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ほら、よくある設定のやつです。

 わたしはリリーローズ。

 お父さんとお母さんが死んでしまったので、孤児院に行きました。

 悲しいけど、仕方ありません。このご時世じゃよくある話です。


 孤児院で何年間か暮らしました。よくある話みたいに悲惨な孤児院じゃなくてそこそこゆとりのある孤児院でラッキーです。

 黄色い花が綺麗に咲いている穏やかな陽射しがピクニックに最高なある日のことです。わたしは院長先生に呼び出されました。

 院長先生がちょっと真面目な顔をしています。笑えます。笑いを堪えるわたしはいつものように微笑みであれこれ誤魔化します。誤魔化しちゃえばこっちのものです。


「リリーローズさん、貴女、魔法学校に通いませんか?」


 この国には王様と、貴族様がいて、高貴な血筋の方々はみんな魔法を使えます。

 たまに庶民でも魔法を使える子供が出て来て、そういう子供は奨学金で貴族様やら王族やらが通う全寮制の学校にタダで行かせて貰えます。物語なんかでもよくあるお話です。


「はい、わかりました!」


 はい、わたし、魔法が使えちゃうんです。

 この、ツヤサラな髪も、白くてキメ細やかなお肌も、たくさん食べても太らない体型も、全部回復魔法です。えへん。


 ちょうど良い感じに髪の毛を靡かせるのは風魔法です。

 乾燥でお肌が荒れたり喉が痛くなったりしないように水魔法、お風呂に入る時は更に火魔法まで使っちゃいます!


 わたし、けっこう優秀な魔法使いになれると思うんです。


 それで、学校ではこの美貌を生かして逆ハーです。ウハウハです。モテまくります。遊びまくりです。貢いでもらうのもいいかもしれません。

 そして頃合いを見計らってテキトーな男の子とくっついて、卒業と同時にお別れして、卒業後は貢いでもらった資金を元手にしてテキトーに治療院だとかエステとか開業して、テキトーに普通の平凡な庶民の男の子を見繕って結婚すれば、きっとわたしの人生完璧です。


 ……玉の輿は狙わないのかって?


 ちょっとくらいなら、わたしにも憧れはあります。

 でもわたしは庶民。庶民は庶民として暮らすほうが多分楽です。きっと楽です。貴族様はなんか嫌いだし、残る選択肢が王族だとか、ちょっとわたしには似合いすぎます。

 でもね、儀式とかしきたりだとか、どう考えてもめんどくさそうじゃないですか。


 ……ね?


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