に取った漁法だ」

(ハンニバル)「つまり、これらの罠は! あいつらが俺たちに直進する習性を逆手に取った画期的な戦術なんだ!」

 な、なんだってー! とは誰も言わなかった。皆頭を抱えていた。

(トルバノーネ最高司令官)「何だっていい! あいつらを殺すチャンスだ!」

(エーテル国軍切り込み隊隊長ザック)「俺帰っていいか? やる気が無くなった」

(エーテル国軍歩兵部隊隊長キール)「俺も帰る」

(トルバノーネ最高司令官)「俺だって帰りてえよ! でもやらなきゃしょうがねえだろ!」

 とにかく虫かごに閉じ込められた虫の様に暴れる黒き首なし騎士たちを檻の隙間から攻撃して殲滅、続けて谷に落ちた黒き者どもに油をぶっかけて燃やす。

 ちなみに黒き巨人が居たけど気づいたら黒き者どもと同じく谷に落ちていた。

(ナツメ)「何これ?」

(ハンニバル)「悪夢だよ。それ以外に何がある?」

 ハンニバルさんはそう言ってぶっ倒れた。あとで過度のストレスによる疲労が原因と分かった。

(ナツメ)「なにこの、何?」

 とにかくその場はそう言うしかなかった。

 とにかくこの戦はこちらの完全勝利だった。

 時折黒き首なし騎士が檻を避けて、というか大回りしてきて後方に現れたけど、千対一で敵う訳がなく無残に殺された。

(トルバノーネ最高司令官)「こんなバカ野郎どもに俺たちの仲間は殺されたのか?」

 そして戦いが終わると皆ぶっ倒れた。

(ナツメ)「あほくさ」

 そして僕もぶっ倒れた。

 あれだけ怖かった黒き者どもがこんな体たらく?

 僕たちは何に怯えていたんだ?

(ジャンヌ)「こ、こんなことが現実にあると?」

(沖田)「残念ながら現実だ。俺たちはこんなバカ野郎どもに手こずっていたバカ野郎だ」

(アウグストゥス)「そうだな。もうどうでもいいな」

 まあ、もうどうでもいいや。

 とにかく反撃のチャンスが生まれた。というかあいつらが差し出してくれたようなものだけど、何だっていい! 黒き者どもに勝つチャンスだ!

 うん、だから今は寝よう。

 黒き者どもを倒しつくすと、傷一つないのに僕たちは満身創痍で倒れた。

しょうがないね。嘘は言ってないからね。

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