第一章 【2】 学院内で
設定をぶち込みすぎてわけがわからなくなっています。すみません・・・。
<白の陣国境付近の町>
少女は走っていた。
どこに行っても赤・赤・赤。
真っ赤な炎や血だまりが、いたるところにある。まるで地獄絵図のような光景だった。
たった30分前までは普段どおりの生活をしていた。それなのになぜこんな目に・・・。
さっき瓦礫の間から見えた、真っ黒な制服を着た少年少女達がこの出来事の主犯だろう。
あれは悪魔の子供達だろう。自分と大して歳が変わらないのに、町を破壊するほどの冷酷な心の持ち主なのか。
ふいに足に激痛が走り、その場に倒れこんだ。足からは血が溢れており、銃で撃たれたのだと即座に理解できた。
遠くから、誰かが近づいてくる足音が聞こえる。魔法で反撃しようにも、魔法の使い方を習っていないため使えない。こんな時に、必要なのに。
少女はカタカタと震えた。このまま死ぬのか、それとも捕虜になって働かされるのか。
助けを求めるべく、少女は叫んだ。
「・・・て、誰か、誰か助けて!!」
そして・・・。
<ファノステル学院α教室 1時間前>
ルイは学院長から学院生活での注意事項や、書類などの説明をされ、することもないのでα教室に行った。
教室はとても広かった。40人で編成されているα部隊の生徒も余裕で入り、加えて武器入れのロッカーや資料を入れる大きな棚なども複数ある。
床には豪華なカーペットが敷いてあり、2人がけの椅子や机が無数に並んでいる。天井には小さなシャンデリアもあるが、それはただの飾りであり、明かりはホワイティアから供給されている魔力により付くランプが4つある。
窓からの景色も美しく、さすがは白の陣といったところか。
ルイは座席表を見て自分の席についた。ひじをついて外を眺めていると、教室にメアが入ってきた。こちらに気づいたようで、近寄ってくる。
「ルイ君!教室に来てくれたんだね」
「まあ、一応ね」
メアは自然な感じにルイの隣に座って話し始めた。
「今日は召集かかってないけど、みんな寮にいるより教室にいたほうが楽しいからね。たまに緊急招集かかるから、教室にいたほうが楽だよ」
「メアは戦闘経験があるのか?」
メアは苦笑いして答える。
「一応ね。でも援護とか治療系の班にしかいなかったから、前線は行ったことないけど」
「へえ・・・。君はなんの魔法が得意なの?」
「私は風使うの得意だよ!でも、治癒とその魔法しか使えないの・・・」
メアはうつむいたが、顔を上げながら言った。
「それでも、この2つを極めてるから風使いだったら多分α部隊だと一番になれる自信はあるよ」
「そうなんだ」
今度は逆にメアが聞いてくる。
「ルイ君は?なんの魔法が得意?」
「僕は、ほとんど全種類使えるかな」
「え!」
メアが驚愕したように言う。いくら魔法が得意だとはいえ、α部隊の中でも全種類の魔法が使える生徒は一握りだ。
「全種類も・・・」
「まあ僕はみんなと魔法の発動の仕方が違うから」
「発動の仕方が違う・・・?」
するとルイは空中に魔方陣を出した。そこから一冊の本が出てくる。
茶色い背表紙で金色の文字が彫ってあり、厚さは辞書程度だ。
「この本に書き込んだ文字をなぞると発動するんだ。僕は魔力を形にするのが苦手で、自分で編み出した方法なんだけど・・・」
パカ、と本の真ん中あたりを開いた。そこにはびっしりと魔法の呪文が書き込まれている。
そこの一行目をルイはおもむろになぞった。
すると書いてある文字が消え、教室内にゆるやかな風が流れた。
「いまのが発動の仕方かな。風を出したんだけど」
「すごい・・・」
一体どれだけの魔力があれば本一冊程度の魔法を使いこなせるのだろう。
尊敬のまなざしをルイに向けていると、ルイが照れたように本を魔方陣に戻した。
「あの、別に見せびらかしたいとかそんなんじゃなくて」
「あ、ううん!そんなこと思ってないよ。ただ、すごいなあって思っただけ」
メアは外を見ながら呟いた。
「この世界で生きていくには、それくらい強くなきゃだめなんだよね」
ルイはメアを見た。無表情だったが、少し悲しげな色を瞳に浮かべている。
ルイも呟いた。
「まあ、戦えるのは僕らたちだけだからね」
「うん」
そもそも白の陣も黒の陣も、魔力は首都から全国民に供給されているにも関わらず、魔法という形にできるのは子供だけだ。つまり大人たちは、魔力を持っているにも関わらず戦力にならない存在だ。
大昔は天使も悪魔も羽があって飛べたりと高度な技を使えていたが、今は衰え羽もなくなり、魔法も昔のようには自在に使えない。
悪魔は天使と違い、魔法は使わず魔力で強化した武器を使うため、大人も出撃できるのだろう。
「くよくよしててもキリないね!ところで、ルイ君制服には慣れた?」
メアが話題を変え、ルイに向き直った。
ルイは現在使生徒が着る制服をまとっている。
女子は白に青いラインが入ったセーラー服で、男子は白いブレザーだが中には青いセーターを着る義務になっている。
現在ルイはブレザーは脱いでいて、セーターにワイシャツというファッションだ。
「まあまあかな。この制服って、結構重要な役割があるんでしょ?」
「まあね~。生徒一人ひとりの位置情報がマップで確認できるし、自然治癒してくれたりね」
メアはセーラーの青いスカーフを引っ張って言った。
「あと、部隊ごとに腕章の色も違うんだよ!α部隊は金色の腕章だよ」
「そうなんだ。ていうか、部隊って何個あるの?」
メアは教えるのが嬉しそうで、頬を赤くしながら答える。
「5つだよ!私達はα部隊。学院の中でも特に戦闘能力に長けた人たちの部隊だね。次がβ部隊。人数がα部隊より多いけど、戦闘能力はαより劣るの。その次がγ部隊。並みの兵よりは強いし人数も多いから出撃回数が多いの。あとはδ部隊とΩ部隊。δ部隊はほとんど支援かな。私も昔はδ部隊だったんだよ?Ω部隊はほとんど出撃しない部隊なの。10歳から14歳までの、あんまり戦力にならない子供達が属してるんだ」
「へえ、よくできてるんだね。でも、部隊丸ごと出撃しても邪魔になるだけじゃん」
「それは、五人組っていう決まりが・・・」
説明しかけた時、校内放送が響き渡った。
『緊急通達!国境付近で戦闘が開始されました!生徒の皆さんは至急、部隊の教室に集まってください!!』
そうして、少年少女はまた戦争へと足を踏み入れることとなる。
文章の終わり方がへたくそですね。精進します。