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おまけ・ニノンから見たリリーローズ

 私はニノン。リリーローズ様の侍女兼護衛をしております。


 リリーローズ様は非常に愛らしく、美しい方です。

 そして大変な努力家でもあります。

 私とコラリーは交代で休憩をいただくようにしておりますが、リリーローズ様は毎日毎日魔法の研究、多種多様なお勉強、そして愛らしく見えるポーズの研究をされているので、ほとんどお休みになっていないのではないでしょうか。


 一度、心配でお休みになるよう申し上げた事がございます。


 リリーローズ様はキョトンと首をかしげられました。とてもそれがお可愛らしかったので抱き締めそうになる衝動を押さえるのに苦労致しました。


「普通の人なら、寝ないと持たないんでしょうね。でも知っている?こうしてじっとしているだけでも魔力って回復するものなの。回復魔法をしっかりかけているから大丈夫よ」


 リリーローズ様は本当にお可愛らしい方です。

 ですがお勉強中は私どもを必ずお部屋から退出させます。

 どうやらお勉強中は見苦しいからとのことですが、リリーローズ様は常にお可愛らしく、美しくされているのでそんな事は無いと思います。


 リリーローズ様は大変穏やかな性格の方です。

 声を荒げたりはなさいません。どんな時でもにこやかに微笑んでらっしゃいます。それはまるで朗らかな日の光の様です。

 時たま無礼な者が現れ、リリーローズ様に向けて酷い言葉を投げかけたりするのですが、リリーローズ様はその程度で心を揺らがされたりはしないのです。


 ……これは、私とコラリー、そしてごくごく一部の者の秘密なのですが。


 リリーローズ様が普段よりもっと、ずっと、とてもお美しく神々しくなられる時があるのです。

 それは大抵図書室か、自室で考え事に熱中されている時です。


 普段は愛らしいピンクの髪、エメラルドの瞳、薔薇色の頬をされているリリーローズ様。

 考え事に熱中されている時はなぜか、そのお色が変わってしまわれるのです。

 まず、大粒の、エメラルドを嵌め込んだ様な瞳からすっと光が消えます。そして、薔薇色の頬から血の気が引いていきます。ピクリとも動かないので、大理石の彫像のようでございます。

 髪は神秘的な、虹色を宿しつつも落ち着いた雰囲気の金色に艶めきます。その頃、エメラルドだった瞳はピスタチオカラーになるのです。そこには冴えざえとした怜悧な煌めきが灯ります。考え事に熱中されるリリーローズ様は、まるで人の身を越えた、女神の様な雰囲気になられるのです。


 初めて見た時は息をされているのか不安になりました。

 慌てて声をかけましたら、ほんの少しだけ不満そうなお顔になられました。後にも先にも不快さをあらわにされたのはあれっきりだと思います。

 恐らく女神モードの時に声をおかけしてはいけないのだと私どもは理解致しました。


 リリーローズ様は周囲の皆様から大変人気がおありになります。

 私としては、この国の王子とくっついていただきたいのですが、どうやらリリーローズ様にそのおつもりは無いようです。


 リリーローズ様の『お気に入り』はふたつ上のジョエル様、ひとつ上のギスラン様、同じ学年のマティウス様、ランベール様。比較的、マティウス様と一緒にいることが多いような気がします。あとはジョエル様にお勉強の相談をよくされているようです。


 他にも他国の王子や有力貴族のご子息から求婚されている様ですが……リリーローズ様、どうされるおつもりなのでしょう。


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