塔の国
日の登る直前の白けてきた空の下に、白い、白い骨のような色をした塔が天へと伸びている。表面の凹凸の存在も手伝って、まるで脊椎のように見えるその白い塔、その天辺にある屋根のない広場、そこに彼はいた。
「ねえ、 。僕はどうしてここにいるんだろう…。」いつもの調子で彼は横にいる"親友"に話しかけた。幾度となく繰り返した問答だが、一度も空白以外の答えが返ってきたことはない。
…そもそも、もとから返ってくるわけもないだけだが。
グルルル
彼の"親友"である龍は、少し間をおいて不機嫌そうに一声唸った。下らないことを聞くなと言っているかのように。
「冗談だよ。さて、と…今日も仕事をはじめるか。日が昇ってきた。」
彼の白い髪と龍の白い鱗が朝日を反射して輝いた。