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ナタタナ祭

「はぁ、ナタタナ祭、ですか」


 庶民産まれ孤児院育ちのわたしは知りませんでしたが、貴族様の間では比較的有名なお祭りらしいです。ものすごくどうでもいい気配を感じます。

 ニノンがテーブルにずらりと花冠を並べました。


「こちらがダリウス殿下、こちらがマティウス様、こちらがジョエル様、こちらがギスラン様、こちらがランベール様、そしてこちらが……」


 色とりどりの花冠が二十個はあります。綺麗と言えば綺麗なんですけど何となく怨念か何かこもっていそうでわたしは触りたいとも思いません。何やら可愛いものが多いですけどもしかしてこれってあれですか、皆様から見たわたしのイメージですか?もっと毒々しいのは無いんですか?


 何でも、ナタタナ祭と言うものは恋人のお祭りらしく、片思いの相手に花冠を手渡して告白しちゃうものらしいです。その花冠を被り、お返しの花冠を相手にお渡ししてナタタナ祭のダンスパーティーに行くことが楽しいらしく。

 正直、わたしはダンスを踊れないのでそんなものに行く暇があれば目前に控えた学期末試験の追い込みをしたいです。コラリーなんですかそのドレスは。絶対着ませんから。どうせそれも王子様からの贈り物でしょう絶対着たくありません。着ません!着ませんったら!!


「わたし、ナタタナ祭というものには行きません。行きたいならわたしは当日一歩も外に出ないと確約しますから、おふたりだけでどうぞ」


 ニノンとコラリーははっきりと残念な顔をしました。でも前回五十二位しか取れなかったわたしです。せめて、せめて、せめて、四十九位は取りたい。


 という事でサクッとナタタナ祭には欠席を決定です。

 結界魔法は無事に修得しましたから、最近は自室で攻撃魔法の練習だってお手のものですだから今度こそは一番……!!!トップの栄光を羽が手に!


 それだけ頑張ったわたしは筆記で十位、実技で一位、総合点は五位になりました。嬉しいです。やった。……やった!自分で自分を褒めてあげたい。これからも頑張ります。


 さて、ナタタナ祭の花冠を送りつけられて以来、ダリウス王子が会いに来ません。毎日届いていた手紙も届きません。かと思えばしっかりとお小遣いだけはくれます。これはなんとも喜ばしい事ですね、そのままテキトーにその辺にうじゃうじゃといる麗しの貴族令嬢と結婚した方がいいと思います。主にわたしの平和の為に。


 だって近頃はわたしがダリウス王子の婚約者候補だとかそんな噂が流れているらしいのです、本当に、心底、はなはだ、とっても、非常に迷惑です。何回申請しても学校からは自由に出られないし。外出許可をください。必要なものは二ノンかコラリーが買ってきてくれますが、女の子としてショッピングとやらをしてみたいです。


 朝の寮の入り口前のお出迎えは日々増えています。彼らの言い分を聞けば、わたしがはっきりとダリウス王子の婚約者であると公言しない限り、可能性があるとのことです。頑張ってください。可能性は皆無です。ダリウス王子も可能性は皆無です。ねぇ、なんでわたしが誰かを愛せると思ってみたんでしょうね?


 このテストが終われば二週間の休暇です。貴族の皆様はいろいろお出掛けになったり帰省されたりするみたいですけど今回も外出許可が下りないわたしはひたすらお勉強と特訓の毎日です。なぜかジョエル様とマティウス様とランベール様も学校に残るらしいです、変な人たち。わたしはそもそも寮から一歩も出なかったので、そういった話しは休み明けに聞きました。




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